中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

シェア自転車の違法駐輪問題の決め手。成都市がブルートゥースペグを採用

コロナ禍による外出自粛が緩まるとともに、再びシェアリング自転車の違法駐輪問題が注目されるようになっている。四川省成都市では、駐輪場所にブルートゥースペグを採用したと中国新聞網が報じた。

 

終息後再び問題になるシェアリング自転車違法駐輪問題

コロナ禍による外出自粛が解け、街中には人が戻り始めている。週末や休日には、著名な観光地は以前と変わらない混雑ぶりになっている。その中で、シェアリング自転車の利用が活発となるとともに、駐輪問題が再び問題となっている。

シェアリング自転車は、専用アプリやミニプログラムで、自転車につけられているQRコードを読み取ると鍵が開く。移動後には、近くの指定された駐輪場に返却をして鍵を閉めるというものだ。鍵を開けてから閉めるまでの時間に応じて、利用料が課金される。

ところが、駐輪場に返すのが面倒だと、都合のいい場所で鍵を閉めてしまう人がいる。このため、街中のあちこちにシェアリング自転車が散逸することになっていた。市民からは、歩行や交通の妨げになると苦情が相次ぎ、シェアリング自転車運営企業では、トラックで街中を巡回して、違法駐輪の自転車を集め、駐輪場に移動させるという業務が必要になっていた。

f:id:tamakino:20210308101000j:plain

都心部ではシェアリング自転車の駐輪場は決められている。返却するときは、近くの駐輪場に返すのがルールだが、歩道などに止めて、鍵をかけてしまう人がまだいて、通行の妨げになることがある。

 

違法駐輪問題の切り札、ブルートゥースペグ

四川省成都市の新都区行政執法局は、主要なシェアリング自転車運営企業と共同をして、ブルートゥースペグを開発した。このペグは、自転車とブルートゥース通信をし、この信号が得られないと、鍵を閉めることができない仕様にした。駐輪場以外に止めようとすると、鍵を閉めることができず、駐輪場に移動するしかない。もし、鍵を閉めないまま放置をすると、時間課金が止まらず、開場したままの自転車が誰かに乗られて行方不明になってしまうと、利用者は賠償をしなければならなかったり、信用スコアが低下をするなどの不利を被ることになる。

f:id:tamakino:20210308101003j:plain

▲駐輪場に埋められたブルートゥースペグ。このペグと通信ができないと、自転車の鍵が閉まらず、返却ができないようになっている。都心部以外では、GPS情報からペグとの通信がなくても施錠できる。

 

違法駐輪問題の決め手となるペグ

このブルートゥースペグは、1.5m以内の自転車と通信がすることができ、駐輪場に1.5m間隔で設置をしていくと、1つのペグで平均1.5台分の自転車を管理できる。

成都市では1300個のペグを駐輪場に整備をしたため、おおよそ2500台の自転車を管理できるようになる。

成都市すべてのシェアリング自転車をこのペグだけで管理をすることはできないが、シェアリング自転車のユニットは、GPD、北斗、ブルートゥースWi-Fiの機能を備えており、位置情報を取得することができる。都市の中心部では、ペグで管理をし、位置情報から中心部ではない場合は、どこでも鍵がかけられる仕組みになっている。

このようなブルートゥースペグは、上海市も採用し、20カ所の駐輪場に採用されている。他の都市でも同じ問題を抱えているため、他都市にも広がっていくと見られている。

f:id:tamakino:20210308100955p:plain

▲白線の外、つまりペグと通信できない場所に駐輪しようとすると、鍵が閉まらず、返却できない仕組み。