ECサイトがこぞってセールを行う11月11日「独身の日」。その翌日、リアル店舗である銀泰百貨店チェーン51店舗が半日休業をして話題になっている。独身の日セールがネットからリアルに広がった影響だと杭州網が報じた。
リアル店舗に広がる「独身の日」セール
アリババが運営するECサイト「T-mall」が始めた「独身の日」セールは、ネットだけでなく、リアル店舗にも波及し始めた。アリババの最高マーケティング責任者、董本洪氏は杭州網の取材に応えた。「独身の日は、もはやネットショッピングのセールではありません。ネットとリアルが融合し始めているからです」。
アリババは、百貨店チェーン「銀泰百貨店」と提携をし、独身の日販売会場を百貨店内に設置した。銀泰百貨店全国の51店舗で、来店客は前年同時期の159%になり、売り上げは154%になった。杭州市の銀泰百貨店では、杭州市の成人の19人に1人が銀泰百貨店を訪れた計算になる。
51店舗で、150万件の商品が売れ、その中で人気だったのが金塊と化粧品で、金塊は156kg売れ、化粧品は30万個売れた。
▲杭州市の銀泰百貨店武林店に設置された「独身の日」セールの会場。多くの人が詰めかけ、金塊や化粧品が大量に売れた。
セール翌日は、疲れて半日休業
独身の日の翌日11月12日、銀泰百貨店は51店舗で午前中休業をした。杭州網がその理由を銀泰百貨店に尋ねると、答えはなんと「疲れてしまったから」というものだった。
銀泰百貨店は、この独身の日セールのために、1ヶ月前から準備を始めていた。特命チームは、毎日午前2時か3時ごろまで残業する日が続き、最後の1週間は、ほとんどの社員が事務所に寝泊まりすることになった。銀泰百貨店の陳暁東CEOは、この状況を見て、セール翌日の12日を半日休業にすることにした。
銀泰百貨店は、11月16日に開店記念日のセールを控えていて、2週続けて大型のセールをすることになった。半日休業は、従業員の疲労を蓄積させないための措置だったという。
▲全国展開する銀泰百貨店。リアル店舗として「独身の日」セールに参加した。あまりに盛況で、翌日は従業員の体力を回復するために半日休業した。
ネット通販が安く便利だとは限らない。リアルとの融合が鍵
杭州網は、ECサイトのセールにも転換点がきていると論評している。現在は、ECサイトの方が購入体験がまだ新鮮であり、ECサイトの方が価格が安いという思い込みがあるため、人はECサイトへ流れていた。しかし、銀泰百貨店の場合、会員カードを作ると、常に1割引となり、365元以上を利用すると、利用額に応じて大量のポイントが還元される。結果的に、ECサイトよりもお得に買えることが多いのだ。
また、注文をして宅配してもらえることが便利だということになっているが、不在で持ち帰られてしまうと、連絡を取ったり、宅配便が指定する時間に家にいなくてはならず、単身者にはかえって不便なケースもある。一方で、リアル店舗であれば、そのまま自分で持ち帰ることができる。
独身の日セールに限らず、ECサイトに傾きすぎていた消費が、少しずつリアル店舗に戻りつつある。ネット消費とリアル消費を対立的に捉えるのではなく、いかに融合するかがポイントになると論評している。
来年の独身の日は、今年以上の盛り上がりになるのだろうが、それはECサイトだけではなく、リアルの世界も巻き込んだものになるのかもしれない。