中華IT最新事情

中国を中心にしたアジアのテック最新事情

車をロボットが収納していくスマート駐車場

駐車場不足に悩む中国で、ロボットを使ったスマート駐車場ビジネスが興り始めている。既存の駐車場よりも運営コストが低く、駐車容量は最大40%もアップすることができると杭州網が報じた。

 

駐車場不足に悩む中国の大都市

次々と奇想天外なビジネスが誕生している中国。そこにまた新しいビジネスが登場した。スマート駐車場だ。

中国の都市部は、どこも駐車場不足に頭を悩ませている。中国の都市というと、片道5車線もある広い道路が東西、南北に走り、道路事情はよさそうに見えるが、あれは交通目的ではなく、治安維持のため。有事の際は戦車の通路となり、戦闘機の滑走路となる。また、市民暴動が起きた際は、幹線道路にバリケードを築き、ブロックを分断して抑え込むというものだ。

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▲中国都市の大通りは、片道5車線もある広いものだが、一歩、裏通りに入ると歩道もなく、狭い。

 

車で出かけると止めるところがない

幹線道路以外の支線は、いきなり歩道もない裏道になる。都市そのものが自動車を想定せずにデザインされたために、大きな駐車場を備えている施設は少なく、最近の再開発でショッピングセンターなどの地下に大規模な駐車場ができるようになった。

そのため、つい最近まで、自動車は裏道に路上駐車するか、歩道に乗り上げて止めておくしかなかった。それも今では取り締まりが厳しく、車で出かけたはいいが止めるところが見つからないということが頻繁に起きている。ライドシェアが進んでいるのも、このような状況と無関係ではない。

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▲中国の都市では駐車場が圧倒的に足りていない。一方で、取り締まりは厳しい。自動車で出かけた時は、駐車場探しが悩みのタネになる。

 

ロボットが車を運んで収納する

このスマート駐車場は、旧式の駐車場の容量を40%も増やすことができる。わずか10cm足らずの板なのだが、2.6トンまでの自動車(一般的に7人乗りまでの乗用車)を乗せて、走ることができる。

駐車する車は、この板の上に乗せ、後は板が自走して、空いている場所に移動する。車のように走行するのではなく、直角に真横に走ることもでき、その場で回転することもできる。そのため、走行レーンはギリギリまで狭くできる。

人が降りてからロボットが駐車スペースに運ぶので、隣の車との間隔をギリギリまで詰めることができる。駐車場から出すときは、入り口で自分の車を呼ぶと、板が自走して入り口に出てくるという具合だ。

しかも、この自走板は1つの駐車場に数台でかまわない。車は台の上に乗せ、自走板は台ごと車を運び、所定の位置で、台を置いてくるだけ。パーキングタワーなどと比べても、極めて低コストで済み、何より、空間さえあれば、少しの改修でスマート駐車場にできるのが魅力だ。

すでに杭州極木科技が、この駐車ロボットを開発し、数千万元の投資資金を獲得することに成功している。また、海康威視は、すでに陝西省烏鎮でスマート駐車場を開業している。

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▲ロボットは、真横に走ることも、その場で回転することもでき、走行スペースもギリギリまで狭くすることができる。

 


厉害!中国人工智能停车场!海康威视的自动泊车机器人 2分钟停好精度误差小于5mm 完美停车问题!| 一闪科技

▲海康威視のスマート駐車場を取材したニュース映像。誤差5mmで車を収納できると報じられている。

 

車を台に乗せ、台ごと運ぶことで実現化

レノボの副総裁だった祁衛博士は、車を駐車場に入れるたびに思っていた。「なんでこんな面倒で、つまらない仕事をロボットにやらせないのだろう?」。そして、2016年7月に杭州極木科技を設立し、自走板式の駐車ロボットの開発を始めた。

技術開発は簡単ではなかったという。ひとつは、車の下に入れるロボットだから厚みを持たせるわけにはいかない。それで十分な強度をだし、軽快に自走させる技術開発は簡単ではなかった。

もうひとつの問題が、駐車ロボットと自動車をどうやって接続するかだ。ただ乗せただけでは、自動車の底面を傷つけてしまう。

途中に台をかませて、車をこの台の上に乗せ、台を運ぶというアイディアが出た時に、開発が前に進み始めた。

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▲海康威視が開発したシステム。すでに烏鎮で、スマート駐車場を開業している。

 

駐車容量は最大40%もアップ

このスマートパーキングでは、駐車容量が30%から40%もアップする。祁衛博士は、杭州網の取材の応えた。「車を転回するスペースが不要で、ドアの開け閉めをするスペースも不要です。車を隙間なく並べることができるため、駐車場の容量は30%から40%程度増加します」。

