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テスラは1時間で8000円。EV充電スポットが取り始めた超過料金

充電スポットの数はじゅうぶんに足りているのに、それでも充電スポットが見つからないという問題が解消されない。充電が終わっているのに占有し続ける車が多いからだ。そこで、各社は充電後の超過料金を取り始めたが、利用者から不満も多いと毎日経済新聞が報じた。

 

数はじゅうぶんでもまだ足りない充電スポット

新エネルギー車(NEV=New Energy Vehicle)の普及に伴い、充電スポットの拡充が進み、中国充電連盟の統計によると、2024年6月末時点で充電スタンドの数は全国で1024.3万台となった。NEVの保有台数は2472万台と推定されるため、比率は1:2.4となり、適正な充電スポット量と言われる1:3を大きく超えている。

それでも、乗用車市場情報聯席会(CPCA、http://www.cpcaauto.com/)の崔東樹秘書長は、毎日経済新聞の取材に対してこう語っている。「近年、充電スポットの数が急速に増えているにも関わらず、多くのNEVオーナーが充電スポットが見つからないか、見つけても利用できないという問題に直面している」。

▲充電スポットの数はじゅうぶんに足りているが、充電完了後も占有する車が多いために利用できる充電スポットが不足するという問題が起きている。

 

充電が終わっても占有し続ける車が問題

なぜ、数としてはじゅうぶんすぎるほど足りているのに、充電スポットが見つからない問題が起きるのか。

ひとつは、全体の数は足りていても、密度の濃淡があり、休日の商業施設や高速道路SA、地方都市など、局所的に充電スポット数が不足している場所があるという問題がある。

もうひとつは不適切な占有だ。充電の必要がない燃料車が駐車場代わりに止めてしまう、NEVであっても充電が終わっているのにそのまま止めたままにする。このような不適切な占有があるために、NEVオーナーが充電したい時に利用できないという問題が起きている。

この不適切な占有を解消することが充電スポット利用の鍵になる。そこで、各充電スポット業者は、充電が終わったのに占有しつける場合、超過料金を徴収する仕組みを導入し始めた。

 

超過料金を取り始めた充電スポット各社

現在、充電スポットの運営者は4つに分類することができる。

1)充電設備メーカーが充電ステーションも運営する例

→星星充電(https://www.wbstar.com/)、特来電(https://www.teld.cn/)など。

2)充電ステーションのみを運営する例

→雲快充(https://www.ykccn.com/)、小橘充電(https://xjcd.didiglobal.com/)など。

3)電力会社が運営する例

→e充電(http://www.evs.sgcc.com.cn/)など

4)自動車メーカーが独自に運営する例

テスラ(https://www.tesla.cn/)、蔚来(NIO、https://www.nio.com/)など。

このような充電スポットを利用するには、充電料金と駐車料金(商業施設などでは無料にしている例も多い)を徴収していたが、多くの事業者が時間超過料金を徴収し始めている。

充電が終わったら早くどかしてもらうこと、充電しない燃料車の駐車を排除することが目的で、利用者の利便性と充電事業の効率を高めることができる。

▲各社充電スポット運営は、充電完了後にも占有する場合は超過料金を取るようになった。早く移動してもらうための工夫だ。

 

テスラは1時間で8000円の超過料金

例えば、特来電では、充電が完了しても15分以内は超過料金を徴収しないが、それ以降は1分につき1元を徴収する。小橘充電では充電完了後20分は無料で、それ以降は0.17元/分を徴収し、上限は30元となる。

その中で超過料金が高いのがテスラだ。テスラでは充電完了後毎分3.2元が徴収され、利用度が高い充電スポットでは毎分6.4元になる。この場合、1時間の超過で384元(約8000円)となり、しかも上限がない。ただし、充電完了後5分以内に移動した場合は超過料金を徴収せず、なおかつその充電スポットの空きスタンド率が50%以上の場合は、超過料金が発生しない。

 

充電完了即移動は、利用者から不評

テスラの場合はかなり高額の超過料金を取るようになっているが、その他の多くは1分1元、つまり1時間で60元(約1200円)と料金は低めに設定されている。超過料金をあまり高くしてしまうと利便性を損ねてしまうからだ。例えば、ショッピングモールに買い物に行って、充電スポットに駐車をする。しかし、充電完了通知がきたら、いったん駐車場に戻り、車を移動しなければならないのだ。しかも、混雑する商業施設の場合、時間が経つと、普通の駐車スペースが空いているかどうかも保証できない。この面倒さがある。

 

80%充電の習慣を広げることが鍵になる

自動車メディアでは、80%充電を勧めている。バッテリーの充電は、充電スタンドとバッテリーの電圧差で行われるため、バッテリー電圧があがる80%以上では充電速度が遅くなる。そのため、80%で充電を終えて使用した方が時間の節約になる。また、バッテリーへの負担も軽くなり、故障が起きる確率も低くなる。80%通知を受け取ったら、自動車を移動させる習慣をつけることを勧めている。

それでも、いったん車を移動しなければならないというはやはり面倒だ。理想的にはほぼすべての駐車スペースに充電スタンドが整備され、放置しても超過料金を取る必要のない状況になることが望まれる。