相部屋方式の寮で寝ている間に、同室の仲間に顔認証ロック解除され、WeChatペイの資金を1万元盗まれるという事件が起きたと毎日経済新聞が報じた。
寝ている間に顔認証ロック解除される
2017年9月、中国で初めて顔認証でロック解除、パスワード入力をするスマートフォンが登場して以来、「寝ている間にロック解除されてしまうのではないか」という指摘が専門家からされていたが、その恐れていた事件が実際に起こってしまった。
浙江省寧波市の袁さんは、寝ている間に顔認証でロック解除され、1万元(約17万円)が盗まれたと警察に被害届を出した。
袁さんは寧波市のレストランで働いていて、他の従業員とともに寮で寝泊りをしている。朝起きてみると、銀行口座の残高のほぼすべてである1万元が消えていた。
警察が捜査をしてみると、同じ部屋で寝泊まりしている同僚である劉某と楊某の二人の証言に不審なものを感じた。警察官が問い詰めると、二人は袁さんが寝ている時に、ふざけて袁さんのスマホを顔にかざすとロック解除できてしまったため、WeChatペイ経由で袁さんの銀行口座の残高を、自分のスマホに送金をしたという。
▲袁さんのスマホ。当初1万200元ほどの資金を入れていたが、犯行後残されたのは0.59元だけだった。
画面を注視しないとロック解除できないはずが…
多くの顔認証対応のスマホでは、目を閉じている状態では顔認証によるロック解除がなされないようになっている。しかし、袁さんが使っていたスマホは、この機能が緩く、寝ている袁さんの顔にスマホを向けるだけでロック解除されてしまったようだ。
iPhoneなどでは、顔認証のFace IDでロック解除をするには、目を開けているだけでなく、画面を注視しないとロック解除がされないようになっている。しかし、障害を持つ人のための機能「アクセシビリティ」を設定すると、目を閉じていてもFace IDが有効になる機能もある。
▲犯行が行われた現場。複数人が同室で寝るため、寝ている間に顔認証ロック解除をされた。
寝る時にはマスクをつけてなければならいのか…
ネット民の間でさまざまな議論が起きている。指紋認証であっても、寝ている間に指をスマホに押し付けることは可能だ。
警察は、スマホ決済の送金には、指紋認証や顔認証ではなく、文字式のパスワードを設定しておくことを勧めているが、それでは利便性が大きく損なわれてしまう。中には目出し帽のようなマスクをつけて寝ればいいとか、そもそも他人と同室で寝るようなことは避けるべきだ、財布だって盗まれるかもしれないとさまざまなコメントが寄せられているが、現在のところ、これといった妙案がない状態だ。
袁さんが使っていたスマホのブランド、機種などは公表されていないが、警察が実験したところ、確かに目を閉じた状態でも顔認証が可能だったという。顔認証によるロック解除は、ユーザー体験が非常に優れているので、今後、多くのスマホで採用されていくことになるため、このような事件もまだまだ起こりそうだ。
▲この犯行は話題となり、多くのネットメディアで報道された。
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