平均的な都市の駐車場では、車の出し入れに約120秒程度だという。これはタワーパーキングとほぼ同じ時間だ。

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杭州極木科技が開発したロボット。海康威視のものよりさらに薄くなり、厚みは10cmに満たない。

 

設備も照明も不要。空間さえあればいい

「統計によると、中国全体で100万箇所以上の駐車場がありますが、そのうちの10分の1程度の駐車場で、この駐車ロボットを導入することができます。市場はものすごく大きい」と祁衛博士は期待をする。

さらに、スマートパーキングでは、ロボットが自走するので、指示標識、レーンマーク、信号、車止めなどの施設も不要だ。さらに、祁衛博士によると「照明も不要」。ただ空間さえあればいい。運営コストは極限まで絞り込むことができる。

真っ暗な空間の中を駐車ロボットが走行し、車を“収納”していく。中国の駐車場は様変わりしていくかもしれない。

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▲海康威視のシステムは、宅配物流の仕分け場でも応用されている。

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手数料ゼロでも利益が出るアリペイの秘密

日本の電子決済と異なり、中国のQRコードスマートフォン決済「アリペイ」「WeChatペイ」は、加盟店手数料などが原則不要だ。それでなぜ利益を上げられるのか。今日頭条が報じた。。

 

踏んだり蹴ったりの電子決済

日本で電子決済が広まらない理由。それは手数料だ。加盟店は一般的に3%から5%程度の手数料を支払わなければならない。お客さんが1000円のランチを食べても、電子決済で支払われたら、実質の実入りは950円で、50円は決済運営企業に支払わなければならない。

これは、ギリギリのコスト、ギリギリの利幅で経営している小規模飲食店にとって、かなりきつい。電子決済をする客が増えてきたら、値上げをせざるを得なくなり、値上げをすれば客数が減り、客数が減れば売り上げが下がるという悪い循環に入ってしまうのではないかという恐怖がある。

そのため、飲食店では、電子決済に対応していることを積極的にアピールしないことも多い。ネットのレストランガイドに掲載する時も「対応クレジットカード」の欄は空白にし、店舗の入り口にも電子決済のロゴシールを貼らない。しかし、お得意さんが「電子決済で支払いたい」と言った時のために、カードリーダーは用意している。

個人経営の飲食店にしてみれば、セキュリティ基準に適合したPOSレジを購入し、カードリーダーなどの装置も購入しなくてはならず、挙げ句の果てに手数料を削り取られる。踏んだり蹴ったりで、電子決済対応により、客数が大幅増加するという確証でもなければ対応したくないと考えるのもうなづける。

そして、消費者は、対応している店舗が少ないので、電子決済を使わず、現金を持ち歩くという悪循環になっている。

 

手数料ゼロの中国QRコード決済「アリペイ」

中国でQRコードスマホ決済が広まった理由。それは手数料がかからないからだ。アリペイは一切の手数料を取らない(現在では一部徴収をしている。後述)。POSレジもカードリーダーも必要がなく、自分が使っているスマートフォンだけで対応できる。飲食店経営者にしてみれば、投資ゼロ、リスクゼロなのだから、対応しておいて損はない。こうして、露店の焼き芋屋まで対応する環境が生まれ、消費者は現金と同じようにどこでも使える利便性に惹かれて、一気に利用が広まった。

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▲露店ですら、電子決済に対応している。手数料不要。スマホがあればPOSレジ、カードリーダーの購入も不要とハードルが低いからだ。

 

現金化をする時に0.1%の手数料

ただし、厳密には手数料が完全にゼロではない。アリペイにチャージされているお金を、現金化するために銀行口座に振り込む時に、2万元(約33万円)を超えた分について0.1%の手数料がかかる。

わずか0.1%だ。個人経営の店主は、売上をアリペイで受け取って、現金化せずに、自分もアリペイで支払いをすればいいのだから、この手数料とは無関係だ。アリペイには余額宝という仕組みがあって、そこに入れておけば、銀行口座よりも高い利息がつく。この手数料は、アリババが利益を得るためではなく、お金をアリペイから外に出しづらくするための方策にすぎない。

 

消費者金融機能で利益をあげる

では、アリペイは一体どうやって利益をあげているのだろうか。それは多くのITサービスと同じように、付帯サービスで利益をあげているのだ。

最も大きいのは、花唄、借唄と呼ばれる消費者金融機能だ。直接必要な金額を借りることもできるが、多くはクレジットカードの分割払いやリボルビング払いのように使っている。「先消費、後支払」体験と呼ばれ、若い世代を中心に利用が進んでいる。この利子収入が大きい。国際的なクレジットカードも、加盟店からの手数料よりも、リボ払い、キャッシングの利子収入が大きいのと同じだ。

