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シャオミが北京に建設した無人の暗闇工場。すべての工程が自動化

小米(シャオミ)が北京市に建設した「暗闇工場」が話題になっている。暗闇と言っても違法な製品を作っているわけではなく、すべての工程が自動化されたために人の関与が不要となり、工場内の照明が不要になったという意味。暗闇の中で、製造機械だけが黙々と24時間動いて、製品を製造する未来の工場だと21世紀経済報道が報じた。

 

暗闇工場ではスマートフォンが生産されている

シャオミの創業者、雷軍(レイ・ジュン)CEOは、シャオミ創立10周年記念公演で、北京市の南東にある亦荘鎮の工場を紹介した。

この工場は、すべての工程が自動化され、人の介入なしに生産ができるようになっている。世間では「暗闇工場」と呼ばれている。なぜなら、無人で作業が行えるため、照明をつける必要がない。暗闇の中で24時間体制で生産が行われているからだ。

年間100万台のスマートフォンを製造できる能力があり、シャオミ10の10周年記念版と透明筐体版は、この暗闇工場で製造された。

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▲小米が公開した暗闇工場の写真。撮影のために照明をつけているが、通常は一切の照明が消される。

 

研究施設も併設され、シャオミの研究拠点に

この暗闇工場の建築面積は1.86万平米(東京ドームの半分弱)、建設費は6億元(約93億円)。

工場の他に、新材料、新技術を研究するための大型実験室、製造設備の自動化を研究する実験基地が併設されている。シャオミが必要とする新素材、新技術を生み出す拠点にする計画だ。


小米智能工厂,新工艺:黑灯工厂

▲小米が公開した暗闇工場の公式ビデオ。検品、管理までも自動化されていて、人の介在を必要としない。学習能力を備え、稼働するほどシステムが改善されていくという。

 

運営を学習する工場。フラグシップモデルの生産が中心に

一般的な工場でも製造そのものは、製造する製品によっては、ほぼ自動化をされている。しかし、異常が起きたときに停止させる、製造物を検査して機器を調整するということは人間がやらなければならない。

しかし、シャオミの暗闇工場では、この部分も自動化されている。雷軍の説明によると、ビッグーデータ、分析エンジン、ダイナミックナレッジグラフ、自然言語理解、アダプティブ制御などの技術を使って、複雑な問題に対しても識別、判断、推理、予測を行うという。また、学習能力があり、稼働するほどシステムの精度は上がっていく。

しかも、廉価版スマートフォンなどの製造制度が緩やかなものを製造するのではなく、新技術を投入したフラグシップモデルを中心に生産をしていくことになるという。

 

毎分60台のスマホを製造し、24時間稼働する暗闇工場

このスマート工場については、雷軍CEOは、すでに2019年11月に「北京亦荘国際展示センターから車で10分かからない場所に未来工場を建設している」と明かし、「5G時代のスマート工場になる。研究開発とフラグシップモデルの実験工場となり、12月には正式稼働をする。第一期の生産能力は100万台を見込んでいる」と説明している。それがこの暗闇工場だった。

暗闇工場では毎分60台のスマートフォンを生産できる。従来の工場と比べて60%以上生産能力が上がることになる。今後、シャオミのフラグシップモデルは、この北京暗闇工場で生産されることになる。