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ライブ型クイズ番組。急激に流行して、急速に冷え込む

中国のネット界で、2018年の台風の目になると言われていたのが、ライブ型クイズ番組だ。しかし、今年になってわずか2ヶ月。早くもライブ型クイズ番組の配信終了が出始め、ブームは急速に縮小していると鉛筆道が伝えた。

 

無料で参加して、全問正解で必ず賞金獲得

このライブ型クイズ番組は、毎日決まった時間に配信されるクイズ番組ライブ。実際に回答をすることができ、12問連続で正解すると、予告された賞金を全問正解者で山分けすることができるというもの。1問でも間違えると、その時点で失格となる。参加費用は無料で、賞金獲得のチャンスがあるため、昨年米国でHQトリビアが爆発的な人気を得て、昨年末から中国でも多数のライブ型クイズ番組が登場している。

「百万家」「沖頂大会」「百万英雄」「答題線」「百万選択王」など、あっという間にライブ型クイズ番組が登場し、多くの利用者を獲得した。今年、2月の春節(中国の旧正月。自宅で家族とすごすことが多い)では、大量のアクセスがあると、各番組とも準備を進めていたが、期待に反して、普段よりもアクセス数が少ないほどだった。中には、「調整中」と称して、配信を急遽中止してしまった番組もある。

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▲ライブ型クイズ番組では、MCが登場して、クイズ問題を読み上げる。各番組とも著名人をMCに起用するなど、競争が激化している。

 

急騰するユーザー獲得コスト

このようなライブ型クイズ番組の目的は、ユーザーを集めることで、単独でライブ型クイズ番組を運営するのではなく、動画配信サイトやSNSが主催をすることが多い。本来の配信アプリやSNSアプリをダウンロードしてもらう、ユーザー登録をしてもらうことが目的だ。

中国でのユーザー1人の獲得コストは、うなぎ登りに上がっている。数年前は1人数百円で獲得できると言われていた。ユーザーを獲得するために、ウェブ広告、雑誌新聞広告、テレビ広告などを打ち、そのコストを獲得したユーザー1人当たりで割ったものがユーザー獲得コストだ。ライブ型クイズ番組は、1回あたり数十万円の賞金を支出する必要があるが、それで数万人の新規ユーザーを獲得できるのだから、低コストで新規ユーザーを獲得できる方法として利用されている。

このライブ型クイズ番組の新規ユーザー獲得の原動力となっているのが、復活カードの存在だ。ユーザー全員に招待コードが発行され、知り合いなどの新規ユーザーがこの招待コードを入力して新規登録をすると、両方のユーザーに復活カードが与えられる。この復活カードがあると、クイズに間違えても失格になることがなく、クイズを続けることができる。この招待コードがSNSで拡散し、新規ユーザーをひき入れる原動力になっている。

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▲ライブ型クイズ番組のクイズ画面。「神舟5号から神舟11号まではみな何?友人宇宙船。ミサイル。人工衛星」という問題。10秒以内に正解をタップする。

 

地方都市の低所得者を中心に火がついた

調査会社「企鵝智酷」が公表した「全国ライブクイズ番組ユーザー調査報告」によると、このライブ型クイズ番組に参加しているユーザーのプロフィールは、地方都市の20代女性が主体になっている。意外に大都市住人は利用をしていない。また、ユーザーの所得も月5000元(約8万4000円)以下が半数以上と、比較的低所得者中心だ。また、半数以上が、一人で楽しむのではなく、友人や家族と一緒に回答して楽しんでいるという。

ライブ型クイズ番組の配信時間は、1日2回程度、例えば午後3時と午後7時などと決まっている。そのため、地方都市の住人が、自宅や寮で、家族や友人と楽しんでいることが多いのだと思われる。

 

急速に荒れていくライブ型クイズ番組の世界

しかし、クイズ番組といっても、クイズを楽しむのが目的ではなく、多くの人は実際に賞金がもらえることが面白くて参加している。そのため、すぐにライブ型クイズ番組の世界は荒れていった。

当然、出てくるのが復活カードの売買だ。さらに、有料でクイズの解答を教えてくれるサービス、アプリも無数に登場している。2台のスマートフォンを用意し、1台でライブ型クイズ番組を視聴し、もう1台で解答を教えてくれるアプリを起動する。ライブ型クイズ番組では、MCが音声で問題を読み上げる。解答アプリは、その音声を聞き取って、人工知能が分脈を解析し、最適な検索を行ってくれるのだ。これをわずか数秒で行う。

さらに、過当競争により番組も低俗化をした。どの番組も、MCが登場をして、クイズの案内をするのだが、露出度の多い美女がMCとして登場をし、恋愛や性的な内容のクイズを出すということが問題視をされた。

また、香港と台湾を国家と考えないと正解にならないクイズを出題したため、炎上をしてしまった番組もある。

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▲出題の音声を聞き取り、人工知能が分脈解析を行い、最適なWebページを表示してくれるお助けアプリ。現在では、ほとんどの人が利用しているのではないかと思われる。

 

ずるをする人が増えすぎて、賞金が獲得できない

最大の問題は、このライブ型クイズ番組が、クイズを楽しむ番組ではなく、賞金欲しさで視聴している人がほとんどだということだ。昨年のうちは、参加者も少なく、賞金を手に入れた人が続出した。しかし、今では、参加者の人数も大きく増え、しかも違法な手段で手に入れた復活カードを使い、違法な手段を使ったチートサービスを利用している人が増えてきた。とても、普通の人が12問正解をすることが難しくなり、うまく全問正解をしても、賞金は正解者全員で均等分配するため、一人当たりの賞金額は小さくなってしまっている。

つまり、賞金が欲しくて参加をしているのに、ずるをする人が増えすぎて、アホらしくなってしまっているというのが、参加者が減少している原因だ。今後、各番組運営者が番組内容を改善して、再度盛り上がることも否定はできない。しかし、そもそもが新規ユーザーを低コストで獲得できる方法として利用されたことから、各運営者は獲得力が弱くなれば、別の方法を模索するのではないかと見られている。

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