中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

再び成長を始めたTik Tok。テンセントのWeChatと正面から激突

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明日、vol. 058が発行になります。

 

今、中国で最も勢いのあるテック企業はソーシャルECの「ピンドードー」とTik Tokを運営する「字節跳動」(バイトダンス)です。

ピンドードーは、ソーシャルECという今までになかったスタイルのECで急速に成長をしてきました。ポイントは、全国流通のノウハウを持っていない地方企業の製品を大量に驚きの価格で販売するということでした。詳しくは「vol.002:第2位のECに浮上した拼多多とは何ものか?」でご紹介していますが、月間アクティブユーザー数では、京東(ジンドン)を抜き、アリババに次ぐ第2位のECサービスとなりました。ただし、ピンドードーは低価格というのが売りであるため、客単価は低く、流通総額ではまだ京東を抜いていません。

2015年9月に創業し、わずか3年後の2018年に米ナスダック市場に上場したピンドードーは、上場しても手を緩めず、むしろ調達できる資金が増えたため、積極策を次々と打っています。2019年には「100億補助」キャンペーンを行いました。これはピンドードーが100億元(約1600億円)の補助金を用意し、商品の購入を補助し、実質大幅な割引価格で購入できるようにするというものです。ピンドードーではiPhoneをこの手法で販売をしたため、ほとんど割引ができないiPhone 11を相場の5000元から1万元も安く販売し、2019年の独身の日セールでは、40万台のiPhone 11を販売しました。

現在は、「9.9元搶購」を実施しています。これは抽選にはなりますが、商品が9.9元(約160円)で購入できるというもので、iPhone 12や電気自動車(EV)も対象になっているため、ネットでは「これは本当なのか?」と話題になっています。

ただし、前回の「vol.057:テック企業に蔓延する996。社会問題化する長時間労働問題」でもご紹介したように、従業員の突然死、飛び降り自殺などの問題が相次ぎ、今後、社内の労働環境整備に労力を割かなければならなくなっています。

 

一方のバイトダンスは、今日頭条、Tik Tok(中国版は抖音ドウイン)の成功により、次の成長までの小休止をしているかのように見えました。そして、米国でのTik Tok事業剥離問題が起こります。

しかし、バイトダンスは、海外の事業で問題が起きる一方で、国内事業の次の成長のために力を蓄えていたようです。昨年後半からは本格的にEC(ライブコマース)に進出をし、今年1月にはドウイン支付という独自の決済手段をスタートさせました。これがもし海外でも使えるようになると、英語名はTik Tok Payになるはずのものです。

 

さらに、バイトダンスは、Tik TokのSNS機能を強化して、アリペイやWeChatのようなスーパーアプリ化を目指すということを公言するようになりました。スーパーアプリとは、ひとつのアプリで、生活の1シーンがすべて賄えてしまえるようなアプリのことです。アリババのアリペイ、テンセントのWeChatでは、決済だけでなく、タクシー配車やフードデリバリーなどもアプリの中からできるようになっています。つまり、中国を代表するアプリであるアリペイ、WeChatに、Tik Tokも肩を並べようとねらっていることになります。

テンセントはこの動きに機敏に対応をしています。WeChatのメジャーアップデートが行われ、ユーザー間でショートムービーを送りあったり、共有したりができるようになりました。Tik Tokはショートムービーを共有して楽しむというものですが、WeChatではショートムービーをスタンプなどと同じようにコミュニケーションツールとして活用しようというものです。WeChatの中のショートムービーコーナーでは、Tik Tokと同じようにスワイプするだけでたくさんのショートムービーが見られるようになっていて、Tik Tokとほぼ同じ感覚で楽しめます。明らかにTik Tokを意識していることは間違いありません。

 

ピンドードーは、中国のECジャイアントである京東に迫り、アリババにすら挑戦しようとしています。一方のバイトダンスは、ネット広告の分野で百度バイドゥ)の地位を蚕食し、今、テンセントから警戒されるようになっています。つまり、この2社は、中国のテックジャイアントであるBATJに戦いを挑んでいるのです。この2社の動きによっては、中国テック業界の地図が塗り替えられることになるかもしれません。

そこで、今回は、バイトダンスというのはどんな会社なのかをご紹介し、バイトダンスの核心テクノロジーはどのようなもので、そして今、何を目指しているのかをご紹介します。

 

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今月発行したのは、以下のメルマガです。

vol.057:テック企業に蔓延する996。社会問題化する長時間労働問題

 

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