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合体式「空飛ぶクルマ」の予約販売開始。お値段は4300万円のものの、すでに3000台の予約

小鵬匯天が開発している合体式「空飛ぶクルマ」が上海での試験飛行を成功させた。価格は4300万円と高価であるものの、予約受付がすでに始まり3000台の予約が入るなど好調なスタートを切っていると極目新聞が報じた。

 

自動車とドローンが合体「空飛ぶクルマ」

新エネルギー車メーカー「小鵬汽車」(Xpeng)の子会社である「小鵬匯天」(https://cn.aeroht.com/)は、空飛ぶクルマを開発している。ドローンにタイヤがついているのではなく、電気自動車と合体するタイプで、自動車で目的地まで行き、そこでドローンを分離、人が乗って空中散歩を楽しむというものだ。

上海市で、空飛ぶクルマ「陸地航母」の試験飛行が行われた。

 

上海での試験飛行が成功

この小鵬匯天の空飛ぶクルマが上海での試験飛行を成功させた。上海国際会議センターにある東方濱江の屋外芝生から離陸をし、上海で有名なランドマーク「東方明珠塔」の近くで、複雑な飛行テストを行った。

2024年11月には、広州モーターショーで有人の飛行テストを成功させており、今回の上海での飛行テストは、複雑で、さまざまな電磁波が飛び交う都市の低空領域で、安全に飛行できることを確認するものだった。

上海市に登場した空飛ぶクルマ「陸地航母」。荷物室に2人乗りドローンが格納されている。

上海市を飛行するドローン。すでに有人飛行試験は成功させているが、今回は複雑な都市環境の中での試験であったために、無人で試験飛行が行われた。

 

目的地までドライブし、空の空中散歩を楽しむ

この自動車+有人ドローン分離式ビークルは「陸地航母」(陸の空母)と呼ばれている。車両の長さは5.5m、幅2.0m、高さ2mで、標準的な駐車スペースに停めることができ、地下駐車場にも入ることができる。もちろん、普通免許での運転が可能だ。

車内は4人乗りだが、目的地に到着したら、後部荷物室から、ドローンを引き出し、2人までが乗り込み、空中散歩を楽しむことができる。操作は手動または自動で、手動の場合もAIが補助をするために、ジョイスティックだけで操作ができる。小鵬匯天によると「5分で基本的な操縦を覚えることができ、3時間でマスターができる」ほど簡単だという。

動力源は電気だが、陸地航母に搭載している間に充電が行われる。ドローンの収納取り出しは、自動化されており、スマートフォンから操作をするだけになっている。

▲陸地航母のコンセプトはライド+フライト。目的地まで車で行き、そこで荷物室のドローンを出し、空中散歩を楽しむというもの。

 

予約受付はすでに3000台。お値段は4300万円

この陸地航母は、コンセプトモデルなどではなく、すでに予約受付が始まっている。すでに予約は3000台以上が入っている。価格はまだ未定だが、200万元(約4300万円)を超えないと発表されている。

また、飛行拠点も70カ所をすでに確保し、最終的に200カ所の拠点を用意する予定だ。中規模以上の都市であれば、車を運転して30分程度の飛行拠点に行き、そこであれば簡単な飛行申請ですぐに空中散歩を楽しむことができる。

すでに広州市に生産工場の建設も始まっており、2025年Q3には完成をし、民間航空局の量産認証も取得できる見込みだ。そして、2026年に量産が始まり、予約をしたユーザーに引き渡しが始まる。

有人ドローン=空飛ぶ車は、これまで人や貨物の輸送に使われる公共性の高いサービスに使われることが想定されてきた。しかし、陸地航母は低空ビークルを一気に個人のものにする可能性がある。空の”高速道路”で通勤をするというSF的な未来社会は意外に早くやってくるかもしれない。