バッテリー交換を専用ステーションで行う「電気サブスク」スクーター、台湾のGogoroが中国の大手企業と提携し、中国上陸を目指している。台湾では充電の煩わしさを解決するとして人気になったが、中国ではバッテリーの発火事故を防ぐという点で注目されていると車家号が報じた。
電気サブスクで話題のGogoroが中国上陸
台湾の電動二輪スクーター「Gogoro」(ゴゴロ)が中国でも販売される見込みになった。Gogoroは、中国の大長江集団、雅迪科技(ヤーディー、Yadea)と提携をした。前者は中国最大の燃料二輪車のメーカーであり、後者は中国最大の電動二輪車のメーカーであるため、中国でもGogoroの電動スクーターが見られるようになる。
バッテリーはステーションで交換をする
Gogoro(https://www.gogoro.com/tw/)は、台湾でユニークな電動スクーターを販売しているメーカー。性能やデザインだけではなく、「電気サブスク」とも呼ばれるユニークなシステムを提案し、エコやSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも注目されている。
最新のGogoroシリーズ3では、2つのバッテリーを搭載し、満充電ではカタログ値で170kmの走行ができる。このバッテリーを自分で充電する必要はない。台湾全土に2100ヶ所以上あるGo Stationに行き、使い終わったバッテリーを開いている箇所に入れると、充電ずみの新しいバッテリーが取り出せるようになる。
利用料金は、月499台湾ドル(約2000円)の月額料金で315kmまで、以降は1kmあたり2.5台湾ドル(約10円)の従量制と、月1199台湾ドル(約4700円)の使い放題などのプランがある。スマホの通信量プランと同じような考え方だ。
電動バイクは充電が大きな課題になっていた
電動バイク、電動スクーターはバッテリーの充電が痛点になっている。Gogoro3はカタログ値で満充電の航続距離170kmになっているが、実際にはライトを点灯させたり、運転状況もあるので120km程度になる。これは台湾で一般的な125cc燃料スクーターの満タン航続距離よりもかなり短い。
しかし、燃料を補給するのは一瞬だが、バッテリーを充電するには時間がかかる。それを防ぐには、もう1セットのバッテリーを購入し、置いておくしかないが、バッテリーを交換するために家に帰らなければならない。この不便さが、電動バイクが主流になれない理由だった。Gogoroはこの問題点を解決したものだ。
中国では発火事故防止の点から注目される
この仕組みが中国で注目されている。なぜなら、電動バイクのバッテリーの発火事故が相次いでいるからだ。一部では、製品そのものに問題があるケースもあるが、多くの場合は使う側が定められた手順を守らないことにある。特に大きいのが、バッテリーを室内に持ち込み、充電したまま放置し、過充電させてしまうパターンだ。バッテリーが熱を発し、その熱が逃げない状態だと発火に至る。
メーカーでは、使用手順を守ってほしいと呼びかけているが、現実問題として、すべての消費者が正しい手順で充電することは難しい。本来は、バッテリー側に過充電や過熱を感知し、充電を停止する機能を備えるべきで、そのような機能の搭載も進んでいるものの、市場にはまだまだ対策されていないバッテリーが残ってしまっている。
Gogoroのような電気サブスクのシステムであれば、このような問題が一気に解消される。
https://www.bilibili.com/s/video/BV1kk4y167xe
▲上海で起きたバッテリー発火事故。突如として、一瞬で室内が炎に包まれる。
Z世代が好む機能が満載
Gogoroはこの電気サブスクだけでなく、デジタルネイティブ世代が好むさまざまなスマート機能を搭載している。専用のGogoro iQアプリと連動し、iPhoneのSiriを経由して「スタートさせて」「鍵をかけて」などの音声で操作ができる。また、アプリからリモートでライトの点灯などのセルフチェックをする機能もある。もちろん、バッテリーがあるGo Stationの位置を地図から検索をすることもできる。
また、正面から見たデザインが、スライムのようだと若い世代からは、デザインも歓迎されている。
価格面での弱みを克服できるか
しかし、そのGogoroにも弱点がある。台湾での燃料、電動を含む二輪車の売り上げランキングで、2019年Gogoroは4位に食い込む健闘をした。しかし、2020年になって売り上げが大きく落ち込んでしまったのだ。
その理由はGogoro3で3万5980台湾ドル(約14.3万円)からという高価格にある。また、電気サブスクの月額料金も燃料代に比べると割高になる。それでも2019年に売れたのは、政府の補助金があったからで、それが減少をした2020年には如実に売れ行きが落ちてしまった。
Gogoroが中国に上陸をして、大長江集団、雅迪科技とともに、この課題をどのように解決していくのかが注目されている。