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進む中国の太陽光発電。化石燃料は50%以下に。太陽光発電と同時に砂漠を緑化し、羊を放牧する

中国の化石エネルギーの発電割合が50%を切った。太陽光発電が大きく伸びているからだ。太陽光発電所の多くは砂漠にあり、同時に緑化と羊や牛などの放牧も進められている。発電、羊、漢方薬と複数の収入チャンネルを確保しようとしていると科普啓示録が報じた。

 

化石エネルギー発電割が50%を切った中国

国家エネルギー局の2023年1月から11月までの発電設備容量の統計によると、初めて、化石エネルギー発電の割合が50%を切った。大きく伸びたのは太陽光発電で、中国には広大な砂漠地帯があり、太陽光発電所が急速に増えている。

その多くの太陽光発電所では、砂漠に太陽光発電パネルを並べただけでは経営がなりたないため、合わせ技で収益をあげる工夫が進んでいる。その中でも注目されているのが、寧夏回族自治区の新エネルギー総合モデル地区で、トングリ砂漠に太陽光発電パネルが設置されている。ここでは、発電とともに砂漠の緑地化を同時に進めている。

▲中国エネルギー局による2023年の発電内訳。化石エネルギーを使う火力発電が50%を切った。太陽光発電が大きく伸びている。

経済産業省による日本の2023年の発電内訳。火力発電(石炭、天然ガス、石油)など化石エネルギーによる発電割合が高く、気候変動対策の目標達成が難しくなっている。

 

砂漠の緑地化と太陽光発電を同時に進める

トングリ砂漠では、日照時間が年間3000時間にもなり、そのうちの半分以上は発電に適した日照が得られる。実績によると、ここでは1平米あたり2000kWから3000kWの発電が可能で、一般家庭の電力であれば、わずか2平米でまかなうことができる。

砂漠は、黄砂や砂塵の原因となるため、緑地化をして砂による災害を防ぐ必要がある。また、緑地化をすることで農地を増やすことにもつながる。このため、砂漠のうち都市に近い部分では、以前から緑地化の工夫が進められていた。一方、太陽光発電所もインフラ設置などの関係で、都市に近い部分に設置をしたい。そこで、太陽光発電パネルで日照を遮って、緑地化を同時に進める試みがされてきた。

▲トングリ砂漠の太陽光発電所。砂漠の緑地化が同時に進められている。

 

灌木を植え、羊を放牧する太陽光発電

当初は、砂の中にワラを埋めていき、格子状の保護帯をつくり、砂を固定する試みがされたが、あまりうまくいかなかった。砂の中のワラは腐りやすく、保護帯が壊れてしまうのだ。

さらに、太陽光パネルを設置しただけだとうまく運用ができないこともわかった。砂塵などが起きると、太陽光パネルが風を撹乱し、パネル設置箇所の砂が削れてしまい、砂塵によってパネルが転倒するなどの事故も起きた。

そこで、砂漠周辺に自生をしている灌木の一種である梭梭などを植える試みがなされた。灌木は成長が早く、吸水性がよく、少ない水で育つことができ乾燥に強い。さらに、根がしっかりしているため、砂塵にも耐えることができる。これで砂を固定し、砂塵に耐えようという発想だ。

また、灌木もさまざまなものが試され、最終的にはキバナオウギが選ばれた。このような植物は乾燥に強いだけでなく、成熟をすると漢方の生薬として販売することができる。つまり、太陽光で発電をし、羊を放牧し、漢方薬を収穫するという、1つの土地を3つの用途で活用するサイクルができあがった。

▲当初は藁で区画をつくり、砂を固定して緑化をしようとしたが、藁が腐ってしまいあまりうまくいかなかった。

太陽光パネルの下には灌木を植えると生長が進み、緑化が可能なことがわかった。

 

太陽光パネルの洗浄水で灌木に水を供給

灌木はわずかとは言え、水を必要とする。この水はどうするのか。太陽光発電パネルには砂がかぶり、次第に発電効率が下がっていくため、定期的に洗浄をする必要がある。この水を地面に流し、灌木の水分とする。太陽光発電パネルが適度な日陰をもたらし、水分の蒸発も抑えられる。

現在、緑地化が進み、次は食用野菜の栽培ができないか、挑戦が続いている。

太陽光パネルの下では羊が放牧される。日陰になって、羊にとってもいい環境になっている。