国務院の双減政策により、オンライン教育に注力をしていたバイトダンスの各サービスがすべて停止となり、大きな打撃を受けている。しかし、すでに「好奇小知」のサービスのテストを始めており、素養教育の分野でオンライン教育に再挑戦しようとしていると艾媒体が報じた。
教育産業にとって大打撃の双減政策
教育産業関係者にとって、2021年7月に青天の霹靂としか表現のしようがない事態が起きた。中央弁公庁と国務院が「義務教育段階にある生徒の宿題負担と校外補習負担をさらに軽減する意見について」という文章を発表し、通称「双減政策」を実行した。
この政策は、宿題の負担と補習の負担の2つを減らすことを各地方政府に求めたもので、学校に対しては生徒に課す宿題の量に一定の制限をかけることを求めた。また、補習ビジネスー塾やオンライン補習サービスについては、営利目的のサービス提供を禁止するという厳しいものだった。実際、塾やオンライン補習サービスの中には倒産するところが相次ぎ、生き残った企業も業態転換を迫られている。
中国の学生、生徒たちは、学歴が生涯収入に直結することから、厳しいプレッシャーにさらされており、人としての素養を身につけることすら難しくなっている。双減政策は半ば強制的に、子どもたちにのしかかっているプレッシャーを取り除き、人格形成に必要な知識や経験を得てもらおうというものだ。
オンライン教育に注目をしていたバイトダンス
しかし、趣旨は素晴らしいが、突然すぎた。この3年、オンライン教育ビジネスは順調に投資資金を集めており、2020年12月にはピークに達し、433.85億元の投資が行われた。
2021年7月以降は当然ながら投資案件はほぼなくなり、以降8億元を超えた月はない。オンライン教育産業は大打撃を受け、ひとつの産業が消えてなくなった。
バイトダンスも大きな被害を被った。TikTokを運営するバイトダンスでは、ショートムービープラットフォームの次の事業として、オンライン教育に着目、AIを活かしたオンライン教育サービスを展開していた。「GOGOKID」「儞拍一」「清北小班」「湯園英語」などを提供していたが、すぐにサービス提供停止を告知し、2021年末までにすべてのサービスを停止した。
しかし、バイトダンスがオンライン教育をあきらめてしまったわけではない。すでに新しいオンラン教育サービス「好奇小知」を開発し、社内テストに入っている。
学科教育から素養教育に軸足を移す中国の教育
K12(幼稚園から高校までの13年間の教育、Kindergaden+12年間の教育)の教育内容は、基礎教育と素質教育(人格形成に必要な素養教育)の2つにわけられる。基礎教育とは、国語、数学、英語などの学科教育のことだ。素質教育とは美術、音楽、プログラミング、思考力などのことだ。
このうち、双減政策が規制をしたのは基礎教育についてであり、素質教育については規制されていない。むしろ、基礎教育の負担を減らし、素質教育に振り向ける時間を増やすことが目的なのだから、素質教育に関する校外スクール、オンラインサービスは奨励をされる。
オンライン教育は素質教育の分野で再挑戦する
バイトダンスの「好奇小知」は、楽しみながら科学知識に親しむことができるサービスであるという。AIが利用者の嗜好を分析し、毎日お薦めのテキスト、ショートムービーなどのコンテンツがリコメンドされる。科学知識が中心だが、伝統文化などのコンテンツも用意される。
また、質問コーナーも用意され、質問に対する回答は、文章ではなく、最も適したショートムービーがリコメンドされるというものになる。文章ではなく、ムービーで解答することで、子どもたちは視覚的に理解することができる。
バイトダンスの新しいオンライン教育への挑戦が始まる。他のオンライン教育企業も、素質教育に転換をし、プログラミング教室、アート教室、スポーツ教室、ダンス教室などをオフライン、オンラインで展開することを始めている。オンライン教育産業が復活できるかどうか、注目されている。