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ECがビジネスモデルの変革期に突入。TikTokライブコマースによる「興味EC」「アルゴリズムEC」とは

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明日、vol. 078が発行になります。

 

今回は、興味ECについてご紹介します。

興味ECとはあまり聞いたことがない言葉だと思います。具体的には、2021年4月に、バイトダンスが、中国版TikTok「ドウイン」のEC販売業者を集めたカンファランスで、バイトダンスが提出した概念です。聞いたことがないのも無理はありません。言語は「興趣EC」というもので、興趣は面白みを感じる、興味があるというような意味の中国語です。この言葉は日本語として馴染みがないので、仕方なく「興味EC」と訳しましたが、ニュアンスが少し違い、座りの悪さを感じています。今回、興味ECの内容を理解していただいて、もし、もっといい訳語があるのであれば、ぜひご教示をいただきたいと思います。興趣ECとは、消費者の嗜好性や趣味を軸として商品やサービスを販売するというニュアンスがあります。

また、参加者やメディアは、この興味ECを支えるテクノロジーとして、バイトダンスの機械学習によるリコメンドシステムを高く評価していて、「アルゴリズムEC」という技術面から見た言葉も使われるようになっています。

 

このような「興味EC」「アルゴリズムEC」は、具体的にはバイトダンスのドウイン、ショートムービーサービスの快手(クワイショウ)、若い女性に特化をしている垂直EC「小紅書」(シャオホンシュー)のライブコマースを指しています。

小紅書は、特定のクラスターに特化をした垂直ECなので、ライブコマース売上はそう大きくはありませんが、ドウインは2020年の流通総額(GMV)が5000億元(約8.5兆円)、快手は3811.7億元(約6.5兆円)という驚異的な売上になっています。

この伸びは、運営元のバイトダンスにとっても意外だったようです。当初、バイトダンスは2020年のGMV目標を1200億元に置いていましたが、2020年半ばに好調であることから2500億元に上方修正しました。2020年が終わってみると、最終的に上方修正した目標値の2倍ものGMVになったのです。

 

興味ECがどのような性質のものであるかは、後ほど詳しくご紹介しますが、このような新しいスタイルのビジネスが登場をすると、常に問題になるのが、「バリエーションのひとつにすぎないのか、それとも次世代への進化なのか」ということです。

前回の「vol.077:あらゆる商品を1時間以内にお届け。即時配送が拡大する理由とその難しさ」でも、EC「京東」(ジンドン)は、即時配送を利用した短距離ECが次世代のECだと考えているということをご紹介しました。

ドウインと快手の2020年のGMVは、多くの関係者にとって衝撃的です。国連貿易開発会議(UNCTAD)がまとめた「Estimates of Global E-Commerce 2019 and Preliminary Assessment of Covid-19 Impact on Online Retail 2020」に、世界のBtoCサービスの2019年のGMVランキングが掲載されています。ここにドウインと快手のGMVを当てはめてみると、7位と9位に相当します。わずか2、3年で、世界トップ10のサービスに入るようなECが登場したのです。

もし、ECというサービスが伝統的なEC=陳列ECの時代が終わり、ライブコマースを基本にした興味EC、アルゴリズムECの時代に移行をするなら、伝統的なECサービスだけでなく、あらゆる小売業は興味ECの手法を取り入れていく必要があります。

そうではなく、陳列ECと興味ECが異なるスタイルのECとして定着をするのであれば、興味ECの手法を取り入れるかどうかは、自分たちのビジネスにどのようなメリットがもたらされるかを考えて、部分的に取り入れる程度でいいという話になります。

この未来を見通すような話は、私はもちろん、専門家にも難しい話ですが、興味ECをご紹介する中で、みなさんそれぞれで考えてみていただければと思います。

今回は、「興味EC」「アルゴリズムEC」という新しい考え方を、従来の伝統的なEC=陳列ECと比較をしながら考えていきます。

 

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