中国のSNSでデマ情報が増えている。注目を集め、広告料を稼ぐのが目的だ。公安部ではその摘発を行い、3.1万人を処分し、19.9万のアカウントを停止した。公安部では典型的なデマ情報の公開も行っていると中国警察網が報じた。
金銭目的で多発するデマ情報の拡散
SNSではさまざまな情報が拡散しているが、その中にはデマ情報も多い。現在、そのデマ情報を流す目的の多くは、トラフィックを集めて広告手数料を稼ぐというものだ。
公安部では、このようなデマ情報を摘発するため、全国の公安局のネットセキュリティ部門と連携し、今年2024年になって、すでに2.7万件のデマ情報事件を摘発し、3.1万人を処分し、19.9万のアカウントを閉鎖した。削除したデマ情報は156.2万件にもなる。
同時に、公安部では、注意喚起のために典型的なデマ情報を公表した。
1:有名人のスピーチに内容の異なる中国語字幕をつける(広東省)
2024年8月、広東省の張某は、インターネットである海外の有名人のスピーチビデオをダウンロードし、スマートフォンの編集アプリを使い、スピーチの内容とはまったく関係のない中国語字幕をつけ、ネットに公開した。注目を集め、広告手数料を稼ぐのが目的だった。
2:虚偽の事故情報を捏造する(江蘇省)
2024年8月、江蘇省の徐某は、インターネットで過去の交通事故現場の写真を収集し、ビデオ形式にまとめ、「常瀘高速で55人が死亡する交通事故が発生した」という虚偽の情報を添えて拡散させた。このビデオの内容は、すべて過去の交通事故映像であり、そのような事故は発生をしてなかった。注目を集め、広告手数料を稼ぐのが目的だった。
3:交通警察と人民解放軍が衝突をした(湖北省)
2024年5月、袁某は、テレビドラマとインターネットドラマの映像を繋ぎ合わせて「交通警察と人民解放軍が衝突をし、人民解放軍が装甲車を出動させた」という虚偽の内容のビデオを制作し拡散させた。注目を集め、広告手数料を稼ぐのが目的だった。
4:南京空港で熱中症の女性が拒絶をされた(江蘇省)
2024年7月、馬某は、「南京のある空港で、並んでいる時に熱中症で倒れた女性が休息場所を求めたが、保安検査員に拒否をされた」という文書を捏造し、ビデオ形式で拡散した。注目を集め、広告手数料を稼ぐのが目的だった。
5:ライドシェアがストライキを起こした(青海省)
2024年5月、童某は、あるライドシェア企業の車が大量に停車している写真を使い、「そのライドシェア企業がストライキに入っている」というビデオを制作し、拡散させた。注目を集め、広告手数料を稼ぐのが目的だった。
6:オリンピック選手に対する誹謗中傷(江蘇省)
2024年8月、陳某と奚某の2人は、パリオリンピックに出場したある選手に対し、虚偽の情報に基づいて誹謗中傷をした。不満を発散することが目的だった。
7:地下駐車場で大量のEVが火災(江蘇省)
2024年8月、毛某は、韓国で発生した地下駐車場の電気自動車の火災の写真をインターネットで収集し、「常州市武進区のあるマンションの地下駐車場で、EVの連続火災事故が発生した」という虚偽の情報をWeChatグループに流した。この情報は、メディアまで報道する事態となり、社会に悪影響を与えた。注目を集めることが目的だった。
8:教師が受験生の成績を改竄(江蘇省)
2024年7月、洪某は、自分の憶測だけで、「ある職業高校の2人の教師が、ある受験生の成績を改竄し、その生徒は志望校に不合格となった」という情報を拡散させた。不満を発散することが目的だった。
9:大学教授が謝罪をしたかのように捏造(江蘇省)
2024年7月、張某は、違法行為の疑いがかけられ話題になっている大学教授を装い、謝罪文を捏造し、ネットに拡散させた。注目を集め、広告手数料を稼ぐのが目的だった。
10:13歳の未成年と関係を持ち妊娠させた(江蘇省)
2024年8月、季某ら2人は、「自分が13歳の女の子と性的な関係を持ち妊娠させた」という虚偽の情報を拡散させた。注目を集め、広告手数料を稼ぐのが目的だった。
このようなデマの拡散は跡を絶たない。公安部では、この他、約520件の事件の概要を公表し、注意喚起を行っている。