中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

MUJI中国が次々に閉店。業績不振なのか、出店調整なのか。変わる小売店の出店レイアウト

MUJI中国の店舗が次々と閉店をして話題になっている。しかし、業績そのものは決して悪くない。大都市密集から、地方を含めた最適配置への転換をしているのではないかと見られていると新浪財経が報じた。

 

MUJI中国の閉店が続く

無印良品MUJIが中国で閉店トレンドに入っている。上海、蘇州、烟台、長沙などの店舗が閉店をしている。

北京市の世茂工三店も閉店が決まりクリアランスセールに入っているが、ある店員が新浪財経の取材に応えた。「オープン直後は売上が上がっていましたが、近隣の三里屯にMUJIの新店舗がオープンすると、影響を受けて売上が下がり始めました。それにより、本部が世茂工三店を閉鎖することに決めたようです」。

MUJIの店舗では閉店セールが行われている。

 

MUJI復調と見られた矢先の閉店

MUJIは、中国の若い世代からは圧倒的な人気がある。MUJIミニマリズムとデザインは、中国の新興中産階級の感性にうまくマッチをした。しかし、問題は販売価格が高すぎることだった。それも、日本での価格と比較をしても中国での価格は高いという状態が続いた。これにより、MUJIは「セールの時に買うもの」という意識が強くなり、2019年頃から既存店売上が下がり始め、そしてコロナ禍に突入をする。

コロナ禍が終わり、経済が元に戻り始めると、MUJIは日中での価格差解消に乗り出した。中国では値下げを行い、日本ではインフレにより値上げが続き、日中の価格差はほぼ解消された。さらに、中国専用品の販売も始め、以前ほど「MUJIは高い」という印象は薄れ、2025年に入ってから既存店売上が上昇をし始めた矢先の閉店トレンドだけに、多くの人が意外に感じている。

MUJI中国の既存点売上の伸び率。2019年から業績が悪化をし、そのままコロナ禍に突入したが、2025年に入ってからは復調の兆しが見えていた。

 

閉店の一方で新店出店も

新浪財経はMUJIに公式コメントを求めた。「各店の閉店は経営効率に基づいて行った通常の出店調整です。一部の商業地区で人流が減少するという課題に直面し、経営効率の悪い店舗を閉店しています」。

また、「現在、毎年40店舗前後を新規オープンする計画を進めており、今年の3月から8月までの半年間で15店舗を新たにオープンしております」とも言う。

つまり、経営悪化による閉店ではなく、出店調整をしているのだという。

▲すでに閉店をした店舗。この姿を見てしまうと、業績が悪化しているのではないかと見てしまう人もいる。

 

大都市は不景気、地方は好調

MUJIだけでなく、外資系小売の多くが直面している課題が存在する。それは、バブル崩壊の影響により、一線都市と呼ばれる大都市の個人消費は非常に悪化をしている一方で、二線都市以下の個人消費は旺盛だということだ。

多くの外資系小売は、中国市場参入時に大都市中心の展開をしているため、そのままのレイアウトでは業績が苦しくなっていかざるを得ない。外資系小売は、いかにして地方都市に進出するかが課題になっている。

 

大都市の商圏に密集するMUJI

さらに、MUJIは店舗配置に関して独自の課題を抱えている。それは密集度だ。例えば、北京市には34店舗があるが、それだけでなく同じ商業地区に複数店舗が存在することも多い。大都市では個人消費が振るわない上に、店舗の契約更新機には家賃が上昇するという現象が起きており、契約更新に合わせて不採算店を閉店し、その分を地方都市進出に振り向ける必要がある。

MUJIは、この調整を始めていると見られ、閉店トレンドは悪いシグナルというわけではないが、その代わりに大きな挑戦をしなければならない。それは、個人消費が好調とは言え、購買力そのものは強くない地方都市で、MUJIが受け入れらるかということだ。MUJI中国は、非常に重要な時期を迎えている。

 

バックナンバーポッドキャスト放送中!

apple.co

ビデオ版バックナンバーも登場

www.youtube.com