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中国版新幹線「高鉄」に静音車両が登場。静かに移動したい出張族に好評

中国版新幹線に、静音車両が連結された列車が登場した。静音車両では、電子機器を使うときは音量をゼロにするか、イヤホンを使う必要がある。大声でのおしゃべりも禁止をされている。静かに睡眠をとりながら移動できると出張族を中心に歓迎されていると黒竜江共青団が報じた。

 

高鉄の3つのクラス。ビジネスクラスに求めらるのは静かさ

中国版新幹線「高鉄」(ガオティエ)には、「ビジネス」「一等」「二等」の3つのクラスがある。チケットの価格は、ダイナミックプライシングが導入されており、需要に合わせて変わる。だいたい+20%、ー20%を目安に、季節、発車時間などで変わっていく。また、一等は二等の1.5倍、ビジネスクラスは一等の2倍ぐらいに設定されていることが多い。

座席はビジネスが2+1列のフルフラット、一等が2+2列、二等が2+3列と違いがあるが、一等やビジネスクラスに乗る人が求めているのが静かさだ。ビジネスクラスでは子どもが乗ってくることはまずなく、携帯電話を使う人は言われなくてもデッキに出て使う。専任スタッフがいるために、それを守らない人はやんわりと注意をされる。

しかし、一等になると静かさは微妙になってくる。多くの人がマナーを守っているが、時に守れない人もいて、揉めごとになったというニュースはよく報じられる。スタッフは複数の車両を担当しているため、なかなか目が行き届かない。

二等になると、もはやあきらめるしかない。携帯電話を使う時にはデッキに出る人は多いが、座っていても大人同士で賑やかに話をしたり、子どもが走り回ったりする。マナーとしては問題があるものの、これから故郷に帰る人たちの気持ち、初めて遠出をする子どもたちの高揚感を考えると仕方がないとあきらめるしかないところもある。静かさを求める人は、コストを支払って、一等なりビジネスに乗るしかないのだ。

▲静音車両では、デジタルデバイスを使う時は、音量を0にするか、イヤホンを使うことが義務づけられている。

▲電話をするときは、デッキというのが原則になっている。

 

二等に設定された「静音車両」

この問題に、高鉄を運営する中国鉄路はひとつの解決策を打ち出した。出張に使われる時間帯(朝と夕方)の高鉄の二等車に「静音車両」を設置したのだ。

静音車両では、電話をするにはデッキに出なければならない。また、電子デバイスを利用するにはイヤホンを着用することが義務づけられている。さらに、車内アナウンスも30%から40%程度の音量に絞られている。

子どもが乗車をすることは可能だが、親は子どもを静かにするように監督する義務があり、できない場合は、普通車両に移ってもらうこともある。現実には、子ども連れが静音車両に乗ってくることはほとんどない。

また、多くの乗客がアイマスクなどをして寝てしまうが、静音車両は下車駅が近づくと、スタッフが個別に肩をたたいてリマインドしてくれるサービスがある。

▲静音車両では寝る人が多いため、下車駅が近づくとスタッフがお知らせをしてくれるサービスがついている。

▲静音車両を表すマーク(右端)。Wi-Fiが提供されていること、監視カメラにより撮影されていることも提示されている。

 

静音車両の列車は運賃も1割ほど高く設定

出張族にとっては非常に好評だ。また、静音車両が連結されている高鉄は、全体の価格が1割ほど高く設定されている。そのため、多くの人が前後の静音車両が連結されていない一般の高鉄を選ぶ。これにより、静音車両が連結されている高鉄は、乗客も少なめで、一般車両も比較的静かだ。

また、小さな子どもがいる親からも好評で、子どもが走り回るのはともかく、乳児が泣き出してしまうのはどうやっても避けられない。それも、普通車両の二等車であれば、周りもある程度は好意的に見てくれるようになっている。うるさいと感じる人は、静音車両に乗ればいいからだ。静かに移動したい人、賑やかに移動したい人、子どもを連れた親など、うまく棲み分けることができるようになっている。

▲中国鉄路の予約アプリでは、静音車両が連結されている列車には「静」マークがついている(G806列車)。

▲静音車両が連結されている列車の運賃は、他の列車よりも1割ほど高くなる。そのため、普通車両も乗客は少なく静かであることが多い。