百貨店チェーン「銀泰百貨」が、エネルギー企業「大唐」と契約をし、中国で初めての「グリーン電力百貨店」となる。再生可能エネルギーで発電された電気だけで運営され、環境の負荷軽減に貢献するだけでなく、顧客と従業員の意識改革にも役立っていると中国経済網が報じた。
グリーン電力を使う百貨店「銀泰百貨」
2021年11月22日、百貨店チェーン「銀泰百貨」とエネルギー企業「大唐」浙江支社は、3000万KWhのグリーン電力を供給する契約に調印をした。中国では今年9月からグリーン電力を供給する試行が行われていたが、多くの消費者が利用をする民間企業では初めてのこととなる。銀泰百貨では、25店舗の電力をグリーン電力に切り替え、年間で、標準炭換算で9000トンが節約でき、2.4万トンの二酸化炭素排出を抑えることができる。これは12万本の植樹をする効果に相当する。
先進的な取り組みに積極的な銀泰百貨
銀泰百貨(Intime)は杭州市を中心に28店舗を展開する百貨店チェーン。市場が縮小する百貨店業界の中で、新小売やライブコマースに積極的に進出し、業績を伸ばしている。
特に、2020年初めの新型コロナの感染拡大による外出自粛期間、店舗は休業をしたものの、ライブコマースは発信し続け、ライブコマース視聴者数が通常の来店客数を上回り、「店舗は閉じていても、クラウドで営業しているクラウド百貨店」として有名になった。
銀泰百貨では、「緑色行動」(グリーンアクション)が、社会に対する義務であると位置づけるだけでなく、百貨店の消費者体験を改善し、効率的な運営につながり、顧客からの信用も得られるとして、以前から取り組みを続けていた。売り場でのデジタル化を進め、紙の帳票類をなくし、レシート類も希望する人以外には発行せず、電子化をした。また、会員カード類もすべて電子化をし、2020年には1600トンの紙を節約し、これは4万本の木を守ったことになる。
特に感熱式のレシートは、紙資源を浪費するだけでなく、石油資源をも浪費し、さらにはわずかとは言え有害物質を使い、リサイクルも難しいことから、2020年に最後の1枚を発行して以来、2021年に入ってからは1枚も発行していない。
また、化粧品の空き瓶回収にも取り組んできた。回収機を全体の6割に店舗に設置をし、顧客が使用済みの空き瓶を入れると、20元のアリペイクーポンが発行されるというものだ。2020年には2万本の空き瓶を回収した。
中国で最初のグリーン電力百貨店
再生可能エネルギーで発電されたグリーン電力を使うことも早くから計画をされたが、難航したのは供給業者がなかなか見つからないことだった。
今年2021年9月、中国のグリーン電力プロジェクトが始まり、17省259の企業が参加をして、80億kWhのグリーン電力が供給できる環境が整った。銀泰百貨もこのプロジェクトに参加をし、グリーン電力を供給してもらうことが可能になった。銀泰百貨は初めての「グリーン電力百貨店」となる。