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▲花唄の画面。現在2097元しかチャージしてなく、6252元が借入金となっている。これに利子がつく。

アプリ広告収入も小さくない

次に広告収入だ。アリペイアプリは、すでに5億人が利用し、1日2億件の決済に使われている。つまり、毎日最低でも2億回はアリペイアプリが起動されているということだ。アプリに広告を配信するだけ、相当額の収入になる。

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▲アリペイの画面。下部に小さな広告が表示される。5億人が使うアプリなので、広告効果は極めて高い。

 

大きなビジネスに成長する社会信用スコア「芝麻信用」

アリペイでは、支払い状況などから信用度を算出する社会信用スコア「芝麻信用」と呼ばれるサービスを提供している。支払い状況だけでなく、SNSの交友範囲や付帯サービスを利用した結果などが加味される。一定スコア以上であると、ビザの取得申請が簡素化されたり、ホテル、レストランが優先予約できるなどさまざまな特典がある。

この信用スコアは、金融系業者だけでなく、ホテルやレストラン、シェアリングサービスなども使いたい。どの業者も、信用度の高い顧客を優先したいからだ。この芝麻信用の利用料を利用する業者から徴収している。

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▲芝麻信用の画面。芝麻とはゴマのことで、ゴマ粒のように信用スコアが上下する。アリペイの支払い履歴だけでなく、身分、行動、人脈なども加味され、スコアが算出される。与信情報が生成しづらい中国では、さまざまなビジネスの起点になる。

 

公的機関からは銀行と同じように手数料を取る

アリペイでは、光熱費などの公共料金や税金、交通違反の罰金などを支払うことができる。このような公共料金については、手数料を受け取り機関から徴収している。銀行引き落としでも手数料をとっているので、同じ額を徴収している。大きくはないが、これもアリペイの収入になっている。

 

支払い履歴から得られるビッグデータが狙い

さらに、アリペイの膨大な利用履歴は、そのままビッグデータとして活用できる。芝麻信用もまさに利用履歴ビッグデータを使ったサービスであるし、すでにそれを活用したビジネスコンサルティングなどの業務を行っている。

ここはまさにアリペイの宝であり、今後さまざまなビジネスが展開できていくことになる。

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銀行が自ら変わろうとしないのであれば、私たちが変えてみせる

アリペイは、ITサービスの基本に極めて忠実だ。それは「マネタイズは後で考える」「まずは広く普及することに集中をする。普及をすれば、どのようなビジネスを展開しても大きな利益が期待できる」というシンプルな原則をそのまま守り、それが類を見ないほどうまくいった。

それを可能にしたのが、ジャック・マーの強い信念だった。アリババが運営するECサイトタオバオ」で、銀行振込しか決済方法がない時代に、アリババは振込手数料や振込処理にかかる時間など、eコマース時代に合わせて銀行も業務を効率化してほしいと何度も注文をつけた。しかし、当時の金融を牛耳っていた銀行は、アリババをまったく相手にもせず、なにも変えようとしなかった。

タオバオの利益だけのことではない。このままでは、中国はネットを活用した社会に進化することができないと感じたジャック・マーは「銀行が自ら変わろうとしないのであれば、私たちが銀行を変えてみせる」と宣言して、アリペイのサービスを拡大していった。

そして、当初は「ホラ吹き」とまで言われたジャック・マーの発言通り、銀行は今、変わらざるを得ない状況になり、中国社会は明らかに次の時代に進んだのだ。

 

大都市の女性は、地下鉄よりもライドシェアが好き

調査会社「極光」は、ライドシェアのアプリ利用履歴統計をまとめた「網約車App研究報告」を公開した。これによると、ライドシェアがすでに生活の中に溶け込んでいることが明らかとなった。特に大都市の女性によく利用されている。

 

スマホで呼ぶライドシェア+タクシー=網約車

日本では一向に進まないライドシェアだが、中国ではすでに生活の中に組み込まれている。一般のマイカー所有者が小遣い稼ぎに自分の車を運転し、客を乗せるライドシェアと、既存タクシーをGPS情報を利用してアプリで呼べるネットタクシーを総称して「網約車」(ネットで予約する車)という新しい言葉も生まれている。

日本人の感覚だと、タクシーは「時間で借りる運転手つき専用車」だが、中国人は単なる公共交通機関という感覚でいる。そのため、以前から相乗りを普通にやっていた。先客の目的地近くになると、次の客がいたら乗せてしまうのだ。2組の客の料金が公平になるような地点でいったんメーターを切り直す。先客も後客も、わずかだが料金が安く済む。運転手はロスタイムなく次の客を乗せることができる。三者ウィンウィンの方法なのだ。知らない客同士がしばらくの間、同じタクシーに乗ることになるが、中国人は気にしない。それどころか、知らない人と楽しくおしゃべりができて楽しい経験であるとすら感じている。

