甘粛省酒泉市アクサイカザフ族自治県の太陽光+熱発電所が始動をした。太陽光発電は出力が変動するという問題を解決するため、太陽熱でも発電を行う。溶融塩を太陽光で加熱し、保存をしておき、太陽光の出力が落ちた時に発電をし、発電所からの出力を安定させるというものだと長江日報が報じた。
太陽光+太陽熱発電所が始動
甘粛省酒泉市アクサイカザフ族自治県に中国中鉄十一局が建設していた「太陽光+太陽熱」発電所が完成し、試運転が始まる。この発電所は太陽光発電と太陽熱発電を組み合わせたもので、太陽光640メガワット、太陽熱110メガワット、合計750メガワットの発電能力を持っている。約57万家庭の電力をまかなえることになる。
太陽光を集めて熱発電
この発電所で注目されているのは、世界最大のタワー型太陽熱発電だ。中央には吸熱タワーがあり、その周囲を螺旋状に1万1960枚の五角形の鏡が螺旋状に並んでいる。この鏡は可動式で、太陽の位置に合わせて動き、太陽光をタワーの吸熱部に反射させる。
タワーの中では、溶融塩が循環をし、太陽光により565度に熱せられ、この熱により蒸気を発生させタービンを回して発電する。発電に使われた溶融塩は290度程度にまで冷えるので、再びタワーに送られ、太陽光で熱せされる。
光と熱を組み合わせて出力を安定化させる
この太陽熱発電は、太陽光発電と組み合わせることに意味がある。太陽光発電は、土地と日照さえあれば非常に効率がよく低コストの発電方法になるが、問題は天候により発電量が低下をし、夜間は発電ができなくなることだ。この発電量が変動することが大きな課題となっていた。
電力ネットワークは、発電量と消費量をそろえる必要がある。そのため、太陽光や風力など天候により出力が変動する発電を行うときは、火力発電などの出力調整がしやすい発電所で、細かい調整をしなければならなかった。ここが脱炭素発電の大きな課題になっていた。
そこで太陽熱発電との組み合わせることが進められている。熱せられた溶融塩は保温タンクに貯蔵ができるため、昼間熱せられた溶融塩を保存しておき、曇天や夜間に発電をすることができる。溶融塩で蓄熱をすることで、太陽光の変動を補い、発電所全体としては24時間安定して電力を供給できるようになる。
世界で進む「光+熱」発電
このようなタワー式太陽熱発電は世界中で再生可能エネルギー発電として注目をされている。スペインのヘマソラール発電所(20MW)、米国イバンパー発電所(392MW、3基)、米国クレセントデューンズ発電所(110MW)、モロッコNOOR3発電所(150MW)などがある。
中国でもこのアクサイカザフ発電所の他、現在35ヶ所の太陽光+太陽熱発電所の建設が進められている。太陽光、風力、潮流などの自然エネルギーによる発電は、CO2を排出しないクリーンな電力を得られるが、発電量が自然まかせという大きな課題があった。この太陽熱発電は、この太陽光発電の課題を解決する切り札として、今後太陽光+太陽熱発電所が各地に建設されていくことになる。