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運転席がなくなった自動運転トレーラー。港湾では完全無人運転の時代に

自動車メーカー「一汽解放」の展示会に出品された港湾トレーラーが話題を呼んでいる。運転席がなくなり、そこには大容量バッテリーが積まれた完全無人運転トレーラーだ。管理をされ、走行ルートも決まっている港湾では、一足早く完全無人運転の時代がやってくることになると卡車之家が報じた。

 

閉鎖区間では、実践投入されている自動運転車

各都市でロボタクシー、ロボバスの乗客を乗せた試験運行が始まっている中国だが、自動運転にとってより条件のいい閉鎖区間では、すでに自動運転車が続々と導入され、日々の業務に活用されている。

例えば、公園内の清掃車だ。夜間は公園が閉鎖となるので、歩行者と遭遇することもなく、自動運転の清掃車が定められたルートを清掃しながら巡回をする。

また、工場や企業キャンパス内での物流にも利用されている。書類などを棟から棟へ運搬する無人カート、製造物を運搬する無人カートなどだ。固定路線を走行し、歩行者は関係者であるために事故が起きるリスクは非常に小さい。

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▲運転席がなくなった一汽解放の港湾トレーラー。運転席だった部分には、大容量バッテリーが搭載されている。

 

港湾でも自動運転車の導入が進んでいる

同様に自動運転車の導入が進んでいるのが港湾だ。貨物コンテナを牽引するトレーラーの自動運転化が進んでいる。ほぼ固定路線を走行し、歩行者は作業員のみで、走行の安全対策も元々講じられているため、自動運転にとっては導入しやすい環境になっている。

ただし、現状では、無人運転までは至っていない。トレーラーの運転資格を持つ運転手が、安全監視員として運転席に座り、自動運転を行う。万が一の場合は、安全監視員が運転操作を行う。運転手の負担軽減にはなっているものの、人件費の軽減までには至っていなかった。

現実問題として、港湾のような管理された閉鎖区間では、リモート監視とリモート緊急停止ができれば、安全監視員の乗務は必要がない。しかし、万が一のことを考えて、安全監視員を乗務させていることが多い。この安全監視員を廃止し、完全な無人運転に切り替えることができるかどうかが焦点になっていた。

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▲レーダーが搭載されたL4自動運転車。閉鎖区間であり、管理され、走行ルートも固定している港湾では、条件が整っているため、いち早く完全無人運転が可能となる。

 

運転席がなくなった港湾トレーラーが登場

2020年末に開催された業務用自動車メーカー「一汽解放」の展示会で、港湾牽引車の未来を示すモデルが発表され、話題を集めている。L4自動運転機能を備えた牽引車だが、運転席が存在しない。運転席であった部分には大型バッテリーが搭載されている。つまり、完全無人運転をすることが前提になっている。

量産と販売はこれからのことになるが、港湾作業では、自動運転から無人運転への転換が始まろうとしている。