このような感覚があるため、ライドシェアに対する抵抗感というのは極めて低かった。

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よく使う交通機関は、バス、網約車、地下鉄の順

外出するときに、よく使う交通手段を尋ねると、網約車(ライドシェア+ネット予約タクシー)はもはやバスに次ぐ第2位になっている。地下鉄よりも多いのだ(地下鉄は一級都市と呼ばれる大都市のみで、地下鉄がない地方都市も多い)。

年齢別に見ても、網約車は45歳から54歳でもよく使われている。一般タクシー(路上で拾うタクシー)を使う人はほとんどいなくなっている。

中国のある程度の規模の都市では、もはや路上でタクシーを拾うことはできない。タクシーはたくさん走っているものの、ほとんどすべてネット予約されていて、止まってくれないのだ。乗れるのは、駅や空港などのタクシー乗り場ぐらいで、それ以外の場所はタクシーに乗れないものと思って行動計画を立てないと酷い目に会う。あらかじめ網約車のアプリを使えるようにしておくか、でなければ、利用したホテル、レストランのスタッフに頼んでタクシーを呼んでもらうしかない。

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▲よく利用する交通手段(複数回答あり)。すでにライドシェアがバスと同じくらい利用される交通手段になっている。

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▲年齢別の交通手段。網約車は中高年にも広く使われている。55歳以上は昔の習慣で、バスと地下鉄を主な交通手段としている。

 

世帯収入が中以上の層に広く普及

世帯月収が1万元(約17万円)以下、3万元(約50万円)以下、以上で網約車の利用頻度を見てみると、世帯月収が少ない層では確かに利用回数が目立って少ない。しかし、1-3万元、3万元以上を比べてみると、大きな違いはない。つまり、網約車は経済滴に余裕のある人が使うものというのではなく、ごく一般的な庶民にも浸透していることがうかがわれる。

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▲世帯月収の高中低による比較。低収入家庭では網約車の利用頻度は低いが、中と高の家庭では利用パターンがさほど変わらない。網約車が広い層で使われていることがわかる。

 

女性は地下鉄よりも網約車

また男女の比較をしてみると、網約車を利用するのは女性が多い。また、女性は地下鉄を嫌い、バスを好む傾向がある。理由は報告書では明らかにされていないが、地下鉄はラッシュ時にはかなり混雑する。近年は痴漢被害が社会問題になっていることや、女性はバッグや紙袋を持っていることが多いので、混雑を避けたいと考えるのかもしれない。バスは、主要路線では3分から5分おきにくるので、混雑していても1台待てば座れることが多い。

一級都市(大都市)と二級都市(地方都市)で比較をすると、一級都市では地下鉄と網約車が多くなり、二級都市ではバスと自家用車が多くなる。

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▲男女の比較。女性はバスと網約車を好む。地下鉄の混雑を避けるためではないかと推測される。

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▲一級都市と二級都市の比較。大都市では地下鉄と網約車が好まれる。

 

圧倒的に評判がいい最大手の滴滴出行

主な網約車ブランドでの満足度調査では、最大手の滴滴出行が圧倒的に評判がいい。中国でもウーバーはサービスを展開しているが、すでに滴滴出行に買収され、順次滴滴出行ブランドに吸収されていく予定だ。

中国では網約車は完全に公共交通機関のひとつになっている。そもそも中国は、交通料金を意図的に安く抑える政策をとっている。バスが3元、地下鉄が5元、タクシーは市内20元、ライドシェアは15元というのが相場だ。バス、地下鉄と比べて、網約車の価格がさほど高くないのだ。また、街の作りが大きいため、目的地に行くには地下鉄の駅から15分も歩くということも珍しくない。これで2人、3人で行動するなら、網約車はむしろ安上がりになる。

これにプラスして、「最後の1km」では、シェアリング自転車もよく利用される。20年前、中国の庶民の外出はバスに乗って、後は歩くという手段が一般的だった。それから比べると、短い間に交通手段が大きく変わっていることがわかる。

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▲網約車各ブランドの満足度。最大手の滴滴出行が図抜けて満足度が高い。

 

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滴滴出行は、ショッピングセンターなどに乗り場の設置を進めている。スマホがなくても、滴滴出行にユーザー登録していなくても利用できる。また、中高年の間では、どの車が滴滴出行なのかを見つけるのが煩わしいという人もいて、そのような問題もこの乗り場で解決できる。

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30分配送もする中国の無人コンビニ「ゴリラコンビニ」

セルフで商品を取り、スマホ決済をする無人商品棚。そのスタートアップのひとつであるゴリラコンビニが、店舗展開だけでなく、30分配送も始めた。これが今までになかったコンビニ体験になっていると商業評論が報じた。

