中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

中国版新幹線「高鉄」には、なぜE席が存在しないのか。その合理的で賢い理由

中国版新幹線「高鉄」の座席は3列+2列という構成になっている。しかし、列名は「ABC通路DF」となっており、なぜかE席が存在しない。これには合理的で賢い理由があると路援幇が報じた。

 

長距離移動の足「高鉄」

中国の高速鉄道「高鉄」(ガオティエ)。最高速度は時速350kmで、2022年末の段階で総延長は4.2万kmとなり、日本の0.33万kmを大きく超え、中国は世界一の高速鉄道大国になっている。寝台車も登場し、中国人にとって長距離移動の足となっている。

この高鉄の座席には3種類があり、価格が異なっている。2等席、1等席、ビジネスクラスの3種類だ。2等席は3+2の5列、1等席は2+2の4列、ビジネスクラスは2+1の3列の構成になっている。

チケットは、完全に電子化をされており、スマートフォン決済「アリペイ」や中国鉄路のアプリなどから、列車の空き状況を見ながら検索をして購入することができ、チケットはスマホに格納され、そのまま乗車をすることができるようになっている。

 

E席が存在しない高鉄の座席番号

チケットを購入する時、窓側、通路側などの席も自分で選ぶことができる。ところが、多くの中国人が疑問に思っていることがある。席の列名はA、B、C…というアルファベットでつけられているが、F席はあるのになぜかE席が存在しないのだ。

例えば、2等席は3+2の5列構成だが、「ABC通路DF」となり、E席が存在しない。

1等席は2+2の4列構成だが、「AC通路DF」となり、B席とE席が存在しない。

ビジネスクラスは2+1の3列構成だが、「AC通路F」となり、B席、D席、E席が存在しない。

これはどういうことだろうか?

▲高鉄2等席のレイアウト。窓側がAF、通路側がCDとなり、E席は存在しない。

 

▲高鉄1等席のレイアウト。窓側がAF、通路側がCDであることは変わらない。

▲高鉄ビジネスクラスのレイアウト。ここでも窓側がAF、通路側がCであることは変わらない。

 

窓側はAとF、通路側はCとDという航空機のルール

これは飛行機の座席番号の付け方の慣習に従ったものだ。一般的な航空機は、「3列通路3列」という構成のものが標準になっていた。この場合、「ABC通路DEF」と座席名がつけられている。

しかし、ビジネスクラスやファーストクラスができると、6列よりも少ない場合がある。その場合に4列では「AB通路CD」と列名をつけてしまうと混乱が生じることになる。

飛行機に乗る人は窓側であるか通路側であるかを気にする。窓から外を見たいという人もいれば、景色は見なくていいので乗り降りが便利な通路側がいいという人もいる。飛行機の座席指定をする時に、窓側、通路側を選ぶのに、いちいち座席表を見なくてはならなくなる。

そのため、多くの航空会社では、「AとFは窓側」「CとDは通路側」と固定をしてしまった。このため、窓側に2列しかないレイアウトでは「AC通路」となる。また、6列以上ある航空機では、新たにHが通路側、Kが窓側に固定された。

つまり、飛行機でも高鉄でも、どのようなレイアウトであっても、窓側に座りたい人は「A、F、K」を、通路側に座りたい人は「C、D、H」を選べばいいことになる。

▲航空機の基本は、3列3列の座席レイアウト。これが基準となり、窓側はAF、通路側はCDというルールが決まった。

▲航空機でも、窓側はAFK、通路側はCDHGになるように座席番号が決められている。多くの乗客にとって、窓側か通路側かが重要だからだ。

▲日本の新幹線の場合、窓側Aは固定だが、もうひとつの窓側はDまたはEになる。通路側もCDまたはBCとなる。