このスマホ時代になっても、紙の新聞は1日1億部が印刷され、発行される。それだけの読者がいるということだ。特に地方紙は、紙でも読まれ、ウェブでも広告収入を得ることができ、経営が上向いている新聞社もあるほどだと不執着財経が報じた。
この時代にも1日1億部が発行される紙の新聞
最近、街中で新聞を読んでいる人を見かけることはほとんどなくなった。紙の新聞の数はこの10年で40%近く減少し、駅前などに必ずあった「報刊亭」(新聞スタンド)は、なくなるか、朝食や飲料を売るキヨスクに転換している。報刊亭という言葉自体が死語になりつつある。
しかし、中国報業協会印刷工作委員会による全国新聞印刷量調査統計によると、2023年は151のメディアが373.77億部の新聞を印刷した。新聞の印刷量は9年連続で減少し、2022年の385.42億部から3.02%の減少となったが、その減少幅は小さく、新聞の発行量は安定しているとも言える。毎日発行されているとして、1日1億部以上が発行されていることになる。
しかも、年間5億部以上発行するメディアが26社もある。これは平均して130万人以上の読者がいるということになる。いったい、今の時代、このような大量の新聞を誰が読んでいるのだろうか。
地方紙を読む高齢者はまだ多い
現在、新聞の総数は1810紙あり、意外に強いのが地方紙だ。地方紙は859紙あり、全体の47.5%を占めている。このような地方紙を読むのは60歳以上の高齢者だ。このような高齢者は現役時代に新聞を読むという習慣を身につけたため、現在でも新聞を読む傾向がある。スマートフォンで検索をすれば、より広い情報を得られることはわかっているが、知識を得るためというよりは、日常生活の習慣として新聞を読む。
多くの高齢者がスマホで記事を読むことよりも新聞を読むことを好む理由が、新聞の記事には終わりがあるということだ。ネットは無限に記事が出てくるが、新聞は紙面に限りがあるために、自分が興味がある経済欄や生活欄のすべてを読み切ることができる。この読み切ったということが大きな満足感になっている。このような高齢者は地方紙を定期購読し、毎日読み、「この地域のことはほぼ知っている」という満足感を得る。
紙でしか流通しない専門紙
公的機関ではいまだに主要各紙を定期購読して、職員に提供をしている。その機関が関連する専門紙の多くは、特定の人しか必要としない情報を掲載しているため、ウェブ化をせずに紙のみで発行をしている例が多い。このような専門紙は、紙で読むしかない。特にその業界のキーマンの意見やインタビューは重要な情報源であり、新聞を読むことが業務のひとつになっている。
学生たちも教材のひとつとして新聞を使う
小学校から大学までの図書室でも紙の新聞が提供されている。高校までは、校内でスマホを使うことは禁止されていることが多いため、学生たちは意外に新聞を読む。授業でも新聞記事を題材にした学習やレポート課題が出されるため、学生が新聞を読む機会は多い。
暇つぶしに読んでいた人がスマホに移行をした
つまり、これまで電車の中や公園で暇つぶしに新聞を読んでいたような人たちは、とっくにスマホに移ってしまい、街中で新聞を読む人の姿を見かけることはほとんどなくなっているが、新聞を必要としている人はまだ多くいて、職場や学校で読まれている。暇つぶしに読む人が減り、新聞の発行部数は年々減少をしてきたが、ここにきて下げ止まり傾向にあるのは、必要としている人がまだ一定数いるからだ。
専門紙を発行するメディアは、公的機関や業界の支援を受けている。一般紙を発行するメディアは、新聞紙とウェブの両方でニュースを発信し、ウェブでは広告収入などを得ることができるようになっている。特に地方紙は、これまでその地域の人にしか読まれなかったが、ウェブ版は全国の人に読んでもらえるため、紙だけの時代よりも経営が上向いている地方紙メディアもあるほどだ。
スマホが登場して消えるものの第一に挙げられやすい新聞紙だが、現実にはまだまだ消えることはなさそうだ。