 

競争が激しくなるコンビニ市場

中国のコンビニという業態が大きく動いている。その原因は、コンテナ型の無人コンビニが登場したためだ。無人コンビニは、人件費コストが抑えられるため、商品を安く提供できる。有人コンビニと無人コンビニが同じ場所に並んでいたら、誰でも無人コンビニを利用するだろう。

既存コンビニの中には、セルフレジを導入し、無人コンビニに対抗しようとするところもある。しかし、多くのコンビニは有人であることの強みを活かして、イートインコーナーを作り、カフェやレストランの機能を取り入れようとしている。

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コンビニの市場を侵食する無人商品棚

無人コンビニも新しいライバルの脅威に晒されている。無人商品棚だ。小さな商品棚をオフィスビルなどに起き、自由に商品を取り、セルフでスマホ決済するというもの。万引きの危険性があるので、オフィスビル、社内、ホテルなど設置場所が限定されるものの、高層のオフィスビルで働く人からは、わざわざコンビニにいかなくても、飲料や菓子類が購入できると好評だ。

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▲ゴリラコンビニの本来のビジネスは無人商品棚。オフィスの中に設置し、セルフで商品をとってもらい、スマホ決済してもらうというもの。簡単に万引きができてしまうので、設置場所はオフィス、ホテルなどに限られる。

 

無人コンビニ+30分配送+無人商品棚

この無人商品棚のスタートアップで、ユニークな小売方式を採用したのが、ゴリラコンビニだ。店舗を開き、そこに無人商品棚を並べ、無人コンビニとほぼ同じ業態にした。無人商品棚とコンビニの両方と競合をすることになる。

さらに、ゴリラコンビニがユニークなのが、30分以内の配送に対応したことだ。配達エリアは、上海市の長寧路、福山路に限られているが、朝食、昼食を予約して配送してもらうことや、24時間いつでも配送してもらうことができる。

商品は、スマホアプリで注文をし、そのままアリペイなどのスマホ決済をする。対応商品は食品が中心だが、医薬品や日用品なども注文できる。

購入金額が10元以上であれば、配送料は無料だ。

 

無人コンビニ弱点をカバーする巡回要員による配送

この配送サービスは、配送員を用意する必要があり、高コストのサービスのように思えるが、ここにゴリラコンビニの工夫がある。

無人コンビニの弱点は、弁当、寿司、おにぎりなどの消費期限が短い食品を扱いづらいことだ。このような食品の消費期限は通常半日程度なので、無人コンビニと言っても管理者が出向き、消費期限が切れそうな商品を廃棄する作業をしなければならない。このため、補充用の商品を携えた巡回要員が店舗を周り、商品の補充と廃棄をする必要がある。

ゴリラコンビニでは、この巡回要員が配送まで行ってしまう。巡回中に配送注文が入ると、そこへ向かい、注文商品を用意して配達をする。その合間に店舗を巡回し、商品の補充と廃棄をする。

このような方式なので、配送専門要員を手当する必要がない。

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▲ゴリラコンビのアプリ。朝食、昼食の予約と24時間随時注文の3種類の注文方法がある。

 

店舗で存在を知らせ、配送で利用させ、無人商品棚の契約を取る

ただし欠点もある。それは店舗を特定の狭い地域に集中して展開せざるを得ないことだ。店舗が広い地域に渡っていると、巡回要員の行動範囲が広くなり、効率が落ちていくことになる。

この点、ゴリラコンビニは現在のところ、うまくやっている。無人商品棚というビジネスの性格上、大都市のオフィスビル街中心に集中展開をしているのだ。

無人コンビニ店舗を出店することで、消費者に存在を知らしめ、オフィス内のデスクまで配送してくれるということで利用を促し、頻繁に注文があるオフィスに対しては無人商品棚の設置を提案する。

このような手法で、無人商品棚市場のシェアを握ろうと考えている。

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▲ゴリラコンビニの店舗。無人商品棚を集積したもので、店員はいない。フルセルフ方式で、監視カメラとQRコードによる個人認証で万引きを防いでいる。この店舗が広告塔の役割を果たしている。最終的な狙いは、無人商品棚を社内に設置してもらうことだ。

 

無人商品棚の淘汰整理は今年前半が勝負

無人商品棚に置かれる商品は、飲料と消費期限が比較的長い食品が中心になる。配送で、消費期限の短い食品をカバーし、利用者に対して「オフィスの中にコンビニがある」感覚を提供しようとしている。

ゴリラコンビニでは、2018年の前半で、無人商品棚のスタートアップの淘汰が行われ、残るのは2つか3つだと考えているという。ゴリラコンビニの生き残り戦略が、新しいコンビニ業態を生んだと、各方面から注目されている。

