中国鉄路南昌局は、管轄域内のすべての駅でチケットレス乗車に対応したことを発表した。高鉄も予約することなく、いきなり改札でスマートフォンをかざして乗ることができるようになる。高鉄が地下鉄感覚で乗れるようになったと澎湃新聞が報じた。
地下鉄感覚で乗れる新幹線
2024年5月16日、中国鉄路南昌局は、管轄域内のすべての高鉄(中国版新幹線)駅で、チケットレス乗車の「鉄路eカード」への対応が完了したと発表した。高鉄のチケットレス乗車への対応は2018年から始まっているが、これで都市間高鉄のすべての路線でチケットレス乗車が可能になった。
鉄路eカードを使うと、新幹線に乗るのに事前予約は必要なくなる。直接高鉄駅に行き、改札で鉄路eカードのQRコードをかざすと、自動的に電子乗車券が発券され乗車をすることができる。また、下車駅でもQRコードをかざして下車をすることができる。つまり、地下鉄感覚で新幹線に乗れることになる。
チケットレス専用の座席を確保
このチケットレス乗車を利用するには、中国鉄路の予約アプリ「12306」から、鉄路eカードの申請を行なっておく必要がある。顔認証用(改札で自動的に顔認証も行なわれる)の顔写真と身分証データをアップロードし、銀行口座やApplePay、スマホ決済などの決済手段との紐付けをしておく必要はあるが、それができてしまえば、地下鉄やバスに交通カードで乗るのと同じ感覚で高鉄が利用できるようになる。
問題は、高鉄は全席指定席であるということだ。各列車にはこのチケットレス乗車用の座席があらかじめ確保されている。もし、確保されている座席がすべて埋まってしまった場合は、自動的に次の列車の座席が割り当てられることになる。そのため、中国鉄路では、連休時や週末などの混雑時には、チケットレス乗車ではなく、通常どおり、座席予約をすることを勧めている。この座席予約も、予約アプリ「12306」でスマホからできるようになっている。
チケットレスで多彩なチケットの販売が可能に
このチケットレス乗車により、中国鉄路は多彩なチケット商品を販売できるようになる。いわゆる定期券や回数券だ。従来のオンライン予約方式でも定期券や回数券は販売できるものの、毎回予約をしなければならず、そのたびに決済方法として定期券や回数券を指定しなければならないという面倒があった。しかし、チケットレス乗車であれば、定期券や回数券のクーポンを自動参照して、請求額を調整すればいいだけになる。例えば、5回分の回数券を事前に購入しておいたら、5回までのチケットレス乗車は請求をしないというだけでいい。また、区間内であれば乗り降り自由などという周遊型チケットの販売も可能になる。
これにより、通勤や旅行などを目的とした多彩な定期券、回数券を発売できるようになる。高鉄がより身近な存在になるとが期待されている。