中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

北京で始まったクラウド診療室。遠方の患者の通院負担を大きく軽減

北京市の首都小児科研究院附属小児科病院にクラウド診療室が設置された。14人の医師が待機をし、リモート診療を行う。リモート診療は、退院をした遠方の患者の通院負担を大きく減らしていると人民健康網が報じた。

 

退院後の通院に活用されるリモート診療

コロナ禍をきっかけにリモート診療が急速に拡大している。北京市の首都小児科研究院附属小児科病院では、WeChatミニプログラム「首都小児科研究院+」を今年の6月から公開し、リモート診療を行っている。

山西省に住む何さんは、子どもが川崎病になり、治療をするために定評のある首都小児科研究院附属病院に入院をさせた。退院はしたが、3ヶ月間、定期的に診察を受け、薬を処方してもらう必要があった。しかし、山西省から北京までは600kmほどある。列車に乗っても1泊コースだ。

そこで、看護師の勧めもあり、リモート診療を受けることにした。

f:id:tamakino:20201107104655j:plain

▲リモート診療を行う医師。43インチの曲面ディスプレイが使われ、患者とのビデオ通話だけでなく、横にはカルテなどの資料が表示される。

 

地方の患者の通院の負担を大きく軽減

予約をした時間に、心血管内科の医師とビデオ通話で結び、医師が状況などを聞いて、薬を処方する。子どももビデオ通話の画面に入り、様子を観察することができる。そして、処方された薬は3日以内に宅配されてくる。診察費、薬代などはスマホ決済で終わる。

患者にとっては、時間と交通費の節約になる。一方、医師の方は直接患者を診ることができないため、確実さが要求される。処方薬も飲み方を必ず患者に復唱させるようにしている。しかし、医師もリモート診療は歓迎をしている。

心血管内科の叢暁輝副主任は、人民健康網の取材に応えた。「心臓疾患や高血圧などの子どもの場合、少なくても数ヶ月、長い場合には数年の治療が必要になります。リモート診療は遠方の患者にとって、経済負担や労力を大きく減らしてくれます」。

中国では、重い病気の場合は、高度な医療を求めて、大都市の病院に遠方から患者が集中する現象が起きている。入院治療に関する負担は織り込み済みであっても、その後の通院治療の費用と時間が大きな負担になり、自己判断で治療をやめてしまうこともあった。それが、通院治療と薬の処方がリモートでできるようになり、患者の負担は大きく減ることになる。

 

リモートの医療相談が患者に安心感を与える

さらに、北京市の病院が集まって始めたWeChatミニプログラム「京医通」では、以前から病院の予約などができたが、リモート診療にも対応したことから、リモート診療を活用する病院と患者が増えている。

首都小児科研究院附属病院では、すでに4022人がリモート診療を利用し、北京市以外の患者は73.1%にもなるという。リモート診療が活用されているのは、皮膚科、消化器内科、保健科、内分泌科などだという。

保健科の李娜医師は、人民健康網の取材に応えた。「毎日、30人から40人ほどの子どもの成長についての相談業務をしています。特に初めてのお子さんのご両親は、何を食べさせたらいいのか、成長の具合は正常なのか、運動、言葉、知能の発達に問題はないのかということを気にします。このような相談のほとんどは、対面でなく、リモートでも行えます」。

李娜医師が答える内容は、少し調べればわかるような基本的なことがほとんどだという。しかし、それを資格を持った医師の口から聞くことで、両親は安心をすることができる。以前は、そのために、遠方から親が子どもをつれて病院まできていた。気候が厳しい時期には、子どもに与える負担も決して小さくない。それがリモート診療で解消された。

f:id:tamakino:20201107104659p:plain

▲WeChatミニプログラム「首都小児科研究院+」。このミニプログラムで、診察の予約やリモート診察がスマホからできるようになる。

 

14人の医師が対応するクラウド診療室

首都小児科研究院附属小児科病院では、リモート診療の需要に対応するために、クラウド診療室を新設した。ここには43インチの曲面ディスプレイを設置し、情報が一眼でみられるようにし、14人の医師が控えている。

高度な医療が提供でき、人気の高い病院の待合室は、常に大混雑をしている。この混雑は、新型コロナの感染拡大以前から、院内感染の要因になっていると指摘をされていた。リモート医療を拡大していくことで、この混雑は解消され、病院、医師、患者の負担が小さくなっていく。

医師が自分の目で見る必要がある初診、高価な医療機器を必要とする検査は、病院で行い、問診が主体となる相談と再診はリモートでというスタイルを首都小児科研究院附属小児科病院は目指している。

f:id:tamakino:20201107104706j:plain

▲首都小児科研究院附属小児科病院に設置されたクラウド診療室。リモート診療は、遠方の患者を中心に、ニーズが急速に高まっている。

 

サーモス 真空断熱マグカップ ブラック 350ml JDG-350C BK

サーモス 真空断熱マグカップ ブラック 350ml JDG-350C BK

  • 発売日: 2019/08/21
  • メディア: ホーム&キッチン