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竹素材が地球を救う。竹製の管が樹脂や金属よりも強度があることが判明。進む竹製水道管の活用

CO2排出量を減らす目的で、プラスティックの代替素材として竹が注目されている。そのままでは利用できないものの、竹素材をシート状にし複合素材とすることで地下埋設の水道管などに利用され始めていると中国竹産業協会が報じた。

 

プラの代替素材として注目される竹

プラスティックの代替に竹を使う挑戦が進んでいる。天然植物素材を使うことで、カーボンニュートラルが可能になるからだ。国家発展改革委員会は、2023年に「プラスティックを竹で代替する三年行動計画の発展を加速させる」(https://www.ndrc.gov.cn/xxgk/zcfb/tz/202311/t20231102_1361715.html)という通知を出し、代替技術の開発や利用を推進している。

中国では竹は素材として古くから利用されている。竹筒の中に米を入れて炊き、竹の爽やかな香りをつけたり、竹ひごにしてカゴなどの容器をつくる。それだけでなく、竹で家を建て、橋をつくるなど建築素材としても利用されてきた。湖南省耒陽市にある竹でできた橋は今日でも使われていて、8トンのトラックも通行できる。

▲竹製の管は、プラスティック使用を減らすことができるエコ素材として注目されている。

▲竹巻取り複合材料でつくられた管。道路下に埋設される水道管などに使われる。

▲竹をシート状にして管をつくるため、さまざまな形に整形することができる。

 

金属よりも耐久性が高い竹

竹は細胞壁が厚い細胞から構成されていて、これがかけられた荷重を分散する。しかも、外側の細胞は小さく密になっており、内側の細胞は大きく疎になっている。この構造により、軸方向だけでなく、水平方向にも高い強度を生み出している。さらに、ひっぱり強度や曲げ強度も高くなる。

さらに生物であるために、酸やアルカリなどの物質と反応にしにくい。金属のように腐食することがない。風化はするものの、それでも金属素材より耐久年数ははるかに長くなる。福建省の永定土楼に使われている竹は1000年が経っているし、都江堰に使われている石を詰めた竹かごは2000年前のものだ。竹は天然の強度素材であり、これが古くから竹が使われてきた理由だ。

▲竹の細胞は内側が大きく、外に行くほど小さく密になる。この構造が驚くべき強度を生んでいる。

四川省成都市の都江堰で使われる石と竹からつくられた堰。2000年前につくられたものが、適切な修繕を繰り返しながら今でも使われている。

湖南省耒陽市にある竹でできた橋。8トンのトラックも通行できる。

 

割けやすい弱点を改良した「竹巻取り複合材料」

ただし、完全に金属の代替となるわけではない。竹は衝撃には弱く、小さなナタで簡単に軸方向に割くことができる。この問題をどう解決するかが、竹をプラスティックの代替品として使う上での難問となる。

中国林業集団(https://www.cfgc.cn/)は、この問題を解決して、「竹巻取り複合材料」を開発した。竹をスライスしてテープ状にした後、水溶性樹脂を使って巻き取って整形していくというものだ。

▲竹巻取り複合材料の製造工程。竹をスライスしてシート状にしていく。

 

道路下に埋設する地下管に適している

この素材で最もつくりやすいのは管で、竹繊維でつくった管を二重にし、外側に樹脂の保護槽をつけたものだ。水道管、汚水管、海水だけでなく、石油やガス、腐食性の液体を送るのにも利用できる。

しかも、道路下に埋める管に適していることもわかった。道路下の管は、上を自動車が通るために常に圧力がかかり損傷をしてしまう。一般的な樹脂製パイプは2%の変形で亀裂が入るが、竹管は5%の変形にまで耐えられる。

2013年には、黒竜江省新疆ウイグル自治区浙江省などで竹管の埋設試験が行われている。特に黒竜江省では、冬の気温が-30度になり、土壌は永久凍土となる。水道管はそもそも水が凍ってしまい、管は破裂をして、冬が終わると修理をしなければならなかったが、竹管は断熱効果があるために冬でも水が凍らず、変形にも強く、破裂をしなかった。

▲道路下に埋められる竹製の水道管。埋設試験の結果、樹脂製の管よりも変形に強いことがわかった。

 

竹の生産で農村の雇用も生まれる

竹は植えてから3年で素材として利用ができる。中国に1.5億トンの竹の生産能力があり、そのうちの1.1億トンは使われることなく放置されている。生産が簡単であるため、同じ規格のプラスティック管に比べて、コストははるかに小さくなる。最低でも70%程度にコストを低減することができる。

竹素材を最大限活用すると、年間4.48億トンのCO2の排出を削減することができる。竹を生産するのは農村が中心になるため、農民の雇用も生まれる。

中国は樹脂製管を竹製に置き換えていき、この技術を、やはり竹の植生が分布する東南アジアに広げていく計画だ。

▲竹巻取り複合材料で住居もつくることができる。