中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

ECがガチャになる?ハズレ商品は回収してもらえるビリビリEC

動画共有サービス「ビリビリ」のECが成長をしている。販売商品はフィギュアや電子周辺機器などだが、どのグレードの商品があたるかわからないガチャ感覚をECに持ち込んだ。識者からは批判もされているものの、今後ビリビリの大きな収入源になる可能性があると連線Insightが報じた。

 

分散化をしていくEC

中国のECと言えば、アリババの「淘宝網」(タオバオ)と天猫(Tmall)。そのライバルである「京東」(ジンドン)。さらに、ソーシャルEC「拼多多」(ピンドードー)が大手。しかし、この数年で大きく伸びたのが、中国版TikTok「抖音」(ドウイン)と「快手」(クワイショウ)によるショートムービーEC/ライブコマースだ。さらに、インスタグラムに似たSNS「小紅書」(シャオホンシュー、RED)のECも成長をしている。

つまり、ECは、アリババ、京東、拼多多という大手からさまざまなサービスへ分散する方向に進んだ。

 

何があたるかわからない魔力賞が人気に

その中で急成長をしているのが、動画共有サービスの「ビリビリ」のECだ。特に「魔力賞」(https://mall.bilibili.com/box/channel.html)と名付けられた盲盒(マンフー、ブラインドボックス)形式の販売が人気になっている。ビリビリでは「会員購」(https://show.bilibili.com/platform/mallhome.html?from=pc_show)というACGN(アニメ、コミック、ゲーム、ノベル)関連グッズのECも開設しているが、魔力賞が急成長し、ビリビリのEC収入の80%を占めるようになっている。

この魔力賞は、若い世代で流行している盲盒の仕組みを取り入れている。盲盒は、シリーズもののフィギュアで、箱を開けてみるまでどれが入っているかわからないというもの。コンプリート欲を刺激する販売方法で、ポップマートが、日本のソニーエンジェルにヒントを得てオリジナルフィギュアを販売したところ、大きなブームとなっている。

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▲ビリビリの魔力賞。あらゆるものをブラインドボックス形式で販売すると言うユニークなECで、利用者が増えている。

 

フィギュアだけではないブラインドボックス

ビリビリの魔力賞では、フィギュアだけでなく、さまざまなものが盲盒形式で販売されている。キーボード、マウス、ワイヤレスイヤホン、スマートフォン、ゲーム機、玩具など、若い世代を対象した商品の福袋のような感覚になっている。

盲盒の構成の仕方にもよるが、商品には「超神」「欧皇」「隠蔵」「普通」という4つのクラスがあり、それぞれに当たる確率が提示される。超神クラスでは1万元程度、普通クラスでは100元以下の商品で構成されることもある。つまりは、リアルな商品を使ったガチャに近い。

これを魔石を使って購入する。魔石は100魔石が26.45元(約510円)で購入することができる。

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▲販売されるのはフィギュアだけではなく、電子周辺機器などもある。いずれも、購入するまでどのグレードの商品が買えるかわからない。

 

人気の秘密はハズレ商品の回収ルール

この魔力賞が一気に広がったのは、回収ルールがあったからだ。商品を購入して、それが気に入らないハズレだった場合、商品を回収してもらうことができる。その場合は、回収手数料を引いて、80%の魔石が戻ってくる。これがあるために、次から次へと買ってしまうのだ。

しかし、これは専門家から危うい仕組みだという批判がなされた。結局、くじを引かせて、価格の20%を取っているだけではないかという指摘だ。この仕組みには、決済手段として利用されているWeChatペイを運営するテンセントからも指摘があったようで、現在、回収の仕組みは停止されている。

また、五連盲盒にも問題が指摘されている。これは5回まとめて盲盒を購入すれば、同じ商品がかぶらないというものだが、中にはマスクが商品に含まれていて、マスクの絵柄が異なるだけで違う商品とし、5回買っても結局、5枚とも違う絵柄のマスクだったということもあり、消費者からのクレームがあがっている。

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▲ビリビリ会員購。こちらはビリビリ関連グッズの通常の販売サイト。若い世代の間で人気となっており、ビリビリの重要な収入源のひとつになろうとしている。

 

ビリビリならではの販売方法

しかし、この魔力賞を歓迎している消費者も多い。主力製品は、フィギュアやACGNの派生商品だが、ビリビリでは版権処理を行った正規品しか販売をしていないため、安心をして、質の高い商品が購入できるからだ。盲盒形式の販売方法も楽しく、楽しめて購入できると歓迎されている。

一方で、回収ルールや五連盲盒の問題など、消費者に対してアコギな販売手法も存在をしている。ビリビリは、このあたりを調整して、消費者に歓迎されるサービスに育てていく必要がある。

ビリビリの視聴者の60%を占める18歳から24歳の若い世代には、ACGN関連商品を盲盒形式で販売するというスタイルは歓迎をされている。問題を解消していけば、有力なECのひとつに成長する可能性があると注目されている。