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中国最年少ホワイトハッカー、ただいま17歳。注目される進学先

国家インターネット緊急対応センター(CNCERT)が主催するインターネットセキュリティ大会に演者として登壇した13歳の中国最年少ホワイトハッカーが、現在17歳となり、来年大学に進学をする。彼がどのような道を選ぶのか、ネットで話題になっていると図説教育が報じた。

 

13歳でサイトの脆弱性を報告した最年少ハッカー

インターネットセキュリティ大会に登壇した時に13歳だった中国最年少ホワイトハッカーの名前は、汪正揚(ワン・ジャンヤン)。セキュリティ企業「360」に対して、教育関連サイトの脆弱性を報告した。「360」によると、脆弱性報告の最年少記録だという。この報告によって、CNCERTが主催するインターネットセキュリティ大会に演者として指名され、セキュリティに関するプレゼンテーションを行ったことから、全国的にも知られる存在となった。

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▲13歳でセキュリティ大会で講演した時の汪正揚。まだ子どもの風貌だが、目の輝きや話し方はすっかり成熟したエンジニアのそれになっている。

 

8歳でプログラミングを独学

汪正揚は、小学校2年生の時、テンセントが運営していたSNS「QQ」内のゲーム「QQ農場」に夢中になった。自分の畑に作物を植えて育てるゲームで、知り合いの畑に遊びに行って農作業を手伝ったり、あるいは作物を盗んでしまうなどのソーシャル機能もあった。

しかし、半年ほどで飽きてしまった。ゲームに飽きてしまった汪正揚は、プログラミングを始めた。汪正揚の父は、その姿を見て、すぐに最高スペックのノートPCを買い与えた。汪正揚は夢中になって数々のプログラミング言語をマスターして行った。

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▲13歳で、サイト侵入などの子どもじみたいたずらとは決別して、ホワイトハッカーの道を歩むと宣言をした。

 

10歳で自分のサーバーを立て、12歳でウェブを開設

汪正揚は自分のお小遣いを貯めて、それが400元(約6500円)になったところで、父親にお金を足してもらい、中古のサーバーマシンを購入した。そこにサーバープログラムや自作のプログラムをインストールして、自分だけのサーバーを構築していった。

これが小学校4年生の時のことで、それから2年、小学校6年生の時に汪正揚は正式に自分のウェブサーバーを公開した。

そして、清華大学付属中学校に進学をした。この時、父親から買ってもらったノートPCのキーボードが修理不可能なほど壊れてしまった。それほどキーを打ち続けたのだ。

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▲汪正揚が夢中になったウェブゲーム「QQ農場」(テンセント)。ソーシャル要素のある育成ゲームで、一時は中国人で知らない人がいないほど流行した。

 

学校に侵入など数々の伝説を作る

汪正揚の小学生時代にはさまざまな逸話がある。ひとつは学校の宿題をやるのがばからしいと考え、学校のデータベースに侵入し、解答を丸写ししたという伝説。また、真偽のほどはわからないが、スニッファ(パケットの盗聴)を使って、ECサイトで1元しか使わず2500元(約4万円)の商品を手に入れたという伝説。自分のPCの脆弱性100以上を自分でパッチを当てたという伝説。

話に尾ひれがついているところはあるのだろうが、確かなのは汪正揚はただのパソコンオタクではなく、真性のハッカーであるということだ。

 

13歳で教育サイトの脆弱性を報告

中学一年の時、教育サイトの脆弱性を発見し、セキュリティ企業「360」に報告をし、最年少の脆弱性報告者となった。360のエンジニアによると、その脆弱性は初歩的なものであるとは言うものの、わずか13歳で発見するというのは常識ではあり得ない。自分が13歳の時は、毎日授業をサボって遊ぶことしか考えていなかったとコメントしている。

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▲自宅でPCに向かう汪正揚。4年で自分のノートPCのキーボードを潰してしまった。

 

「子どもじみたいたずらとは決別」13歳でホワイトハッカー宣言

汪正揚は、インターネットセキュリティ大会に登壇した時に、過去に法に触れるいたずらをしてきたこともあるが、そのような子どもじみた行為とはきっぱりと決別して、自分はホワイトハッカーになると宣言している。ネットコミュニティに貢献できる人間になりたいと発言した。

その汪正揚も現在17歳。順当にいけば、清華大学に進学することになるが、彼がどのような進路を選ぶのか、セキュリティ関係者は注目をしている。