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アリババが超一流大学卒業者を採用しない理由

中国で超一流の大学といえば、北京にある北京大学清華大学。国際的にも上位にランキングされる。ところが、アリババはこのような超一流大学の卒業生を雇用しないという。それはなぜなのか、今日頭条が報じた。

 

超一流大学卒業者は雇用しないアリババ

アリババはもはや中国を代表する企業になり、大学生の多くがアリババのような企業で働きたいと思うようになっている。ところが、アリババは、中国で超一流大学と言われている清華大学北京大学の学生を採用していない(厳密には拒否しているわけではなく、大学に対してリクルート活動をしていない)。一方で、決して一流とは言えない曁南大学、華中科技大学、武漢郵電大学などにはリクルート活動を積極的に行っている。トップクラスではなく、二流とも言える人材を積極的に採用しているのだ。

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▲アリババのオフィス。調度品などはモダンだが、全体のデザインは日本の昭和の企業を彷彿とさせる。最先端の企業なのに、中は決して最先端ではない。

 

学歴よりも職歴。知識よりも経験。スターよりもチーム

これはアリババのジャック・マー会長の方針だ。超一流大学の卒業生は、アリババ以外の多くの企業が欲しがる。そして、このような学生は、自分の能力や経験よりも、学歴をアピールしがちなのだ。「私は○○学と○○学を修めました。○○学も夏季セミナーで学びました」という主張は、アリババに必要ないと考えている。

知識よりも経験。できれば、他の企業で数年の経験を積んで、その経験を携えてアリババにきてほしいという。

また、企業文化として、アリババは「平凡な人間が平凡なことを積み重ねていったら、すごいものができあがっていた」を尊ぶ。1人のスターによるファインプレーよりも、全員によるチームプレーを好む。

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▲社員研修会の記念写真。見てわかる通り、北京のIT企業社員にある「意識高い系」の雰囲気はまったくない。どことなく垢抜けない感じなのが、アリババの社員なのだ。一方で、仲間意識は強く、チームワークはいい。高給ということだけでなく、社風に惹かれてアリババに就職をする学生も多い。

 

古都から動かないユニークな企業「アリババ」

それでも大卒初任給は年約410万円と、研究職などを除いた一般職としてはきわめて高額だ。しかも、アリババは杭州市にマンションを建設していて、社員は優待割引、会社の低金利ローンを使うことで、相場の半値ほどで購入できる。

さらに、女性や高齢者も積極的に雇用するなど、中国ではユニークな採用方針を持っている。こういうところがアリババの強さの秘密なのかもしれない。

アリババの本拠地は杭州市。風光明媚な古都で、最近まで観光産業が主要産業だった。それがアリババの成長により、多くのIT企業が移転をしてきて、今やITが杭州市のメイン産業になっている。

日本の京都の企業と相通じるところがあるかもしれない。どれだけ成長をしても、東京に本社を移さない。ユニークな社風、ユニークな発想で成長を続ける任天堂や京セラといった京都の企業とアリババは共通したものがあるのかもしれない。

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杭州市のアリババ本社。この建物の灯りが完全に消えることはない。全員が働き者で、ハードワークをしている。

 

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IT化がようやく進み始めた中国の病院。投資家の狙いは健康スコア

先進国に比べて遅れていると言われている中国の医療。ようやくIT技術を導入し、前に進み始めた病院が現れるようになったと南方網が報じた。

 

問題の多かった中国の医療

中国の病院と言えば、つい最近までお世辞にも先進国とは言えない状態だった。日本の外務省の海外安全情報でも、都市部の病院の状況は良好としながらも、地方都市や農村部では「衛生状態も悪く、本来治療の必要がないような比較的軽い病気でも死亡例の報告が見られます」と怖いことが書いてある。

問題は、中国の医療はビジネスだということだ。そのため、回収リスクを避けるため、医療費を先払いする習慣になっている。治療後、過不足の清算が行われるが、商売上、預かった医療費を使い切るために、不必要な検査をし、不必要な薬を出すことが常態化している。

そこで多くの人が、信頼できる一部の病院に殺到し、治療を受けるために長い時間並ばなければならないということになっている。

 

毎日2000組の受付をする医療ロボット「小易」

医療関係者もこの状態をよしとしているわけではない。ITや人工知能の技術を活用して、さまざまな改革が病院で行われ始めている。

深圳市の北京大学病院には、「小易」という名前のロボットがロビーにいる。目の前に立つと、「こんにちは、僕は医療ロボットです。どんな御用でしょう」と言う。胸の部分にはタッチパネルがつけられていて、簡単な問診の質問が表示される。これに答えていくと「小児科に行ってください」と答え、小児科の受付が行われる。北京大学深圳病院の李粉玲看護副主任は、南方網の取材に応えた。「ロボットはどこの科にいけばいいかを答えるだけでなく、行き方の案内もします。問診内容はドクターに伝えられます。患者さんが複雑な状況を抱えていて、ロボットで対応できない場合は、問診カウンターにいくような指示が出ます」。

