ベトナムの産業が力をつけてきている。従来、中国で見かけるベトナム製品と言えば、サンダルが定番だったが、ベトナム製の電気自動車(EV)が中国で販売されるようになる可能性があると知嘹汽車が報じた。
ベトナム製EVが中国を走る
中国での販売を目指しているベトナム製EVは、VinFast VF9。広東省恵州市のある工場付近で、あるネットユーザーがカモフラージュラッピングをした試験車両を発見。ネット民たちの手によって、ベトナムの自動車メーカーVinFastのEV、VF9であると特定された。
当然ながら、中国市場への参入を前提とした試験走行に使われていると思われるが、VinFast側は公式には何もコメントしていない。
国内だけでなく海外進出を始めたベトナムEV
ベトナムではこの数年で、自動車メーカーが次々と誕生し、VinFastも不動産などで成長したVinグループのオーナー、ファム・ニャット・ブオンが設立をした。
2021年には3.6万台をベトナムで販売し、10%程度のシェアを獲得している。ベトナム市場での一定の地位を確保した後、VinFastは海外進出に力を入れるようになっている。米国ノースカロライナには20億ドルを投じて工場の建設も始めている。このようなVinFastの動きから、中国市場も当然視野に入っていると見られている。
価格は740万円。性能で勝負をする
VinFastは燃料自動車の製造から始めたが、現在は新エネルギー車にシフトをしている。恵州市で目撃されたVinFast F9は、EVのフラッグシップモデルとなる。
注目されるのは、ベトナム製だからといって低価格ではなく、品質と性能で勝負をしているという点だ。米国での販売価格は5.55万ドル(約740万円)からとなっている。テスラとほぼ同じ価格帯になる。
東南アジアEVの試金石となるベトナムEV
スペックは、この価格に見合うものになっている。シートは2+2+3の7人乗りSUV。2モーター4WDで、402馬力。0-100km/h加速は6.3秒とスポーツセダン並み。満充電航続距離は600kmとEVとしてはじゅうぶんなスペックだ。
もちろん、自動車としての性能、成熟度はまだわからない。EV先進国である中国にはBYDなどの優れたEVメーカーが存在し、そのような市場の中で居場所を確保できるかどうかも未知数だ。
しかし、東南アジアメーカーが電動バイクや低価格EVで中国市場に参入するのではなく、フラグシップEVで参入しようとしていることに関係者は驚いている。ベトナム以外にも、東南アジアにEVメーカーが続々と誕生している。VinFastが一定のシェアを獲得することができれば、他の東南アジアメーカーが続々と米国と中国の市場に参入するという現象が起きるかもしれない。