11月11日独身の日を間近にして、業界を不安にさせているのが「段ボールが足りない」問題だ。これを解決するため、ECサイト「蘇寧易購」では、リユースできるプラスティック製梱包箱20万個を投入したと今日頭条が報じた。
繰り返し1000回は使えるリユース梱包箱
いよいよ中国ECサイト狂乱の日「11月11日独身の日」を迎えるが、業界が最も不安視しているのが、段ボール箱不足だ。10億件を超える宅配便が発送されるこの日、梱包材不足で配送が遅れるのではないかと懸念されている。
ECサイト「蘇寧易購」では、プラスティック製のリユース梱包箱を大量に導入して、話題になっている。この“リユース梱包箱”は、価格がは25元だが、繰り返し1000回以上使える耐久性があるため、1回の梱包コストは0.025元となり、段ボール箱よりも低コストになる。
折りたたみができる箱で、配達員が届けたときに、中身を出して、箱は畳んで、そのまま持ち帰る方式だ。
段ボール箱が抱えている、段ボール箱不足、大量のゴミ問題の両方を一挙に解決することができる。
▲ECサイト「蘇寧易購」が開発したプラスティック製リユース梱包箱。配達をしたら、その場で折りたたんで回収をする。
リユース箱にすれば、大量の森林伐採を止めることができる
ECサイト「蘇寧易購」の候恩龍総裁は、天下公司の取材に応えた。「このリユース梱包箱は、私たちが設計したもので、11月11日独身の日には、20万個を投入します。もし、宅配企業上位25社がすべてこのリユース箱に切り替えてくれたとしたら、11月11日の1日だけで、小興安嶺(黒竜江省にある山脈)の森林46個分の樹木を節約できる計算になるのです」。
▲ECサイト「蘇寧易購」が開発したプラスティック製リユース梱包箱。配達をしたら、その場で折りたたんで回収をする。
不在時にどうやって回収するかという問題も
ただし、天下公司は、問題点も指摘している。配達員が、商品を出した後、箱を折り畳んで持ち帰るとなっているが、実際にやってみると、折りたたむ動作は簡単ではない。より簡単な機構にしないと、現場での配達員からの不満がでてくるだろうと論評している。
そして、さらに問題なのが、現在の宅配便では、受取る人と対面して渡すということが少なくなり、マンションの管理人に渡す、宅配ロッカーに入れるということが多くなってきている。
この場合、商品だけを出して預けるわけにいかず、箱ごと置いていくしかない。この箱を回収しようとすると、その分のコストが上昇してしまうことになる。
▲商品を入れたら、専用の糸で封印する。これが、「配達員が勝手に開けていない」証明になる。
紙ゴミとプラスティックゴミのどちらが環境に優しいか
もうひとつの問題は、リユース梱包箱といっても、1000回の使用後はゴミになる。段ボール箱のようなリサイクルできる、あるいは単純に焼却処分できるゴミに比べて、プラスティックゴミは処分が難しい。すべての梱包材をこのリユース箱に切り替えたとした場合、段ボールゴミとプラスティックゴミのいずれが環境に与える負荷が少ないのかは、慎重に考えてみる必要がある。
▲ECサイト「蘇寧易購」は、今年の独身の日に、このリユース梱包箱を20万個投入する。うまく回収ができれば、今後、採用するECサイトも増えていくと思われる。
購物狂歓祭に対する批判も起き始めている
また、11月11日の独身の日の狂乱状態をそろそろ考えるべきだという声も上がり始めている。独身の日は、最近では購物狂歓祭(買い物に狂い喜ぶ祭り)とも呼ばれるようになり、各方面から「行き過ぎ」だという批判の声も上がり始めている。
消費者が、純粋にこの日に買い物をしたくなるのであればいいのだが、実態は大量のクーポンの投入だ。独身の日に利用できるクーポンを事前に大量に配布をし、新規利用者を獲得したい。それがECサイト側の狙いで、投入クーポンの予算と、独身の日を売り上げを比較したら、赤字になっているECサイトも多い。
利用者から見れば、うまく立ち回れば、11月11日に、タダ同然で商品を手にできることになり、熱狂する要因はこれが大きい。
クーポンを使って、あるECサイトを利用したからといって、引き続き、そのECサイトを利用するかどうかは、ECサイトの利便性次第。消費者はどんどん賢くなっている。いろいろな意味で、独身の日は転換点を迎えている。
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