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中国を中心にしたアジアのテック最新事情

ティックトックがインドネシアで配信停止に

アジアで流行するショートムービー共有SNSアプリ「ティックトック」。一方で、不適切な動画が問題にもなり始めている。インドネシアでは、死体を映した動画が共有され、インドネシア政府は急遽、ティックトックの動画共有を停止したと中国起業家が報じた。

 

ローティーンに大人気のティックトック

ティックトックはアジア中で大流行をしている。インドネシアも例外ではなく、未成年の女性を中心に人気が高い。2018年第二四半期、ティックトックはインドネシアの動画アプリダウンロードランキングで第1位となり、統計によると12歳から15歳の年齢層で圧倒的に強い。

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▲ティックトック。中国、日本、韓国を中心にアジア圏で流行している。音楽に合わせて踊るところを撮影して共有するショートムービー共有SNS。ティーンの女の子中心に流行している。

 

死体を映した動画に通報12.5万件

しかし、不適切な動画も数多く共有されるようになっている。女性が過度の露出をした未成年には見せたくないような動画、奇をてらっただけの人を生理的に不快にする動画など、利用者からクレームや通報される動画も増えている。

7月の初め、誰もが不快になる動画が共有された。最初は若者がごく普通に踊っているだけなのだが、突然画面が切り替わり、死体が映し出されるというものだった。多くの利用者から通報が相次いだが、動画そのものは拡散し、運営への通報が12万5000件にも達することになった。

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▲中国で配信された不適切動画。小学生か中学生にしか見えない女性が、右腕のタトゥーを見せるために服を脱いでいくというもの。

 

緊急避難として、ティックトックを配信停止

この事態を受けて、インドネシア通信部は、7月3日にティックトックの配信を停止する措置をとった。アプリそのものはダウンロードできるが、起動しても何も表示されない状態となった。

インドネシア通信部では、ティックトック運営者であるバイトダンス社に説明を求め、今後、不適切な動画が配信されない対策を講じることで、配信停止を解除すると通達した(現在、すでにバイトダンス社は対策を講じ、インドネシアでの配信は再開している)。

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▲これも中国で話題になった不適切動画。6歳の女の子が撮影をしていたが、その背後で母親がシャワーを浴びていた。母親も女の子も気がつかず、女の子は動画を公開してしまい、一瞬で人気動画となってしまった。

 

不適切動画発見の自動化が今後の大きな課題

ティックトックでは、独自のアリゴリズムにより、人気のある動画ほど、多くの人のおすすめ動画に出現して拡散速度が速くなる工夫をしている。そのため、悪い意味で人が見たがる動画も瞬間的に拡散してしまう。

一方で、公序良俗に反する動画のチェックは、基本的には人力に頼っている。性的な動画に関しては、画像処理を行い、肌の色が一定面積以上であるとアラートが出されるなどの支援システムはあるものの、最終判断は人の目でやるしかない。

ティックトックは、中国国内では1日に1.5億回起動されている。月刊ユニークユーザーは3億人を超えている。動画共有サイト全体の月間ユニークユーザーの合計が6億程度なので、ティックトックはそのうちの半分を占めていることになる。

簡単に動画を作れることから、アップロードされる動画数も膨大になっていて、人力でチェックをするのは限界にきている。

今後、ティックトックがさらに成長するために、不適切動画のチェックが大きな課題になりそうだ。

 

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