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成都市地下鉄が顔認証改札を正式導入。マスク付き認証にも対応し、顔パス乗車が再び動き始めた

成都市地下鉄が今年2021年9月1日から顔認証改札の正式運用を始めた。マスクをしたままでも認証ができる。顔認証はコロナ禍により停滞をすることになったが、再び普及が始まっていると紅星新聞が報じた。

 

2019年が元年も2020年に停滞した顔認証

中国では2019年が顔認証元年となり、さまざまなシーンで顔認証が導入されていった。企業での出退勤管理、マンションの玄関などにも導入される例が増え、地下鉄の改札への導入も進み、アリペイやWeChatペイのスマホ決済も商店に顔認証レジの導入を進めていた。コンビニなどにも導入されていたため、決済方法の主流になるほどまではないにしても、よく見かける珍しくない決済方法と感じられるほど普及が進んでいた。

しかし、それが2020年初めのコロナ禍ですべてが止まり、後退をすることになった。地下鉄などの公共交通機関の利用にはマスク着用が義務付けられたため、顔認証を使うにはマスクを一時外す必要があることから、多くの人が顔認証ではなく、QRコードNFCによるタッチ決済を使うようになった。

 

マスク不要とともに動き始めた顔認証

感染拡大がほぼおさまり、街の人は表を歩く時はマスクをずらす人、していない人もかなり増えてきている。公共交通、商店内ではマスク着用が必要なものの、街の風景としては以前の光景が戻りつつある感覚だ。

その中で、顔認証が再び動き出している。四川省成都市の地下鉄に顔認証改札が導入され、9月1日から利用ができるようになっている。しかも、マスクをしたままで顔認証が可能になっている。

成都地下鉄では今年初めから顔認証設備の導入を始め、実証実験を繰り返してきた。マスクをしたままでも問題がないという結果を得て、正式運用にいたった。

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成都市地下鉄に導入された顔認証決済改札。今年2021年初めから実証実験を行い、マスクをつけたままでも顔認証の誤認識が実用レベルで小さいことを確認し、9月から正式運用を始めた。

 

段階的に顔認証を進める成都地下鉄

ただし、当初は限定的な運用から始めるようだ。地下鉄に乗るには、「現金、スマホ決済でチケットを購入する」「プラスティックの交通カードを使う」「スマホで乗車をする」の3通りがあり、スマホの場合、成都地下鉄の公式アプリ「成都地鉄」の他、スマホ決済「アリペイ」「WeChatペイ」の乗車コードを使う方法、成都市の地下鉄、バス、タクシー、ガソリンスタンドなどでコード決済、NFC決済ができる「天府通」を使う方法がある。このうち、今回、顔認証が可能になったのは「成都地鉄」アプリのみになる。

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▲顔認証端末。マスクをつけたままでも認証ができる。実際は、改札でいったん立ち止まる感覚だが、コード決済、NFC決済でもいったん立ち止まる人が多く、従来とほぼ同じ使用感が得られる。

 

顔認証とコード乗車の組み合わせも可能

また、顔認証とコード決済を組み合わせることも可能だ。顔認証で改札に入って、コード決済で出ることもできる。顔認証端末が用意されていない改札を利用したい場合などに利用できる。さらに、入出場に異常があった場合、別の駅の改札に近づいた段階で、事前に異常が起きていることをプッシュ通知してくれる。このため、改札を通る段階になって前回の処理に問題があることに気がついて慌てるということは起きないように工夫されている。

他都市の地下鉄でも顔認証改札の導入、実証実験が行われている。公共交通では、まだしばらくの間マスク着用が続くことになるが、少しづつ、以前の日常が戻ってきているようだ。