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AutoXの完全無人のロボタクシー。深圳での試験運行が始まる

深圳市で、AutoXのロボタクシーの試験運行が始まっている。安全監視員も同乗しない完全無人の自動運転を実現している。ディープラーニング専用チップを搭載したことで、自動運転の性能が大幅に向上したと新浪科技が報じた。

 

安全監視員のいない完全無人のロボタクシー試験運行始まる

2020年は、ロボタクシー元年となった。百度バイドゥ)、文遠知行(ウェンユエン、WeRide)、滴滴(ディーディー)、高徳(ガオダー)などが、上海、長沙、滄洲などで、乗客を乗せた試験営業を始めている。しかし、これらのロボタクシーはL4自動運転だが、無人運転ではない。運転席に安全監視員が乗車し、交通状況の監視を行い、場合によっては緊急停止や手動運転を行う。

しかし、深圳を拠点にするAutoXは、深圳で安全監視員のいない無人運転ロボタクシーの試験運行を始めた。

すでに25台の無人ロボタクシーを製造し、深圳での試験運行を始めている。車体はフィアット・クライスラーグランドボイジャーをベースにしている。

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▲既存車両をベースにしているため、ハンドルなどの装置が残されているが、運転手も安全監視員もいない。

 

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▲AutoXの無人運転ロボタクシー25台が深圳市に投入され、試験運行を始めている。車体はフィアット・クライスラーグランドボイジャーをベースにしている。

 

ディープラーニング専用処理チップを搭載したAutoX

AutoXのロボタクシーは、安全監視員がいないだけでなく、リモート監視も行われない。そのため、どこでも走れるわけではなく、条件が整った道路のみの走行になるが、都心の施設から施設への移動であればじゅうぶんに対応ができる。現在、平均速度は時速40km程度での走行となる。

この無人運転を可能にしたのが、XCUと呼ばれるL4/L5自動運転専用チップだ。センサー情報を処理し、ディープラーニングによる学習をする専用のチップで、チップとソフトウェアの両方を一体化して開発したため、自動運転性能が大幅に向上た。

従来のロボタクシーは、L4自動運転を達成して、5G通信によりリモート監視を組み合わせるという考え方だったが、AuotXは、ディープラーニングの学習により自律的にL4/L5自動運転を達成することを目標にしている。2018年からすでにAutoXでは深圳で試験走行を行い、学習を進めてきた。


AutoX puts fully driverless RoboTaxis on the roads in China

▲AutoXの公式ビデオ。ハンドルや運転席がなくなる未来がもうやってきている。

 

AutoXの登場で、2026年無人運転の予測が大幅に前倒しの可能性

安全監視員のいない無人運転ロボタクシーは中国でも初めてとなる。また、乗降地点も制限がなく、どこでも乗車、降車ができるロボタクシーも中国初となる。

AutoXは、深圳で試験運行を始めた他、すでに上海、武漢、広州、カリフォルニア州でも無人運転の免許を取得した。

完全無人運転を実現するには、交通法規の改正や道路の5Gネットワーク整備などが必要で、中国工信部では、無人運転車が公道走行ができるようになるのは、2026年から2028年あたりになると表明していた。しかし、AutoXの登場で、この見通しは大きく前倒しされる可能性が出てきている。