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鄭州市でロボバス運行が本格始動。運転席のないミニロボバスが2021年中に200台規模に

鄭州市で8路線のミニロボバス路線が正式運行を始めた。当初は10台の運行だが、2021年中に200台に増強される計画だ。実現すれば、中国では最大規模のロボバス運行となると北青網が報じた。

 

鄭州市で最大規模のロボバス運行始まる

7月1日から河南省鄭州市で、4種類8路線の自動運転バス路線が開通し、10台のロボバス(自動運転バス)と10台のロボタクシー(自動運転乗用車)が投入された。2021年中にロボバスは200台に増強される計画で、中国で最大規模のロボバス運行となる。

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▲宇通集団が開発したミニロボバス「小宇2.0」。8人乗りで運転席は存在しない。

 

運転席のない自動運転バス「小宇2.0」

このロボバスを提供しているのは、バスメーカーの「宇通集団」(ユートン)。自社開発した自動運転バス「小宇2.0」が使われている。8人乗りで、運転席は存在しない。実際の運行時は、安全監視員が乗車をするが、運転はせず、安全を監視し、非常時には緊急停止ボタンを押す。

宇通自動運転研究院が開発した中原科技都市知能交通システムで管理をされ、運行される。このシステムは、5Gによるロボバスの運行監視だけでなく、自動運転乗用車などの監視や管理ができるようになっており、将来は鄭州市のロボバス、ロボタクシーを包括的に管理ができるる能力を持っている。

市内に管理センターが設置され、この管理センターから各バス停まで運行するバスを、管理センター内の司令室から管理をする。

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▲社内に運転席はなく、すべてが自動運転で運行される。安全監視員が乗車し、非常時には停止ボタンを操作する。

 

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▲ロボバスの運行は、運行管理センターでリアルタイムでモニターされ、安全監視員と連絡を取り合う。

 

4種類、8路線での運行

路線は8路線が設定されている。管理センターから中原科技城イノベーションセンターまでのビジネス路線、ビジネス街までの通勤路線、ロボバスが体験できる科学イノベーション路線、市内の観光名所を通る観光路線の4種類、8路線となる。

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▲駅、ビジネス地区を結ぶ4種類の8路線での運行が行われている。

 

すでに行動走行は累計71万km

鄭州市は2015年8月から宇通と提携し、ロボバスの試験運行を行なってきた。2018年には宇通工業パーク内の閉鎖空間固定路線の運行を開始し、2019年5月にはテック開発モデル地区「智慧島」内で巡回ロボバスの運行を始めた。2020年6月には、市内に17.4kmのロボバス路線を開通し、営業運行を始めた。

すでに900日の運行実績があり、36万人の乗客を乗せ、公道走行は累計71万kmに達している。

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▲観光路線に乗車をして、車窓の風景を楽しむ市民。現在、アプリ経由で予約をすれば誰でも乗車ができるようになっている。

 

観光路線に人気が集中

現在、専用アプリから乗車予約をすることで、誰でも乗車ができるようになっているが、人気のため、乗車の競争率は高いようだ。特に人気なのが、智慧島、中原科技城、天健湖、黄河灘地公園をめぐる観光路線だ。7.3kmで約40分で、市内の観光名所を巡りながら走行する。

鄭州市は、ロボバスの台数を増やすだけでなく、路線も拡張していく計画で、「ロボバスの都市」という都市の顔を作っていきたいとしている。