米国ノースウェスタン大学と中国清華大学の合同チームが、世界最小の歩行ロボットを開発した。レーザー照射により、歩行ができるというもので、血管の中に入り込み、血栓を取り除く任務を行うことを目標として開発されたと科学網が報じた。
サイズは0.5mm。世界最小の歩行ロボット
世界最小の歩行ロボットが開発された。サイズは0.5mmで、リモート制御による歩行、方向転換などが可能。非常に小さいロボットであるため、手術の際に血管に入り血栓を除去する任務に使うことが想定されている。
この世界最小ロボットを開発したのは米国ノースウェスタン大学の黄永剛、ジョン・ロジャーズ、中国清華大学の張一慧を中心にした合同チーム。
カニ歩きをヒントに開発された歩行ロボット
人は機械を開発するとき、頭のどこかに動物のイメージを持っている。飛行機を開発するときは鳥をイメージし、船を開発するときは魚をイメージする。この世界最小ロボットを開発する時にイメージされたのはカニだった。
研究チームの張一慧氏は科学網の取材に応えた。「私たちはさまざまな形態の極小ロボットを試作しましたが、その中で研究チームが注目したのがカニ型ロボットでした。その歩行の形式に注目したのです」。
▲ノースウェスタン大学による世界最小ロボットの紹介ビデオ。さまざまな試作ロボットも紹介されている。
レーザー加熱と形状記憶で脚を動かす
このカニ型ロボットは、1秒間に10回も脚を動かすことができ、1秒で半身分移動することができる。脚は形状記憶合金と二酸化ケイ素でつくられていて、レーザーを照射することで加熱し、脚を動かし、冷えると元に戻ることで歩行のサイクルを完結する。
研究チームのジョン・ロジャーズ氏は科学網の取材に応えた。「このメカニズムは非常に小さいので、レーザーを照射するとすぐに熱が伝わります。レーザーの照射をやめると瞬時に冷えます。これにより、素早く脚を動かすことができるのです」。
レーザーを照射する場所を制御することで、特定の脚を動かすことができ、これにより方向転換をさせることができる。
この研究が最初に発表されたのは2015年の科学雑誌「サイエンス」で、ようやく歩行のシステムが確立をした。次は知能を持たせ、人体内で求められる仕事をこなすことができるようにすることが求められている。