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まるでミニ四駆感覚。CATLが発表したスマートシャシーで自動車づくりが大きく変わる予感

CATLが発表したスマートシャシーが注目を浴びている。シャシーだけで走行ができるというもので、上に客室を乗せるだけで自動車になる。非自動車メーカーが自動車産業に参入できるなど、自動車づくりが大きく変わる可能性があると差評が報じた。

 

CATLが発表したシャシーだけで走るEV

自動車製造は、子どもの頃に遊んだミニ四駆のような感覚になっていくのかもしれない。今年2024年4月25日から5月4日まで開幕された北京モーターショーで、寧徳時代(CATL)は、「CIIC一体型スマートシャシー」を発表した。すでに新エネルギー車(NEV)メーカーの「哪吒」(NETA)が、このシャシーを採用した「哪吒S猟装」(https://www.hozonauto.com/s-liezhuang.html)の量産を始めている。

▲北京モーターショーで発表されたスマートシャシー。非自動車メーカーの自動車づくりへの参入も期待できる。

▲CATLが発表したスマートシャシー。バッテリー、モーター、制御系統などが備えられ、上に客室を乗せるだけで車になる。操作系統はワイヤー接続だけで操作できるようになっている。

 

コストと安全性を高めるスマートシャシー

このスマートシャシーは、自動車のシャシー部分にバッテリーと駆動モーター、制御ソフトウェアが一体化されたもので、シャシーだけで走行をすることができる。つまり、このシャシーの上に客室スペースを乗せれば、それだけで自動車ができてしまうことになる。ハンドルやアクセルなどの操作は機械式メカニズムで伝えられるのではなく、信号としてシャシーに送られる。そのため、ワイヤー接続だけで客室スペースを乗せることができる。

CATLによると、シャシーを一体化することにより安全性が高まるのだという。衝突をした時のエネルギーの80%はこのシャシーが吸収をするため、人間が乗る客室部分は守られる。

もうひとつの利点は、自動車の製造コストが大幅に削減できることだ。CATLの説明によると、現在、一般的な自動車の企画から量産までは3年以上かかるが、これが12ヶ月程度に短縮される。シャシーの開発費用は1/3に削減され、その他のコストも5%程度削減できるという。

▲制御ソフトウェアはシャシーに内蔵されているので、ハンドルやペダルをワイヤー接続すれば運転ができるようになる。

 

非自動車メーカーも自動車をつくれるようになる

つまり、スマートシャシーは、パワーポイントのテンプレートのようなもので、これを採用して、自由にボディを設計することで、多様性のある自動車が登場してくることになる。特に、これまでは自動車製造などで資金と技術面から無理だった非自動車メーカーが参入してくる可能性がある。

EVシフトが進む中国では、自動車に対する評価は「走り」ではなく「居住空間」にシフトをしている。運転する楽しみを求める人はいまだにガソリンのマニュアル車を買い求める。多くの人は、移動中に快適にすごせることを求めるようになっている。そのため、スマートシャシーは、居住空間で独自性を出したい自動車メーカーにとってはありがたいソリューションになる。

自動車製造は明らかに次の段階に入った。大きな工場に大型装置を用意しなくても、広めのガレージでスマートシャシーを使って自動車を製造することが可能になる。自動車づくりは、まるでミニ四駆のようになっていく。

シャシーだけで走行が可能。CATLはスマートシャシーが走行するビデオを公開している。