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素質は同じでも活躍できる人とできない人の違い。バイトダンス創業者、張一鳴が指摘する5つの特質

TikTokなどで知られるバイトダンスの創業者、張一鳴が武漢大学で講演を行った。その中で、素質の点では変わらないのに、活躍できる人とできない人がいる問題を論じた。活躍できる人には5つの特質があると張一鳴が指摘したと連鎖参謀官が報じた。

 

素質は同じでも活躍できる人とできない人の違い

TikTokを開発し、わずか9年でグローバル企業となった字節跳動(バイトダンス)。その創業者の張一鳴(ジャン・イーミン)は、自分は取り立てて優秀な人物ではなかったという。しかし、大学を卒業して何年かで、素質はほぼ同じなのに、高いパフォーマンスを発揮できる人とできない人の差が生まれてくる。それはなぜなのか、どうしてそういうことが起こるのか。

張一鳴は、バイトダンス創業以来、2000人の応募者を面接し、採用を行ってきた。その中から、活躍できる人には5つの特質があるということが分かったという。

武漢大学でのリクルート活動で、張一鳴が語った内容が話題になっている。

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▲バイトダンスの創業者、張一鳴。今日頭条、TikTokなどのプロダクトを生み出し、わずか9年で、北京の知春路にあるマンションの一室から、世界200都市に270カ所の拠点を持つグローバル企業に成長させた。

 

ハングリーであれ、若くあれ

今日は、スティーブ・ジョブズの言葉「Stay Hungry, Stay Foolish」(ハングリーであれ、愚かであれ)を、私風に直して「Stay Hungry, Stay Young」(ハングリーであれ、若くあれ)というお話をしたいと思います。

この10年、2000人の人を面接してきました。ある人はバイトダンスに入社して活躍し、ある人は別の企業に行きました。その差はものすごく大きなものとなっています。なぜこのようなポジティブな例とネガティブな例が生まれるのでしょうか。

そして、Stay Hungryとはみなさんの想像通り、好奇心、知識欲、向上心のことです。では、Stay Youngとはどういうことでしょうか。今日は、そのことをお話ししたいと思います。

 

平凡なエンジニアだった張一鳴

2005年、私は南開大学を卒業して、酷訊(クーシュン)という企業に入社しました。最初は一人のエンジニアとしての入社です。しかし、翌年には私は4、50名のチームのリーダーとなり、バックエンド技術の責任者となり、さらに多くのプロダクト開発に関わるようになりました。

しかし、私がとりたてて優秀だったわけではありません。同期で入社したエンジニアの中には、清華大学の計算機系の博士課程を卒業した人も2名いたほどです。私にはスキルがあったわけでも、経験があったわけでもありません。ただ、2つのことを実践しただけです。

 

張一鳴が実践した2つのこと

ひとつは、自分がやるべき仕事とやるべきではない仕事の区別をしなかったことです。自分の仕事が終わると、同僚が困っていれば、自分に解決できることであれば手助けをしました。それを繰り返しているうちに、酷訊のコードベースにあるソースコードはほとんど読んでしまったと思います。新しい人が入ってくると、積極的に開発の基本的なことを教えるようにしました。人に教えることで、自分の理解も進み、成長できるからです。

仕事が終わって、家に帰ると、夜の12時か1時になりますが、それから自分のプログラムを書きました。面白かったからです。それで、私はクローラーやバックエンドに詳しくなり、翌年に責任者になれたのです。

もう一つは、自分はエンジニアだから技術のことしかやらないという制限を取り払ったことです。サービスに品質上の問題が起きれば、積極的に会議に出席し、解決策を考えました。ある人は、それはあなたの仕事ではないと忠告してくれましたが、私は自分の責任とは優れたプロダクトを利用者に使ってもらうことだと考えていたので、それが私を鍛えることになりました。

私は一介のエンジニアでありながら、プロダクトマネージャーの仕事も勝手にやりました。それが後々、私たちがプロダクトを生み出す時に優れた経験となったのです。ある時は、セールスの人間が顧客のところに行く時も同行しました。それで優れたセールスとはこうやるものだということがわかったのです。

 

