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ロボット犬が観光地の荷上げのお手伝い。新たな観光名物に

泰安市の泰山で、ロボット犬がお手伝いをしている。登りは売店の商品を運び、下りはゴミを運ぶ。開発したのはUnitreeで、新たな観光名物として話題になっていると毎日経済新聞が報じた。

 

観光地で働くロボット犬

山東省泰安市の観光地、泰山でロボット犬が働いている。泰山は観光地といっても、バスを使っても2時間は徒歩で山登りをしなければならず、体力がいる。最後は登山道しかないため、山頂の店舗は、これまで人手で荷上げをしていた。

そこにロボット犬が導入され、行きは商品、帰りはゴミを運んでいる。

▲登山道で働くロボット犬はすでに人気の的になっている。多くの人がスマホで撮影している。

 

積載120kg、4時間の行動が可能なロボット犬

開発をしたのは、宇樹科技(Unitree、https://www.unitree.com)。すでに販売されているUnitree B2ロボット犬だ。120kgまでの荷物を運ぶことができ、1回の充電で4時間程度、歩行することができる。

▲Unitreeのロボット犬B2。人型ロボットも開発しているが、社会への浸透という点では犬型の方が早そうだ。

 

ゴミ問題を解決するロボット犬

泰山文旅集団では、商品の運搬よりも、ゴミの問題を解決するために、このB2を試験導入した。泰山は中国で最も有名な山のひとつで、2023年には862万人が訪れ、年間2.4万トンのゴミが発生する。

環境保全地区でもあり、登山道しかないために、ゴミは人が運んで山から降ろすしかなかった。しかし、登山道は観光客でいっぱいで、ゴミを運んでいると苦情を言う登山客もいる。そのため、朝と夕方の登山客が少ない時間をねらって人海戦術でゴミを降ろすしかなかった。

しかし、ロボット犬であれば、観光客も苦情は言わず、道を譲ってくれる。さらには、面白がって写真を撮ったり、動画を撮り、SNSで拡散をしてくれる。新たな泰山の名物になるかもしれないという期待もあった。

▲外交部スポークスマンの華春莹氏は、このロボット犬をXで紹介した。海外からも大きな反響があった。

 

人型よりも早く社会に浸透しそうな犬型

その思惑どおり、中央政府外交部スポークスマンの華春氏が、この動画をめざとく見つけ、Xに転載をしたことで、国内外で大きな話題となった。一方、人型ロボット、犬型ロボットの業界では、技術は成熟をしてきたものの、社会に浸透するという点ではまだ初期段階にあり、大規模な応用例が生まれるには至っていない。このロボット犬の応用が話題となり、さまざまな分野での応用に結びつくきっかけになるのではないかと期待されている。