中国の国家プロジェクトとして推進されている雄安新区。何もない荒野に人工的に大都市を建設するというものだ。この中心部では、交通信号がない。すべて自動運転のスマート道路になっていると悟空奇点網が報じた。
交通信号が消えた街「雄安新区」
雄安新区(ションアン)とは、北京市の南130km、天津市の西130kmの場所にまったく新しく建設された人工都市だ。最終的には2000平方キロの広大な都市になる予定だ。
この雄安新区の中心部である市民サービスセンターを中心とした10万平米の区画(東京ドーム2個分)には交通信号がない。道路には至るところに、センサー、レーダー類が設置され、スマート道路になっている。一般車両の乗り入れは禁止され、自動運転車のみが走行する自動運転の実用実験場となっている。
▲中心部は交通信号がない。横断歩道もなくす計画で、道路の自由に横断できるようになる。交通信号と横断歩道をなくすことで、交差点での渋滞圧を減らすことを考えている。
横断歩道もなくなり、自由に道路を横断できるようになる
道路には、金龍社製のアポロ自動運転ミニバスが巡回をしている。どこでも手をあげるだけで止まってくれ、乗り込むことができる。また、商品配送の無人カートも走っている。
現在、交差点などに横断歩道が設けられているが、この横断歩道も最終的にはなくなる計画だ。道路と歩道の間には、50フィートから100フィートごとに「横断ポイント」が設けられていて、道路を横断したい歩行者はそこから道路を横切ることができる。走行しているのはすべて自動運転車なので、横断する歩行者を認識して止まってくれる。
このような方式にすることで、交差点の渋滞圧を減らすことができ、街全体の自動車と歩行者の交通の効率は上がるという。
▲中心部には自動運転バスが巡回をしている。道路を横断しても、人を感知して止まってくれる。
▲移動は巡回バスを使う。自動運転バスが、バス停以外でも手をあげるだけで止まってくれ、乗車することができる。
▲新石器が開発した「走る自動販売機」も走っている。手を上げると止まってくれ、飲料などをスマホ決済で購入することができる。
▲自動化されているのは道路だけではない。警備、清掃、配達もすべて無人ロボットが行なっている。
あらゆる分野の実験場となっている雄安新区
雄安新区には中国版新幹線「高鉄」の駅が2020年3月にオープンする予定。高鉄が開通すると、北京、天津から45分、オープンしたばかりの北京新国際空港まで20分になる。交通網が整備されると、雄安新区の活動も本格的なものになっていくと期待されている。
日本人の感覚からすると、何もない荒野に天津市と同じレベルの新一級都市を建設してしまうというのは、常識の枠を超えているようにも感じる。実際、中国メディアでも、壮大な浪費になるのではないかと不安視する論評もある。
しかし、一方で、深圳や上海も元は何もない場所から生まれた都市であり、雄安新区がパンク状態にある北京の首都機能を分散させる役割をしてくれることに期待をする論評もある。
いずれにしても、雄安新区が生活テクノジーの実験場になっていることだけは間違いがないようだ。
▲雄安新区の位置関係。北京市と天津市の中心部から130kmほど離れている。
▲並んでいる自動運転車。百度のアポロバス、新石器の移動販売車、京東の配送用無人カートなどが並んでいる。