12月11日、浙江省杭州市の西側、良睦路1288号に無人ホテル「レストアワー」が開業した。チェックイン、チェックアウトはスマートフォン、鍵は顔認証、部屋の備品の操作はスマートスピーカー。全自動ホテルとしては世界初になると杭州網が報じた。
管理スタッフ2名で運営する客室66室の無人ホテル
無人ホテルを開発したのは、杭州市の睿沃科技。杭州市には人工知能村と呼ばれる開発パークがある。睿沃科技は、そこを拠点とする、ホテル、マンションなどと人工知能技術を組み合わせることを目的としたスタートアップだ。
睿沃科技が開業したレストアワーホテルでは、ネット予約からチェックアウトまで、すべてが無人で可能になっている。ホテルも人が応対することは基本的にはなく、管理スタッフが2名と、清掃、メイキングスタッフが数名という体制で運営されている。
▲杭州市の西側郊外に開業したレストアワーホテル。宿泊費は448元から。
予約はネットから。VRで部屋のタイプを選ぶ
レストアワーホテルには8タイプの部屋がある。どの部屋も、専用アプリからVRによって部屋の中を探索して選ぶことができるようになっている。部屋を選んで、スマホ決済を行えば、予約は完了だ。
チェックイン手続きも無人だ。中国では、チェックインするときに、住所氏名を記入し、身分証を提示し、なおかついくらかのデポジットを預けなければならない。これが、フロントにある専用機にWeChatペイのQRコードをかざすだけでいい。これで、事前登録してある住所氏名などが自動的に入力される。チェックイン手続きは10秒で終わるので、混雑時でも行列ができることはない。チェックアウトをするときも、同じ専用機にQRコードをかざすだけだ。客室内のミニバーなどを使った場合も、料金が自動計算され、スマホ決済から自動的に引き落とされる。
▲チェックイン、チェックアウトはスマートフォンで行う。WeChatペイのQRコードをかざし、宿泊費はWeChatペイから決済される。
ルームキーは顔認証
中国のホテルでは、チェックインをするとルームカードが渡されるのが一般的だ。これが部屋の鍵にもなっている。しかし、レストアワーにルームカードはない。チェックインをしたときに、顔が自動的に撮影をされ、顔がルームキー代わりになる。自分の部屋の前に立ち、顔をカメラに向けるだけで鍵があく。ルームカードをなくすことも忘れることも心配する必要がない。
▲廊下もなかなか面白いデザイン。ルームキーは顔認証なので、ルームカードを持ち歩く必要はない。
室内備品はスマートスピーカーで
室内もリモコンやスイッチのようなものはほとんどない。その代わり、Rokidのスマートスピーカーが置いてある。声で「カーテンを開けて」「灯りをつけて」「テレビをつけて」などと言うだけで、室内を制御することができる。さらに、「音楽をかけて」「映画を見せて」「歯ブラシを持ってきて」などという命令もできる。
▲部屋は8タイプあるが、人気なのがこのロフトタイプの部屋だという。すべて、専用アプリからVRで室内を探索できるようになっている。
ヒントとなったのは日本のカプセルホテル
睿沃科技創設者である王琦氏は、この構想を日本のカプセルホテルを見て思いついたという。「日本のカプセルホテルは、ホテル全体が自動販売機のようなことになっているのです。デポジットを払う必要もなく、フロントにも人はいません。必要なものはすべてお金を投入すれば、出てくるようになっています」。
レストアワーホテルは6タイプの客室が合計66室用意されている。宿泊費は448元(約7700円)から628元(1万800円)まで。すでに、中国のホテル予約サイトにも掲載されていて、レビューも5点満点をつけている人が多い。