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30分配送もする中国の無人コンビニ「ゴリラコンビニ」

セルフで商品を取り、スマホ決済をする無人商品棚。そのスタートアップのひとつであるゴリラコンビニが、店舗展開だけでなく、30分配送も始めた。これが今までになかったコンビニ体験になっていると商業評論が報じた。

 

競争が激しくなるコンビニ市場

中国のコンビニという業態が大きく動いている。その原因は、コンテナ型の無人コンビニが登場したためだ。無人コンビニは、人件費コストが抑えられるため、商品を安く提供できる。有人コンビニと無人コンビニが同じ場所に並んでいたら、誰でも無人コンビニを利用するだろう。

既存コンビニの中には、セルフレジを導入し、無人コンビニに対抗しようとするところもある。しかし、多くのコンビニは有人であることの強みを活かして、イートインコーナーを作り、カフェやレストランの機能を取り入れようとしている。

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コンビニの市場を侵食する無人商品棚

無人コンビニも新しいライバルの脅威に晒されている。無人商品棚だ。小さな商品棚をオフィスビルなどに起き、自由に商品を取り、セルフでスマホ決済するというもの。万引きの危険性があるので、オフィスビル、社内、ホテルなど設置場所が限定されるものの、高層のオフィスビルで働く人からは、わざわざコンビニにいかなくても、飲料や菓子類が購入できると好評だ。

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▲ゴリラコンビニの本来のビジネスは無人商品棚。オフィスの中に設置し、セルフで商品をとってもらい、スマホ決済してもらうというもの。簡単に万引きができてしまうので、設置場所はオフィス、ホテルなどに限られる。

 

無人コンビニ+30分配送+無人商品棚

この無人商品棚のスタートアップで、ユニークな小売方式を採用したのが、ゴリラコンビニだ。店舗を開き、そこに無人商品棚を並べ、無人コンビニとほぼ同じ業態にした。無人商品棚とコンビニの両方と競合をすることになる。

さらに、ゴリラコンビニがユニークなのが、30分以内の配送に対応したことだ。配達エリアは、上海市の長寧路、福山路に限られているが、朝食、昼食を予約して配送してもらうことや、24時間いつでも配送してもらうことができる。

商品は、スマホアプリで注文をし、そのままアリペイなどのスマホ決済をする。対応商品は食品が中心だが、医薬品や日用品なども注文できる。

購入金額が10元以上であれば、配送料は無料だ。

 

無人コンビニ弱点をカバーする巡回要員による配送

この配送サービスは、配送員を用意する必要があり、高コストのサービスのように思えるが、ここにゴリラコンビニの工夫がある。

無人コンビニの弱点は、弁当、寿司、おにぎりなどの消費期限が短い食品を扱いづらいことだ。このような食品の消費期限は通常半日程度なので、無人コンビニと言っても管理者が出向き、消費期限が切れそうな商品を廃棄する作業をしなければならない。このため、補充用の商品を携えた巡回要員が店舗を周り、商品の補充と廃棄をする必要がある。

ゴリラコンビニでは、この巡回要員が配送まで行ってしまう。巡回中に配送注文が入ると、そこへ向かい、注文商品を用意して配達をする。その合間に店舗を巡回し、商品の補充と廃棄をする。

このような方式なので、配送専門要員を手当する必要がない。

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▲ゴリラコンビのアプリ。朝食、昼食の予約と24時間随時注文の3種類の注文方法がある。

 

店舗で存在を知らせ、配送で利用させ、無人商品棚の契約を取る

ただし欠点もある。それは店舗を特定の狭い地域に集中して展開せざるを得ないことだ。店舗が広い地域に渡っていると、巡回要員の行動範囲が広くなり、効率が落ちていくことになる。

この点、ゴリラコンビニは現在のところ、うまくやっている。無人商品棚というビジネスの性格上、大都市のオフィスビル街中心に集中展開をしているのだ。

無人コンビニ店舗を出店することで、消費者に存在を知らしめ、オフィス内のデスクまで配送してくれるということで利用を促し、頻繁に注文があるオフィスに対しては無人商品棚の設置を提案する。

このような手法で、無人商品棚市場のシェアを握ろうと考えている。

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▲ゴリラコンビニの店舗。無人商品棚を集積したもので、店員はいない。フルセルフ方式で、監視カメラとQRコードによる個人認証で万引きを防いでいる。この店舗が広告塔の役割を果たしている。最終的な狙いは、無人商品棚を社内に設置してもらうことだ。

 

無人商品棚の淘汰整理は今年前半が勝負

無人商品棚に置かれる商品は、飲料と消費期限が比較的長い食品が中心になる。配送で、消費期限の短い食品をカバーし、利用者に対して「オフィスの中にコンビニがある」感覚を提供しようとしている。

ゴリラコンビニでは、2018年の前半で、無人商品棚のスタートアップの淘汰が行われ、残るのは2つか3つだと考えているという。ゴリラコンビニの生き残り戦略が、新しいコンビニ業態を生んだと、各方面から注目されている。

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