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上海の若き富豪10人。80年代生まれが上海の経済をリードしている

富豪ランキング「胡潤」が発表され、資産50億元以上の富豪は合計で1305人となった。上海市からは125人がランキングされたが、目立ったのは80后という若き富豪で21人にものぼったと老馬財経が報じた。

 

富豪ランキングで目立った上海の若き富豪たち

毎年、富豪ランキングを発表している胡潤研究院(フールン、https://www.hurun.net/)が、2022年のランキングを発表した。以前は20億元以上の資産を持っている人のランキングだったが、今年から50億元(約950億円)以上の資産とハードルが上がり、合計1305人がランキングされた。

今回のランキングでは、上海市からは125人の企業家が入ったが、そのうちの21人が80后(1980年代以降生まれ、40歳前後)という若い富豪だった。しかも、上海市出身ではなく、上海市以外の出身者が多く、上位10人に限ると、昨年から4人の新顔が生まれるという大きな変化があった。

 

第10位:得物CEO、揚氷(ヤン・ビン)

江西省吉安市出身。1985年生まれ。学歴は不明。学生の時からバスケットボールマニアで、18歳の時、大学の同級生たちと「HoopChina」というバスケットボールの情報ポータルサイトを設立。これが後のスポーツポータルサイト「虎撲」(フープー)となる。

その後、バスケットボールのブームとバスケシューズのブームが始まり、揚氷はその波に乗り遅れることなく、虎撲の事業を成長させていった。

虎撲が軌道に乗った2015年、揚氷は次の事業に乗り出し「毒」(ドゥー)を創業した。シューズ、ファッション、装飾品など若者向けの流行商品を販売するECだ。これが「得物」(ダーウー)となり、成功をした。揚氷の資産は100億元と推定されている。

 

第9位:miHoYo副総経理、羅宇皓(ルオ・ユーハオ)

出身地不明。1987年生まれ。上海交通大学修士課程の時に、3人で米哈游(miHoYo、ミホヨ)を創業。クリエイティブの中心人物である蔡浩宇(ツァイ・ハオユー)とともに制作に関わり、商品設計を担当している。2人の名前はYuHao、HaoYuであり、これに初音ミクのmiをつけて、社名をmiHoYoにした。メディアや人前に登場をすることを好まない人でもある。羅宇皓の資産は105億元と推定されている。

▲前列左端

 

第8位:miHoYo総裁、劉偉(リュウ・ウェイ)

湖南省長沙市出身。1987年生まれ。上海交通大学修士課程の時に、3人でmiHoYoを創業。2人からは「偉大な偉アニキ」と呼ばれ頼りにされている。上海科学技術創業センターが主催した「鷹のひなプロジェクト」に応募をすることを主張して、そこで10万元の無利子融資を勝ち取った。これがmiHoYoの創業のきっかけとなった。miHoYoの開発した「原神」はゲームとしての質も高いが、同時に、課金圧が低くても稼げる仕組みが整っており、そのビジネスモデルも注目されている。劉偉は経営者としてもその手腕が高く評価されている。劉偉の資産は115億元と推定されている。

 

第7位:均和集団会長、何旗(フー・チー)

福建省福州市出身。1982年生まれ。父親が福建省から上海に出てきて商売で成功したため、高校の時から海外留学をしている。17歳の時に帰国をし、父親の均和集団に入社をし、海外貿易、金融、産業団地の建設と運営などさまざまな業務を経験し、会長の座についた。何旗の資産は115億元と推定されている。

 

第6位:海昌海洋公園執行役員、曲程(チー・チャン)

遼寧省大連市出身。1987年生まれ。英ロンドン大学卒業。父親は大連市でも有名な富豪。英語、フランス語、ラテン語に精通し、卒業後はオリックスグループに入社し、グローバル投資部門でファンドや投資の業務に従事する。2013年に海昌海洋公園に入社し、2016年に執行役員となった。曲程の資産は140億元と推定されている。

 

第5位:均瑶集団株主、王瀚(ワン・ハン)

浙江省温州市出身。1987年生まれ。英ロンドン大学修士課程卒業。均瑶集団創業者、王均瑶氏の長男。2005年、王均瑶氏が急逝し、父親の保有する株式を受け継いだ。現在、均瑶集団の株式の35.63%を保有している。王瀚の資産は160億元と推定されている。

▲左

 

第4位:新城ホールディングズ会長、王暁松(ワン・シャオソン)

江蘇省常州市出身。1987年生まれ。南京大学卒業。新城ホールディングズ創業者の王振華の息子で、2009年に大学を卒業した後、不動産開発の新城ホールディングズに入社、エンジニアやプロダクトマネージャーを歴任。2020年、王振華が幼児強制わいせつ事件で懲役5年の刑を受けるというスキャンダラスな事件が起き、王暁松が急遽会長に就任をした。王暁松の資産は180億元と推定されている。

 

第3位:miHoYoCEO、蔡浩宇(ツァイ・ハオユー)

山東省済南市出身。1987年生まれ。上海交通大学修士課程卒業。幼い頃からコンピューターでの創作をし、さまざまなコンテンストに入賞をする天才少年。同じ上海交通大学の同級生とmiHoYoを創業、「崩壊学園」で知られるようになり、大作「原神」を世界中にヒットさせた。miHoYoクリエイティブの中心人物。蔡浩宇の資産は210億元と推定されている。

 

第2位:宇佑伝媒会長、呉艶(ウー・イエ)

浙江省杭州市出身。1981年生まれ。浙江大学修士課程卒業。2001年、大学3年の時から起業を始める。恋人の王麒誠と一緒に、光ファイバーの変換器を仕入れて販売することでお金を稼いだ。卒業後、浙江テレビに就職し、報道記者となったが、恋人の王麒誠はそのまま起業した。2006年、王麒誠に頼まれて、テレビ局を辞職し、起業に合流した。その会社「宇佑伝媒」は成長をし、スポーツイベント、娯楽イベントなどを主催するメディア企業に成長した。呉艶の資産は215億元と推定されている。

 

第1位:拼多多創業者、黄(ホワン・ジャン)

浙江省杭州市出身。1980年生まれ。浙江大学、米ウィスコンシン大学修士課程卒業。グーグルに入社し、2006年にグーグル中国の立ち上げのため帰国。2007年に辞職をし、ゲーム会社を起業するも失敗。2015年、農産物を都市居住者に販売するEC「拼好貨」を創業し、成功をし、さらに「拼多多」として、商品全般を販売するソーシャルECとして急成長した。黄の資産は1700億元と推定されている。