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中国の中にある欧州の街。春節では世界から人が集まる。観光地としても注目され始める

中国の中に欧州としか思えない街がある。浙江省麗水市青田県だ。人口56万人の街だが、33万人が華僑として欧州などの海外で暮らしている。この人たちが春節で帰国をするたびに欧州の文化を持ち込んだ。近年では観光スポットとしても注目をされ始めていると詩画浙江文旅資訊が報じた。

 

中国の中にある欧州の街

中国の中にあるのに、まるでヨーロッパとしか思えない街がある。浙江省麗水市青田県だ。欧州風の建物が並び、エスプレッソのカフェが並び、商店では欧州の食材が販売されている。それだけではなく、買い物でユーロを使っている人もいる。もちろん、この青田に入るのに出国手続き、入国手続きはいらない。気軽に行ける欧州の小さな街として、旅行先としても人気が高まりつつある。

▲青田の街並み。中心街はヨーロッパとしか思えない街並みになっている。しかし、よく見ると、いかにも中国風のオート三輪やゴミ箱が設置されている。

 

青田出身の華僑33万人が233の国へ

もちろん、テーマパークとして、欧州風につくったというわけではない。青田には青田の歴史があり、自然に欧州風になっていった。その鍵は華僑だ。

青田の特産物は、中国4大石のひとつと呼ばれる青田石だ。非常に柔らかく、細工がしやすいことから、篆刻、印章の印材として有名になった。細工がしやすことを利用して美術品もつくられるようになったが、青田石の採掘量が減ったことから希少価値が出て、世界中で高値で取引されるようになった。

これが欧州でよく売れるために、青田の出身者が華僑となって、世界中で暮らしている。青田の人口は56万人だが、青田出身の33万人が世界中の国で暮らしている。

▲青田特産の青田石。細工がしやすいことから美術彫刻品として世界中で取引されている。

 

引退後や春節時期に世界中から華僑が集まる街

そのため、春節の季節になると、世界中から出身者がこの青田に戻ってくる。大家族が集まると、5つや6つの国で暮らしている人が集まるということも珍しくない。さらに、海外で成功をすると、故郷に錦を飾る意味で、大きな家を建てて海外から移住をしてくるケースもある。このような人たちが10万人いる。中には、海外で生まれて中国で暮らすのは初めてという人もいて、このような人たちが、海外風の家を建て、海外の食文化を持ち込んだ。

買い物をするには当然人民元が必要だが、海外から持ち帰ったユーロやドルも商店では拒否をしない。そのため、ユーロも流通していて第2の通貨のようになっている。

▲青田の中のスーパー。紹興酒ではなくワインが並ぶ。買い物ではユーロを使って支払うこともできる。

 

観光地としても注目される青田

青田では、欧州の食事、製品も豊富に販売をされている。欧州の生活スタイルが身についた帰国者が必要とするからだ。さすがに香港のように関税なしとはいかないが、華僑のネットワークを使い低価格で輸入をしているため、他の街から比べるとかなり安く購入することができる。

この状況に、SNS「小紅書」の利用者たちが目をつけ始めている。杭州市から高鉄でわずか2時間のところで、ヨーロッパにいるかのような写真が撮れるからだ。青田にきて、本格的な欧州料理レストランで食事をし、本場のエスプレッソを飲むというのが楽しみ方のひとつになっている。

浙江省政府も、青田の観光開発に力を入れ始めている。新しい観光地で注目をされる可能性が出てきている。

▲欧州風の街並みであることから、写真を撮影するために訪れる人が増え、映えるスポットになってきている。