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水力発電機がフリマに大量出品のなぜ?暗号資産マイニング工場の規制と関連

フリマサービスに小型の水力発電きの出品が増加している。5月に暗号資産のマイニング工場規制がスタートしたため、閉鎖されたマイニング工場から出品をされているものだと考えられていると辺際実験室が報じた。

 

小型の水力発電機がフリマサービスに続々出品

アリババが運営するフリーマケットサービス「閑魚」(シエンユー)に、小型の水力発電機が出品され、その数が日増しに増えている。5月に行われた暗号資産(仮想通貨)のマイニング規制の影響だと考えられている。

暗号資産の取引はブロックチェーン技術を使って記録される。新たなブロックを追加するには、ハッシュ関数を計算して、条件に合ったハッシュ値を見つけるということをしなければならない。計算自体は難しいものではないが、大量の並列計算が必要になる。そのために必要なのが、並列計算をすることに特化した設計がなされているグラフィックボード(GPU)であり、暗号資産の相場が上がるとマイニング工場が増え、GPUの価格が上昇する。中国のマイニング規制により、中古GPUの相場は下がり始めている。GPUは、緻密なグラフィック表現をするゲームなどにも使われるもので、マイニング規制はゲーマーから歓迎されるという状況になっている。

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▲フリマサービス「閑魚」に出品されている小型水力発現機。マイニング工場規制後、出品数が急増している。閉鎖されたマイニング工場関係者が出品しているものだと思われる。

 

四川省の川沿いに並ぶマイニング工場

マイニング工場を運営するのにもうひとつ必要なのが、安い電力だ。マイニング工場を運営するコストは、工場設置のコストの他は、電気代のみなので、電気代が安い場所、排熱コストが安い寒冷な場所に集中をする。中国の場合、四川省は水資源が豊富で、水力発電による電力が低価格で供給されている。そのため、四川省の高地にマイニング工場が集まっていた。

さらに、マイニング工場は川のほとりに集中をする。小型の発電機を設置して、自分でも電力を生み出し、運営コストを下げられるからだ。

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内モンゴル自治区のマイニング工場跡地。大量のラックにコンピューターを入れ、排熱を天井のファンで外に出す。

 

小型水力発電所で電力の地産地消を進めてきた中国

中国では元々小型の水力発電所が各地に作られている。農村に電力を供給するのに、大型の発電所から長距離を送電するのではなく、農村の中に小型の水力発電所を建設して、電力の地産地消をする政策が進んだからだ。

2020年末の段階で、長江が通る9つの省には2.5万カ所の小型水力発電所が存在する。しかし、水力発電所を運営するには、わずかとは言え水路を変えることになり、土砂堆積の問題や水生生物への影響などが指摘をされ、2万カ所の水力発電所で改修、他発電方式への転換の計画が進められている。

ここで小型水力発電機が大量に売却され、それをマイニング工場の運営者が購入し、暗号資産のマイニングを行なっていた。

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▲農村に中国政府が建設をした小型水力発電所。農村に供給する電力を発電している。近年、環境に負荷を与えないタイプの発電所への転換や広域送電網が整備され、水力発現機が中古市場に出回っている。

 

マイニング規制により水力発電機が不要に

しかし、5月のマイニング工場規制により、閉鎖をする工場が相次ぎ、フリーマケットに出品されているという具合だ。

中国政府がマイニング規制をするのは、建前としては、大量の電力を消費するために、中国政府が設定している脱炭素社会の目標値が達成できなくなるという理由だが、多くの人がデジタル人民元と無関係ではないと見ている。

中国政府はデジタル人民元の国際送金の手数料、処理時間を低くして、アジア圏の準基軸通貨にしたいという願望を持っている。また、デジタル人民元の送金を監視して、テロリストの資金送金も止めたい。その中で、暗号資産は、中国政府が把握ができない形で、国際送金ができるため、なんとしても排除をしたいのだと見られている。

 

出品された発電機を買って闇マイニング工場を始める人も

ただし、中国政府も手を焼いているようだ。すでに暗号資産の取引業を営むことも法律で禁じられ、中国国内に暗号資産の取引所は存在しないが、多くの人が海外の取引所を使って、暗号資産への投資、投機を行なっている。

また、小型水力発電機が大量に安く市場に出てきたことで、自力の水力発電のみの電力でマイニング工場を運営する秘密工場もでき始め、当局の摘発とのイタチごっこになっているという。

デジタル人民元は、中国内では問題なく普及をすることになるが、それが国際的な準基軸通貨となれるかどうか、それに立ち塞がっている最大のライバルは暗号資産になる。中国の暗号資産規制はますます厳しくなると見られている。