この案内ロボットはすでに活躍していて、3台のロボットが毎日2000組の患者の案内をしている。

李粉玲看護副主任は言う。「病院全体の案内業務は、1日1万件近くに登るのです。手際が悪く、複数の科にかかる患者さんの問診を1回で済ませられない、連絡ミスにより同じ患者さんに同じ内容の問診を行うということが日常化していました。ロボット導入により、このような無駄がほとんどなくなりました」。

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北京大学深圳病院のロビーに配置された受付ロボット。簡単な問診に答えると、行くべき科が案内され、受付も済ませられる。

 

人工知能が早期癌を4秒で診断

深圳市中病院では、テンセントが開発した人工知能による画像解析診断を利用している。胃カメラによる撮影写真を解析することで、4秒で胃がんの可能性があるかどうかが判断される。同病院の胃カメラセンターの郭紹挙主任は南方網の取材に応えた。「以前は、中期、後期の食道がんはすぐに診断できましたが、早期癌の疑いの診断が問題でした。診断には時間がかかっていたのです」。

現在のシステムの正答率は90%以上で、早期癌の疑いがあった場合は、すぐに精密な医療検査をする。見逃しがほとんどゼロになったことがなによりも大きいという。

このシステムは、深圳市南山区人民病院でも使われている。

 

大好評のスマホ予約システム

中国でお産をするのは非常に手間がかかる。検査の回数が多く、毎回、行列に並んで長時間待たなくてはならないからだ。特に産科は待たされることが多く、利用者からの不満も大きかった。

そこで、宝安区婦幼保健院では、顔認証による予約システムを導入した。必要な検査のスケジュールがスマホに表示され、予約をすることができる。予約をしておけば、2階にあるキヨスク端末に顔を見せるだけで顔認識により受付が済む。宝安区婦幼保健院の看護師は南方網の取材に応えた。「この端末に妊婦さんの顔写真が保存され、以降は顔認証だけで受付が済むようになります。予約もできるので、長い時間待たされることはなくなります」。

顔認証で受付をすると、端末からQRコードが印刷されたレシートが出てくる。ロビーには血圧計や体重計などなどが用意してあるので、待っている間に自分で測定をし、QRコードをかざすと、測定値が自動的に電子カルテに入力される。「看護師の作業負担を減らすだけでなく、妊婦さんに自分の健康状態をより意識してもらえるようになりました」。

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▲宝安区婦幼保健院では、スマホでの受付システムを導入した。血圧などは自分で測定し、スマホのアプリに自動記録される。

 

処方薬もクラウドチェック、配送は自動運転カート

北京大学深圳病院では、薬の処方にもIT技術が活用されている。医師が処方した薬はクラウド上で検査がされ、薬の組み合わせ、分量などに問題がある場合は、薬剤師側に警告が表示される。薬剤師は内容を検査して、医師に確認をする。通常ではない処方が、誤りなのか、意図的なものであるかが、そこではっきりとする。

処方された薬は小さなボックスに入れられ、QRコードがつき、ネットで追跡管理される。病室へは、自動運転のカートが薬を届ける。1台のカートで約10人分の薬を届けることができ、1人の看護師が同時に3台から4台のカートを操作して、薬を配っていけるという。

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▲薬剤関連もIT化され、処方ミスのチェックがクラウド上で行われる。薬の配達は無人カートで行われる。

 

スマート点滴などのIoT化も進む

この病院ではスマート点滴容器も使っている。点滴容器内の残量が5ml以下になると、看護師が携帯しているPDAにアラートが表示される。北京大学深圳病院の脊柱外科孫咏梅看護副主任は南方網の取材に応えた。「以前は、交換する必要のある点滴があるかを確かめるため、必要がなくても病室を巡回していました。このシステムが導入され、必要な時だけ病室に行けばよくなりました。看護師の作業負担が軽くなり、ミスが減っています。患者さんへの対応にも余裕が出てきています」。

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▲点滴容器もIoT化され、残りが少なくなると、看護師が携帯しているPDAにアラートが飛ぶ。

 

注目される電子カルテによる健康スコアビジネス

中国の病院は積極的にIT技術を使おうとし始めている。と言っても、まだまだ導入段階で、日本の先端的な病院の方が、IT活用ははるかに進んでいる。

しかし、IT系の投資家たちは医療分野の成長を期待している。それは、宝安区婦幼保健院のように、スマートフォン、IoT機器との連携が始まろうとしているからだ。単なる予約システムだけではなく、電子カルテクラウド化して、複数の病院で共有できるようにし、そこにスマホから得られる日常情報(食事、睡眠、排便、移動量など)を使い、個人の健康スコアのようなものが利用できるようになるからだ。

