高速道路をさらに高速化する技術が開発されている。道路にリニアモーターを設置して、自動車は宙に浮きながら走行するというものだ。開通前の高宣高速道路を利用して実証実験が行われ、時速210kmを達成したと毎日経済新聞が報じた。
高速道路をリニアモーター化して時速200km
中国の高速道路の制限時速は120km/hだが、これを200km/hに引き上げる開発が行われている。もちろん、自動車そのままではなく、自動車版リニアモーターカーを開発している。道路側にリニアモーターを設置し、磁性体を設置した自動車で走行をする。自動車側に必要な設備は磁性体のみで、通常の道路は一般の自動車と同じように走行し、設備が用意された高速道路などではリニアモーターを使って時速200kmで走行をするというものだ。
▲実験の様子を伝えるウェブメディア。最高時速は210kmを超える成果が得られた。
空中に浮かんだ自動車が時速210kmをマーク
このプロジェクトは、江蘇省交通運輸庁の高速道路新設備研究プロジェクトで、時速200km級の高速走行を実現することが目的。2022年9月6日、開通前の高宣高速道路の7.9kmのテストコースでテスト走行が行われた。
テスト車両は8台。5台が新エネルギー車で3台が燃料車。それぞれにドライバーが乗車をし、140km、160km、200kmの速度によるテストが行われた。約2.8トンの乗用車が35mm浮きながらリニアモーターの力により走行をした。
テスト結果は上々で、時速210kmを超える場面もあった。
高速道路の最高時速を引き上げる議論も進む
高速道路の制限速度については、引き上げを望む声が大きくなっている。2023年に開通予定の杭紹甬高速道路では、制限速度が時速150kmになる前提での設計となっている。現在、制限速度を時速140km程度にまで引き上げるかどうかの議論と実証実験が行われている。引き上げが可能となると、法改正をして、現在の制限速度時速120kmが引き上げられることになる。
一方で慎重論もある。高速道路の制限速度を引き上げた場合、事故の衝撃は等比級数的に増加をする。効率と安全の両方をどう確保するか、さまざまな技術開発が行われている。このリニアモーター自動車もそのような技術開発のひとつになる。
自動運転を前提に制限速度を引き上げるという議論もある。どのテクノロジーを使うのが適しているのか明らかになるのはこれからだが、この10年で、高速道路は大きく変わることになるかもしれない。