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上海のドローンショーがギネス記録を更新。3281機が夜空に図形を描く

4月1日に上海で行われたドローンダンシングが、3281機を使って、ギネス記録を更新した。すでにドローンショーは、花火と同じように、屋外イベントとして定着をしている。しかし、交通渋滞など問題も指摘されていると書童Plusが報じた。

 

ドローンダンシングのギネス記録が更新

4月1日に、上海の夜空で開催されたドローンダンシング広告が、3281機のドローンを使い、それまでのギネス記録を更新した。韓国の自動車メーカー「ヒュンダイ」の高級車ブランド「ジェネシス」の広告で、「你好中国」「Hello China」などの文字の他、ジェネシスのエンブレムなどがドローンによって表現された。

それまでのギネス記録を持っていたのは、やはり中国の大漠大智控(ダモダ)。2020年9月20日広東省珠海市で3051機のドローンを使ったダンシングショーを開催した。

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▲上海の夜空に浮かび上がったジェネシスのロゴ。韓国の自動車メーカー「ヒュンダイ」の広告として行われた。

 

 

インテルが始めたドローンダンシングに中国企業が参入

このドローンダンシングを始めたのは、米国のインテル。2015年11月にドイツのハンブルクの飛行場で、100機のドローンを使ったショー「Drone 100」を開催し、ギネス記録に申請をした。台数は100機と少ないが、当時としてはドローン同士がコミュニケーションを取りながら自律的に飛行する技術開発はハードルが高く、ドローン編隊飛行の可能性を切り開いた。ショー自体もオーケストラの音楽とドローンダンシングをシンクロさせるもので、アート面の価値も高いものだった。

2016年には、インテルはドローンを500機に増やし、自身が持つ記録を更新した。

このドローンダンシングのギネス記録競争に、複数の中国企業が参入をし、使用される台数は一気に上昇し、現在の3281機という記録に到達をしている。屋外広告やイベントなど、花火と同じ領域の需要がある。

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インテルのDrone 100。わずか100機のドローンダンシングだが、2015年という段階では、技術的なハードルはきわめて高いものだった。

 

渋滞が発生するという問題も

ただし、問題も起きている。このジェネシスのドローンショーが行われたのは、4月1日という交通量の多い日であり、なおかつ多くの人の目に触れてもらおうと夕方の帰宅ラッシュ時間に開催された。多くの人が、足を止め、スマートフォンでビデオ撮影をした。

自動車を運転している人も同じで、車を止め、撮影をする人が多数いた。上海の観光スポット外灘付近では複数の交通事故が発生している。渋滞が発生するため、救急救命活動に支障が生じる可能性もあり、場所や時間、手法などの規制も必要だという声もあがっている。

郊外のテーマパークや観光地などでも、ドローンダンシングは行われているが、ギネス記録に挑戦するようなドローンショーは、主に広告目的で行われるため、人口密度の高い都市部で行われる。規制が始まると、ギネス記録の更新は難しくなりそうだ。

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▲深圳の深圳大漠大智控技(ダモダ)が2020年9月に3051機のドローンダンシングでギネス記録を更新した時の公式ビデオ。2021年4月に上海で自らの記録を再度更新した。