この健康スコアが可視化できるようになれば、保険、健康食品、スポーツ関連などさまざまなビジネスが生まれてくることになる。

先進国では電子カルテは、高度なプライバシー情報であるために、扱いには極めて慎重だが、中国はそのハードルがとても低い。この分野で、中国のIT産業が再び成長をする可能性は十二分にあると考えておいた方がよさそうだ。

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モードが変わった中国スマホ決済競争

中国のスマホ決済「アリペイ」と「WeChatペイ」はサービスイン以来、熾烈な競争をしてきた。しかし、その様相が切り替わったとIT168が報じた。

 

競争しながら成長してきたスマホ決済市場

中国のスマホ決済は、「アリペイ」(アリババ)と「WeChatペイ」(テンセント)が2強であり、この2方式が熾烈なシェア争いをしてきた。その競争は、利用者にとっても好ましいものだった。それぞれに関連サービスが増えていき、さらにはさまざまなな優待の恩恵を得ることができた。

特に普及の原動力になったのが、紅包大戦と呼ばれるイベントだ。企業がプロモーションの一環で、消費者に紅包を送る。これは、利用者間で現金を送金できる機能を利用したもので、一定幅の金額がランダムに遅れるクジのような仕組み。本来は、お正月に送るお年玉として使う機能だった。企業サイトに登録をするだけで、少額とは言え、現金がもらえる。企業は、消費者の名簿を作ることができ、プロモーションの告知ができるようになるというものだった。大型の紅包大戦が行われると、アリペイとWeChatペイの利用者数は一気に急増した。

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▲WeChatペイ(左)とアリペイ(右)の使い方を解説した広告。アリペイの方が決済手続きのステップが1つ少ない。こういう利便性競争が今までは行われていた。

 

ウォルマートがアリペイの使用を停止

中国のウォルマートがアリペイの扱いをやめると宣言して、消費者の間に衝撃が走った。ウォルマートでは、WeChatペイ、銀聯カード、クレジットカード、現金のみで決済ができ、3月15日から4月1日まで、WeChatペイで支払った場合には優待をすると公告した。

ウォルマートは、189都市に439店舗を展開し、すでに中国人にはおなじみの大型スーパーとなっている。しかし、その拡大戦略を転換し、今後は毎年30店舗から40店舗のコンパクト店を出店し、周辺の配送サービスも始める。

ウォルマートは「1号店」という名称のECサイトも展開していたが、これをECサイト「京東」に売却、京東株の5%を取得し、京東との提携を深めていくことになる。

京東は、アリババのタオバオ、Tmallのライバル。そこでアリババのアリペイの扱いを停止したのではないかと見る向きもあったが、中国ウォルマートは否定をした。テンセントと排他的契約を結ぶことにより、優遇が得られる。そこに魅力を感じて、WeChatペイに一本化したと説明している。

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▲ウォルマートが店頭に掲げた告知。「尊敬するお客様へ:2018年3月15日より、本店の決済方式は以下のものになります。WeChatペイ、銀聯カード、クレジットカード、プリペイドカード、現金(アリペイは当面使用できません)。さらに、多くのお客様への還元として、2018年3月15日から4月1日まで、WeChatペイの優待キャンペーンを行います。詳細については店内でお知らせします」。

 

モードが変わった排他的契約によるパイの奪い合い

中国人は「スマホ決済は、スターバックス以外どこのお店も使える」とよく口にするが、なかなかスマホ決済に対応しなかったスターバックスも実は昨年1月にWeChatペイに対応をしている。しかし、アリペイに関しては9月になってようやく対応をした。背景にはWeChatペイとの排他的契約があったのではないかと言われている。

また、アリペイは以前から海外展開を初めていたが、WeChatペイは海外展開をしていなかった。ところが、昨年末あたりから海外展開の準備を進めているという。

国内都市部の普及がほぼ終わり、残るは農村部だけ。アリペイもWeChatペイも新たな出口を求めている。以前は、それぞれに成長競争をしていたため、利用者のメリットも大きかったが、これからはモードが変わって、パイの奪い合いの競争になる。その象徴的な施策が排他的契約だ。

多くのメディアが、消費者の利益にならない競争として、批判的に報道をしている。中国スマホ決済の競争は、明らかにシフトチェンジを始めている。

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▲アリペイとWeChatペイ。スマホ決済の2強は、競い合いながら、スマホ決済市場を成長させてきた。これからはパイの争奪戦になる。

 

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