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国慶節の高速の充電ステーションが大混雑。EVのバカ売れで再び問題化する充電ステーション不足問題

国慶節連休期間、高速道路サービスエリアの充電ステーションが大混雑をした。1時間の充電のために4時間並ぶという状況だったという。しかし、根本的な問題は、市中の民間充電ステーションの配備が進まないことだ。2020年後半からEVが急速に売れ始めたため、再び充電ステーション不足が問題化し始めていると深途が報じた。

 

1時間の充電に4時間並ぶ。国慶節のEV混雑

10月1日から7日までの国慶節の連休期間、高速道路のサービスエリアにある充電ステーションが大混雑をした。連休で高速道路が混雑し、電気自動車(EV)の利用者が充電をしようと殺到し、1時間の充電のために4時間並ぶという状態が起き、話題になった。

しかし、これは今回に限ったことではなく、連休期間にはここまで深刻ではなくても、サービスエリアの充電ステーションは並ばなければ充電ができないことが起きている。中央政府は、十分な充電ステーションの配備を進めていると告知しているが、なぜこのような問題が起きるのだろうか。

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国慶節の高速道路では、サービスエリアの充電ステーションに行列ができ、「1時間の充電のために4時間並ぶ」現象が起きた。車のまま行列をするスペースがないために、車を一般駐車場に停めて、人が並ぶ。

 

急激にEVが売れ始めため、設備が追いつかない

2015年に中央政府は「電動汽車充電基礎設備発展指南」を公開し、2020年までに480万基の充電設備を配備するとした。

ところが、この計画そのものに問題がある。ひとつは、この配備計画は新エネルギー車(NEV)の保有台数を500万台とした予測に基づいたものだからだ。

しかし、2020年後半からEVが急激に売れるようになり、2021年6月には493万台となり、年末には600万台になろうとしている。つまり、急速にEVが増えたため、今後の充電ステーション配備計画を前倒しで進める必要があったが、それが追いついていないという問題がある。

 

進まない民間充電ステーションの設置

もうひとつの問題は、この480万基の内容だ。公共の充電ステーションが50万基、民間の充電ステーションが430万基となっている。公共の充電ステーションは、高速道路のサービスエリア、ショッピングモールなどで、民間の充電ステーションはその他の街中に設置される。

公共の充電ステーションは、2019年にすでに計画を前倒しで達成をしていたが、民間の方は2019年の達成率で20%程度しかない。その後、設置も進んでいるが、目標達成はできていないと考えられる。

街中の民間充電設備が不足をしているために、多くの人が高速道路に乗ってから充電をしようとし、EVの数が急増したために、サービスエリアでの充電設備が慢性的に不足をするという事態になっている。

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▲新築マンションなどでは、住人ごとに駐車スペースが固定されているため、駐車場に充電設備を備えることができる。しかし、既存のマンションの多くは好きな場所に停める方式であるため、なかなか充電ステーションの導入が進まない。

 

根本問題は、中国特有の駐車場管理の仕組み

民間の充電ステーションの配備が進まないのは、中国特有の駐車場管理システムが障壁となっている。民間の充電ステーションと言っても、EVの持ち主が自分の駐車場に充電設備を設置するのが最も合理的だ。マンションなどでは、共同駐車場に充電設備を設置して、予約制で利用できるようになっている。大都市の新築マンションなどではこのような仕組みになっている。

しかし、多くの一般的な既存マンションでは、固定した駐車場がなく、空いているところに自由に停める方式になっている。このため、充電整備を設置しようとするEVオーナーがほとんどいない。

既存のマンションでも、数区画を充電ステーションに転換する要望がEVオーナーから出されているが、非EVオーナーから「駐車スペースが減る」という反対意見が出て、なかなか導入が進まないのが現状だ。

EVを効率的に使うには、自分の駐車場に充電設備を設置して、スマホと同じように寝ていある間に充電をしておけば最も合理的だ。しかし、それができず、ショッピングセンターで買い物をしている間、飲食店で食事をしている間に充電をすることになる。そのため、休日になると、高速道路のサービスエリアで充電をするという人が急増してしまう。

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▲中国の駐車場管理は、台数分を用意し、停める場所は自由にしている方式が多い。しかし、実際には関係者以外も停めてしまうため、自分のマンションであっても停める場所がなくなっていることがある。そのため、人が占拠をして、駐車スペースを確保する「人肉占車位」が行われている。この駐車場管理方式が、充電設備が進まない原因のひとつになっている。

 

高速の充電設備は大混雑、街中の充電設備は利用率があがらない

全国の高速道路には、2318カ所のサービスエリアに充電ステーションが設置をされ、10836基の充電ステーションがある。つまり、1つのサービスエリアに平均して4.6基の充電ステーションしか配備をされていない。1時間で充電が済むとして、1つのサービスエリアで1時間で4.6台のEVしか充電ができないことになる。これでは交通量が増えればすぐに行列ができてしまうのも当然だ。

しかも、国慶節10月1日の高速道路充電設備の充電量は、142.92kWhとなり、記録を更新した。これは平日の充電量の約4倍になる。

一方で、民間の充電設備の利用率は15%程度でしかなく、この低さが、民間充電ステーションが増えない理由になっている。要は利用率が低くて赤字になってしまうのだ。

 

EV急速普及で再び問題化する「充電難」

結局、充電設備が足りないから問題が起きているのではなく、仕組みの問題で、特定の充電設備に利用が集中することになってしまっている。そのため、連休のような交通量が高くなる時期に問題が起きることになる。

2018年頃までは、充電ステーションの配備が進まず、EVオーナーの悩みは「充電する場所がない」ということだった。それが2020年頃にはだいぶ解消されて、不平を言うEVオーナーも少なくなっていた。しかし、2020年後半からEVが急速に売れ始めたため、再び充電ステーションの不足が問題になり始めている。

これまで中央政府は、充電ステーションの数に注目をして配備計画を進めてきた。しかし、配備する場所を考え、EVの充電が効率よく分散するような仕組みに変えないと、再び「充電難」が起きる可能性がある。