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自動車メーカーがDeepSeekを続々採用。自動車は「体を与えられたAI」になっていく

自動車メーカーが自社のスマートシステムとDeepSeekの融合を始めている。受動的な応答だけでなく、運転者を先回りして提案ができるシステムにアップグレードするのが目的だ。自動車はEAI=「体を与えられたAI」になっていくと車域無疆が報じた。

 

DeepSeekの最大のメリットはオープンソース

DeepSeekは「トレーニングコストが1/10以下」「性能がChatGPTに匹敵」ということから「低コストで品質が悪くない」生成AIだと捉えられることが多い。これは中国の他の多くの製品「低価格で品質も悪くない」と共通するため理解しやすいのだと思われる。

しかし、DeepSeekの最も優れた点は「オープンソースである」「軽量動作が可能」という点にある。これにより、自由にDeepSeekのソースコードを手に入れ、自社のデバイスに組み込み、しかもカスタマイズ開発ができる。このことから、各企業が競うようにしてDeepSeekの導入を図っている。

 

受動的な応答から能動的な提案へ

DeepSeekには2系統ある。DeepSeek-V3という汎用LLMと、DeepSeek-R1という推論機能を備えたLLMだ。自動車メーカーは、このうちの推論ができるDeepSeek-R1に注目をし、さまざまな形で自動車への搭載を始めている。

多くの自動車メーカーがやろうとしているのは、スマートカー機能の強化だ。多くのNEV(新エネルギー車)は、自動運転とスマート機能を備えるのが標準になってきている。スマート機能では、音声で「エアコンの温度を少し下げて」「xxまでのルート検索をして」「目的地付近で空いている駐車場を探して」「途中のスターバックスでカフェラテを2杯、注文を入れて」などに対応できている。しかし、このような対応は基本的に受動的な応答だ。言われたことをこなすだけにすぎない。これが推論機能を備えたDeepSeek-R1を導入することで、能動的な応答ができるようになり、利用者の意図を先回りして提案ができるようになる。

例えば、バッテリー残量を見て、目的地に到着するまでに充電が必要だと判断したら、利用者がよく利用するカフェが併設された充電スポットを検索し、「20分後に充電をしながらコーヒー休憩をしませんか」と提案することができる。

▲自動車のスマートシステムは音声で命令できるのがあたりまえになっている。しかし、現在は「エアコンの温度を少し下げて」などの受動的な命令しか対応できなかった。

 

自動車にDeepSeekが次々と搭載

吉利汽車(Geely)は、DeepSeekとの提携を最初に公表した自動車メーカーだ。すでにGeelyでは、自社でLLM「星睿」を開発し、自動車に搭載をしていたが、DeepSeek-R1と蒸留手法で融合させ、車載可能な軽量モデルを開発し、搭載をする予定だ。

また、Geely傘下の極(Zeekr)でも、自社開発のLLM「Kr」とDeepSeek-R1を融合させる作業がほぼ完了し、まもなくZeekrのスマートコクピットアシスタント「AI Eva」を大幅アップデートする予定だという。

嵐図(VOYAH)でも、自社開発のLLMとDeepSeek-R1の融合を完了し、「逍遥スマートコクピット」のOTA(On The Air)アップデートを予定している。問題なくアップデートされれば、世界で最初にDeepSeekを搭載した自動車になる。

▲嵐図は、すでに自社のLLMとDeepSeekの融合を完了。OTAアップデートを予定している。最初にDeepSeekを搭載した自動車になりそうだ。

 

高級車だけではなく大衆車にもDeepSeek

このようなDeepSeek搭載を表明しているのは高級車ブランドが中心だ。しかし、庶民向けブランド「宝駿」もDeepSeek搭載を表明している。宝駿は、低価格EVとして人気になっている宏光MINI EVを開発した上汽通用五菱傘下のブランドで、10.98万元(約224万円)からのSUV「雲海」を発売していて話題になっている。

この宝駿も自社のスマートコクピット「霊語」へのDeepSeekの導入が完了したと発表している。

さらに、NEVへの対応が遅れて苦戦をしている長城汽車も、自社開発のLLM「Coffee Agent」とDeepSeek-R1との融合を行い、スマートコクピット機能を強化し、巻き返しをねらっている。

▲宝駿の雲海。10.98万元からという大衆車だが、これにもDeepSeekの搭載が予定されている。

 

自動車は「体を与えられたAI」になっていく

中国ではDeepSeekが一種のバズワードとなっており、盲目的に「とにかくDeepSeekに対応」が進んでいる面は否めない。しかし、自動車に推論機能を備えたAIが搭載されるきっかけになっていることは確かだ。自動車は移動ツール=モビリティからEAI(Embodied AI、体を与えられたAI)デバイスへと進化する流れが始まっている。