中国版新幹線である京張高鉄の清河駅で試験運用が進んでいた荷物を運んでくれる自動運転カートが正式運用になった。高鉄の電子チケットをかざすことで、荷物を運んでくれるだけでなく、乗るべき改札口まで案内をしてくれるものだと人民鉄道網が報じた。
高鉄駅に導入された自動荷物カート
北京北駅から張家口までを結ぶ全長174kmの京張高鉄(中国版新幹線)が2019年12月30日に開通をしている。この京張高鉄は、北京冬季五輪で北京市と競技場を結ぶ重要な路線となる。途中には、万里の長城の観光名所として有名な八達嶺長城駅もある。
この京張高鉄は、北京五輪の戦略路線ということもあって、さまざまなテクノロジーが導入されている。その中でも、話題になっているのが荷物を運んでくれる自動運転カートだ。中国科学院自動化研究所と鉄科院電子研究所が共同開発したもので、京張高鉄の清河駅で開通当初から試験運用されていたが、1年後の2020年12月には正式運用が開始されている。
▲清河駅で正式運用されている自動運転カート。高鉄の電子チケットをかざすと、荷物を運びながら改札口まで案内してくれる。
▲2019年末に開通した京張高鉄。北京と北京五輪の競技場がある張家口を結ぶ。途中には有名な観光地である八達嶺長城もある。
荷物を運ぶだけでなく、改札口まで案内もしてくれる
高鉄のチケットは、電子化が進んでいて、多くの人がスマホの電子チケットか、ICつき身分証に紐付けられる電子チケットを使っている。この自動運転カートに荷物を乗せ、電子チケットをかざすと、荷物を運んでくれるだけでなく、改札口まで道案内をしてくれる。もちろん、人を識別して、自動で避けながら走行する。
荷物には盗難防止用のベルトがかけられるようになっているが、重量センサーも備えられ、電子チケットをかざさずに荷物を取ると、警報がなる仕組みになっている。荷物を乗せたら、あとは自動運転カートの後をついていけば、自分が乗る高鉄の改札口までたどり着ける。荷物は最大100kgまで運搬できる設計になっている。
▲盗難防止のためのストラップも備えられ、また、チケットを再度かざさずに荷物を下ろすと、重量センサーが感知をして、盗難だと認識して警告音が鳴る。
「途中でトイレに寄りたい」にも対応
この自動運転カートには、駅舎内の精密地図データが搭載されている。そのため、自動運転カートにしたがって改札まで移動する途中で、トイレや飲水所、キヨスクなどによりたい時は、パネルで設定をすると、そこに寄るルートを計算して案内をしてくれる。
また、乗車までに時間がある時に、駅舎内のレストランで食事をしたい、専用待合室でゆっくりとしたいという場合は、追従モードにすることもできる。服装などから持ち主を認識して、人の後ろをついていくというものだ。
高鉄の駅は非常に広いため、重い荷物を持って歩き回るのは疲れるものだ。自動運転カートであれば、その煩わしさから解放され、荷物の盗難の不安も軽減される。
今後、この自動運転カートは京張高鉄を中心に、高鉄の各駅に広がっていくことになる。また、空港でもすでに同様の自動運転カートの運用が始まっている。
▲電子チケットをかざすとのるべき改札口まで人を案内してくれる。途中でトイレや売店によることも設定可能。