中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

プラットフォーム化するショートムービー。そのビジネス構造

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明日、vol. 038が発行になります。

 

ショートムービー共有サービス「Tik Tok」の米国事業の売却問題が大きな話題になっています。なぜ、このようなことが起きたのか、その理由を説明することは私には荷が重いので、このメルマガでは触れません。しかし、開発元の字節跳動(バイトダンス)にしてみれば、理不尽だと感じていることでしょう。

少し意外だったのが、中国のネット民やメディアの反応が意外に冷静なことです。最初にこのニュースを耳にした時は、ネット民の中の愛国者たちがかなり激怒するのではないかと思ったのですが、掲示板などを見ても意外に冷静です。中国人から見れば、これはドナルド・トランプ大統領による、Tik Tok米国事業の「強奪」に見えると思うのですが、強奪という強い言葉を使う人はごくわずかで、多くのメディアが「Tik Tok剥離事件」と呼んでいます。米国事業をバイトダンスから引き剥がすという意味です。それに従い、多くのネット民も「剥離事件」という言葉遣いをしています。

 

その冷静さの最大の理由は、中国本家のTik Tokは「抖音」(ドウイン、音に合わせて揺れるといった意味)と呼ばれますが、抖音と海外版Tik Tokは、かなり違ったものになってきていることがあります。元々は同じものだったのですが、抖音とTik Tokは、投稿されるコンテンツの内容もビジネス構造も大きく変わってきてしまい、別物と言っても過言ではなくなっています。

日本でも、Tik Tokは「女子高生がダンス映像をアップするもの」という認識をされている方が多く、そのような映像が多いのも事実ですが、本家の抖音は完全に国民的なプラットフォームになっています。抖音ともうひとつメジャーなのが「快手」(クワイショウ)で、この2つのいずれかを利用している人は、7.92億人になります。これは中国ネット民の91.2%がいずれのかのショートムービーアプリを使っていることになります。

 

その広がりは、ショートムービーサービスの年齢構成比を見てもわかります。特に昨年あたりから、50歳以上の利用者の伸びが著しいのです。実際、抖音や快手を見ると、若い女性のダンス映像ももちろんありますが、ニュース映像があり、ペット映像、おもしろ映像、料理などの実用映像、講義などの学習映像などさまざまな映像にあふれています。わかりやすく言うと、YouTubeのショートムービー版のようになっているのです。

もはや国民的プラットフォームになっていると言って差し支えないでしょう。

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▲ショートムービーの利用は全世代に広がっている。特に50歳以上の世代の利用者が増えている。「2020ショートムービーユーザー価値研究報告」(CSM)より作成。

 

これだけの人数が利用するとなると、ビジネス展開も海外版Tik Tokとは別物になっています。ショートムービーの収益源は主にインライン広告です。この広告だけでも、従来の検索広告やバナー広告とは仕組みがまったく違い、高い収益力を生み出す構造になっています。この広告収入を基本にしているという点では、中国のショートムービーも海外版Tik Tokも同じです。

しかし、中国内のショートムービーでは、広告以外のビジネスが育ってきて、収益源が多角化をしているのです。

 

抖音も快手もライブ配信の仕組みを導入していて、ライブコマースができるようになっています。ECサービスと提携をして、ライブコマース画面をタップするだけで、購入と支払いができるようになっています。これも手数料収入が期待できます。

また、有料コンテンツを配信できる仕組み、配信者に投げ銭ができる仕組みも用意されています。特にオンライン学習をしたい人向けの学習映像が好調です。

そもそも広告だけでも、高い収益力を持っているのに、本家ではさらに多角的に収益を上げる仕組みができ上がっているのです。

今回は、中国のショートムービーサービスが、どのようなビジネスを展開しているのかをご紹介します。

 

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