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カフェブームでも、いちばん売れているのはインスタントコーヒー。インスタント人気の理由とは

カフェ競争が熾烈となり、コーヒーの相場は9.9元と非常に買い求めやすい価格になっている。しかし、その中でインスタントコーヒーの人気が上昇をしている。女性がダイエット、アレンジ、経済性などに注目をしているからだと中国新聞週刊が報じた。

 

カフェ全盛の時代になぜかインスタントコーヒーが人気に

カフェチェーンの瑞幸珈琲(ルイシン、Luckin Coffee)と庫迪(クーディー、COTTI COFFEE)の9.9元対決により、スターバックスまでクーポン券による実質的な値下げをせざるを得なくなり、現在、コーヒーの相場価格は1杯10元(約220円)程度になっている。

その煽りを受けていると思われるのがインスタントコーヒーだ。街中のカフェで淹れたてのコーヒーが10元以下で買え、テイクアウトやデリバリーもできるのだから、わざわざインスタントコーヒーを淹れるような人はいなくなるのではないかと誰しもが思う。しかし、「2024中国都市コーヒー発展報告」(上海文化イノベーション産業促進会)によると、2023年の中国のコーヒー市場の規模は2654億元(約5.8兆円)にのぼるが、販売額シェアの1位はインスタントコーヒーで51.6%となった。

また、有意思報告のアンケート調査によると、回答者の95%がコーヒーを飲む習慣があり、その78.25%の人が日常の中ではインスタントコーヒーを飲むと回答している。

このカフェ9.9元時代に、なぜインスタントコーヒーは浸透をしているのだろうか。

▲インスタントコーヒーを飲む人に頻度を尋ねると、毎日1杯以上飲む人が58.24%となった。

 

女性が支持するインスタント。理由はダイエットとカスタマイズ

インスタントコーヒーの主力消費群は女性だ。有意思報告のアンケート調査でも、インスタントコーヒーを飲む人の男女比は、男性27%、女性73%と圧倒的に女性から支持をされている。

その理由は、脂肪や糖、添加物が入っていないことだ。ダイエットを気にする女性にとって、ブラックコーヒーでもわずかに脂肪分が含まれており、そのままでは苦いため、ミルクや砂糖などを入れたくなる。そこに糖や脂肪が入っている。一方、インスタントコーヒーの中には、糖や脂肪、添加物を使わずに甘みを加えたり、フレーバーを加えているものがある。そのような健康志向のインスタントコーヒーに人気が集まっている。

もうひとつは自分なりのアレンジを楽しめることだ。豆乳やココナッツミルクなど、自分が安心できる食材を使って、自分好みの味にすることができる。

そして、経済的だということも大きい。カフェのコーヒーは9.9元時代を迎えているが、インスタントコーヒーは1.1元から3.0元程度で1杯を飲むことができる。特にECでまとめ買いをすると、高級なインスタントコーヒーでもお買い得に買うことができる。

▲インスタントコーヒーを買う時に重視をする要素。無添加、簡単、美味しい、価格が上位になる。

▲好まれるインスタントコーヒーの種類。ソリュブル(粉)、フリーズドライ、ドリップバッグ、濃縮、ポーションの順となった。

▲インスタントコーヒーを飲む場所を尋ねると、オフィス、自宅、図書館/自習室、旅行、外出先、出張の順になった。

 

高級化が進み、すぐに飲めるインスタント

また、インスタントコーヒーも高級化が進んでいる。従来のような乾燥粉末とフリーズドライだけでなく、ドリップバッグ方式やポーション方式を選ぶ人も増えている。

コーヒーは多くの人がオフィスで飲むものになっている。カフェのコーヒーは、外に出て買いに行くか、デリバリー注文しなければならない。一方、インスタントコーヒーであれば飲みたい時にすぐ飲むことができる。淹れる作業が必要になるが、時間を取られるわけでもなく、むしろ、仕事に疲れた頭を休めるのにちょうどいい休息になるようだ。

インスタントコーヒーの市場では、最も多彩な製品を投入しているネスレに人気があるが、近年ではカフェチェーンも独自のインスタントコーヒーを販売するようになっている。カフェが広がるとともに、インスタントコーヒーの市場は圧迫をされるどころか広がっている。

▲よく飲まれるインスタントコーヒーは、「雀巣」(ネスレ)が1位だが、ラッキンや隅田川といったカフェが販売しているインスタントの人気も高くなっている。