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AIとスーパーアプリは相性がバツグン。スマホ決済「アリペイ」にAIエージェントが搭載

スマホ決済「アリペイ」にAIエージェントが搭載された。これまでは交通チケットやホテル、飲食店を検索するのに、自分で検索条件を設定して、絞り込みをしていかなければならなかったが、AIエージェントにお願いをすることで、予約までやってくれるようになったと新京報が報じた。

 

検索は検索エンジンからAIエージェントに

対話型AI、生成AIが身近なものになり、AIエージェントという概念が注目をされている。業務の場では、仕事を手伝ってくれる「AIアシスタント」「コパイロット」という概念が適しているが、生活の場では、何でも調べてくれて代わりにいろいろなことをしてくれる「AIエージェント」が向いている。

例えば、検索して調べ物をするということはもはや検索エンジンは不要で、AIエージェントで行う人が増えている。キーワードを考えて検索し、表示されたウェブを頭から読んでいくという効率の悪い調べ方は過去のものとなり、AIエージェントに質問を素直に聞いてしまえばいい。わかりやすい回答を示してくれるし、さらに深掘り質問もできる。しかも、その回答の根拠となったソースのリンクも提示してくれるため、正確さも担保することができる。

 

相性抜群のスーパーアプリとAIエージェント

このようなAIエージェントの活躍が期待されているのがスーパーアプリだ。中国ではスマホ決済「支付宝」(アリペイ)、SNS微信」(WeChat)の2つがスーパーアプリと呼ばれる。アリペイでは決済ができるだけでなく、さまざまなミニプログラムを通じてモバイルオーダーやホテル予約、チケット購入ができるようになっている。このようなスーパーアプリでAIエージェントが使えるようになれば、旅行の計画を立てたらチケットとホテルを予約してもらうなどということが可能になる。

アリペイでは「知能助理」という機能を追加し、このAIエージェントを搭載した。AIエージェントに対しては、テキスト入力または音声で命令を出すことができる。

 

ホテル探しから予約までをAIがやってくれる

最もわかりやすいのがホテル予約だ。場所と日程をしたり、「この近くで最も安いホテル」「特定の場所に最も近いホテル」などを探してもらうことができる。もちろん、そのまま予約をすることが可能だ。

▲場所を指定して、ホテルを検索することができる。さらに、「ジムがあるホテル」「xx元以下のホテル」など、細かい条件を追加することも可能。もちろん、予約も行ってもらえる。


列車、航空機のチケット予約も

列車の予約も始発都市と到着都市を指定すれば可能だ。また、「7月で最も安い航空機チケットは?」という尋ね方もできる。

▲列車のチケットもAIから予約ができる。「明日の5時までに到着したい」「最も早く行けるチケット」などの条件をつけて、航空機、新幹線、列車などを横断して調べてもらうこともできる。

▲「北京から三亜まで、7月中でいちばん安い航空機チケット」を調べてもらった例。

 

近くの娯楽検索と予約も

娯楽や食事で役に立つのは「この付近で」という探し方だ。「この付近で見られる映画で人気のものは?」「この付近で人気の火鍋屋は?」という探し方をすると、映画のチケット購入、飲食店の予約ができる。

▲現在地近くで見られるおすすめの映画を検索してもらうと、その評価も表示してくれる。そのままチケット購入や座席予約も可能。

▲現在地近くで食べられるおすすめの飲食店を検索してもらうと、メニューやおすすめ料理なども教えてくれる。飲食店を選ぶと、地図アプリに移動し、歩くルートを表示してくれる。

 

スーパーアプリはAIコンシェルジュになっていく

さらに、アリペイの履歴データも調べられるため「光熱費を支払って」「今月、食費にいくら使った?」「浄水器を買ったのはいつだっけ?」という尋ね方も可能だ。

アリペイからはさまざまな企業のミニプログラムを呼び出すことができる。AIエージェントに問い合わせをすると、適切なミニプログラムを呼び出し、内容の検索をしてくれる。今までは、人間側がどのミニプログラムを使うべきかを考え、手動で検索しなければならなかった。その必要がなくなる。スーパーアプリは、AIエージェントを実装することで、真のスーパーアプリになっていきそうだ。