活躍できる人の特質1:好奇心

バイトダンスを創業してからは、人を採用することが私の重要な仕事のひとつでした。その中で、高いパフォーマンスを発揮できる人には5つの特質があるということがわかってきました。

1つは好奇心を持ち、自分から新しいこと、新しい知識、新しいテクノロジーを学ぶ人です。これはよく言われることなので、悪い方の例をご紹介します。以前同僚に、非常に優秀な人がいました。しかし、その人は自分の仕事が終わるとさっさと帰る人だったのです。1年経つと、その間にも新しいテクノロジー、新しいツールが登場し、その人はまったく対応できなくなってしまいました。それで、自分一人では仕事が完結できないようになり、人に頼るようになりました。これでは責任ある仕事はできません。好奇心がある人は、フロントエンド、バックエンド、アルゴリズムをすべて把握し、自分で学び、検証し、一人でひとつの仕事を完結できるようになります。

 

活躍できる人の特質2:楽観的

2つ目は、不確実なことに関しては楽観的に考える人です。バイトダンスの最初のヒット製品「今日頭条」を開発した時、私は日間アクティブユーザー数(DAU)1億人を目指すと公言しました。しかし、多くの人が、こんな小さな企業が作るものがそんなに大きなDAUを獲得できるわけがないと言いました。

私に何かDAU1億人獲得の秘策があったわけではありません。ただ楽観的なだけでした。それで、なんでも学び、関係のあるものはなんでも見に行き、なんでも試してみました。その結果、1億人ではなく、現在5億人のDAUを獲得することになったのです。

 

活躍できる人の特質3:現状に甘んじない

3つ目は、現状に甘んじない人です。今、この話を聞いている方はみな優秀な学生だと思います。才能もあり、スキルもあり、学業成績も優秀です。しかし、10年後、私が期待するほど成長しない人もたくさんいるのです。なぜなら、卒業して入社した時に考えた目標を達成してしまうと満足してしまうからです。

目標は常に変えていき、高く設定し直さなければなりません。成長は同じペースで成長していくのでは不十分です。去年の成長速度よりも、来年の成長速度の方が大きくなっていなければならないのです。

 

活躍できる人の特質4:満足感の先送り

4つ目は、傲慢にならず、満足感を先送りできる人です。私の部下に非常に優秀で、才能もあり、スキルのある人がいました。しかし、彼の業績はさほどよくないのです。客観的に評価すると、彼は上位20%の人材でしたが、彼は自分ではトップ1%の人材だと思い込んでいたのです。

その傲慢さが、新しい技術やツールを自分で試してみるという地道なことから遠ざけるようになり、パフォーマンスがあげられないのです。いくら才能があり、聡明であっても、自分の傲慢さを制御できないと、現状に甘んじてしまうことになります。

 

活躍できる人の特質5:判断力

5つ目が、判断力のある人です。どのようなことを専門とするか、どの企業に就職するか、どのように成長をしていくか。すべて自分の判断です。判断は短絡的にしてはいけません。2006年頃のことですが、どの企業に就職したらいいかと多くの学生に尋ねられました。私が「百度がいいと思う」と答えると、多くの学生は不満な顔をしました。IBMマイクロソフトだと答えてほしかったのです。なぜなら、外資系テック企業は有名で報酬が高いからです。それは確かにそうなのです。外資系テック企業の方が百度よりも初任給で月に5000元(約8.5万円)も違うからです。

しかし、自分の人生に関わることを判断するのに、わずか5000元の給料の差だけで決めてしまうのはあまりにも短絡的です。

 

今日から実践できる張一鳴の指摘

一見、張一鳴は当たり前のことを述べているかのように聞こえる人もいるかもしれない。しかし、耳障りのいい「優秀な人材になるには」の話と大きく違うのは、張一鳴の話はすべて誰にでも実践できるということだ。「エンジニアは猛勉強をしなければならない」と耳にして、仕事が終わってから朝方まで勉強をしてみる。しかし、多くの場合、それは3ヶ月も続かない。結局、元の木阿弥になっている。

張一鳴が言う5つの特質は、毎日、自分がそうであったかどうかを確認することができる。それを10年間継続することで、素質の点では大きな違いがない人の間に、大きな成果の違いが生まれてくるのだ。

 

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